百貨店大手4社の2025年3月度の売上高は、全社がマイナスだった。好調をけん引してきたインバウンド(訪日客)による免税売上高が30数か月ぶりにマイナスに転じるケースが見られた。訪日客の客数は前年同月を上回っているものの、ラグジュアリーブランドなど高額品の売れ行きが鈍ったため客単価は1〜2割下がった。免税売上高の急ブレーキについては各社とも「明確な理由はつかめておらず、現在分析中」としている。
売上高の前年同月との比較は、三越伊勢丹が0.5%減、高島屋が0.8%減、大丸松坂屋百貨店が1.2%減、阪急阪神百貨店が3.3%減だった。例年に比べて気温が上がらず、春物衣料の動きが鈍かった。それ以上に、天候に左右される国内客の落ち込みをカバーしてきた訪日客の免税売上高が伸びなかった。
免税売上高は三越伊勢丹が4.0%減、高島屋が11.5%減、大丸松坂屋が4.3%減、阪急阪神百貨店が約2割減だった。免税売上高はコロナから訪日客が回復して以降、30数か月にわたって連続増収が続いていた。減収になるのは高島屋が22年3月以来、大丸松坂屋が22年1月以来だ。
大丸松坂屋は客数が29.1%増にもかかわらず、客単価が25.8%減に落ち込んだ。他社もほぼ同様で化粧品の免税売上高は伸びているものの、ラグジュアリーブランドのバッグなどの販売が失速した。阪急阪神百貨店の阪急本店では「海外VIP顧客の売り上げは前年に対して約4割増と高伸するも、一般ツーリストが約4割減になった」としている。