ビューティ

“ミーハー気質” で人をつなぐ 美容ライターがスナックママとの“二刀流”を始めたワケ

 光文社が発行する「ヴェリィ(VERY)」や「ストーリー(STORY)」など女性誌の美容ページを数多く担当する美容ライターの立花あゆが、東京・赤坂に期間限定のスナックを開業している。ライター業とスナックのママ。一見、異なって見える“世界”の中で、自然体にママをこなす立花氏に、やりがいや今の心境を聞いた。

WWD:まずはキャリアから教えてください。どのようにしてライターに?

立花あゆ(以下、立花):大学卒業後に出版社に就職するも、そこは教科書など作るいわゆる“堅い”会社で。元来ミーハーな私は半年で辞めてしまい、フラフラとしていました。日中は暇だったので女性ファッション誌の読者モデルとして、コスメを試させていただくことに。そこで「雑誌が好きなんです」と言っていたら「そんなに好きなら、企画を出してライターをやってみれば?」と。企画案を出したところ、めでたくページを任せてもらえたことがきっかけです。20代向け雑誌を経て、現在は数誌の美容ページを担当しています。

WWD:ライターとしてキャリアを重ねるなかで、なぜスナックのママに?

立花: 美容ページに携わったり、パーソナルコスメスタイリングサービスである「コスメトロ(COSMETRO)」を進めるなかで、美容や人生のことを本音でカジュアルに話せる場がほしいと感じていました。それはどんなところだろうと考えた時に、カフェではなく、お酒があってカラオケがあってリラックスできて、自分を解放できる場所=スナックだ!と思ったのがきっかけです。

 「スナックをやりたい」という漠然とした気持ちが募るなか、「じゃあ、ママをやってみたら?」と友人が企画してくれて、2年半前の誕生日に1日限定で実際のスナックでイベントをしました。友人や、美容情報を発信する私のインスタグラムを見ていた“初めまして”な人たちも一緒に楽しんでいたことがうれしくて。とはいえ、現実にお店を持つとなると、予算にハマらなかったり、なかなか物件が出てこなくて。諦めかけていたなか、ここ赤坂エリアのスナックと縁があり、まずは3カ月限定でオープンしました。私自身が比較的、寂しがり屋なのもあり、人が集まってくれたら楽しいし、将来は老人ホームのような場所になれたら、と“妄想”しています。

WWD:開業のための準備は?

立花:まずは食品衛生法の資格を取り、一緒に働いてくれる女性を集めました。ナチュラルワインを入れたかったので仕入れ先を探して……。やらなきゃいけないことは盛り沢山だったけれど、価格設定やどんなお酒を入れるかは時間をかけて悩みました。実はお酒がほとんど飲めないので、同エリアのスナックに行ってみたり、スナックに詳しい人に聞いたり。当たり前ですが、どのくらい売り上げたらちゃんとプラスになるのかを考えるのは難しかったですね。間借りのため、初期投資はそこまでかからなかったんです。あとは協賛いただく企業を募ったり、ですね。

WWD:コンセプトとして大切にしていることは?

立花:“私のスナック”ではなく、“お客さまが作るスナック”にしたかった。店名の「ツナギヤ(TSUNAGIYA)」の通り、人と人がつながって、その輪が広がってほしいと思っています。あの人とのあの人が繋がったら面白そう!と感じたら当人同士が知り合いではなくても間に入って、即コミュニケーションの機会を設けちゃう。個人情報だだ漏れかもです(笑)。お節介で、ミーハー気質が満載なスナックですね。

WWD:客層や反応は?

立花:年齢は男女20代後半から50代くらい。私個人のインスタのフォロワーさんや「コスメトロ」ユーザーの方、女性2人組や5、6人グループ、男女の大人数、男性おひとりもいます。女性のおひとりさまデーを設けていて、こちらも盛況です。おひとりさまデーからつながったメンバー同士で朝活をしたり、私も一緒にランチをしたり……。お客さまが、今まで関わったことのない人ともおしゃべりをしてお酒を飲んだり、新たな交友関係が生まれる様子を見ていると、「スナックを始めてよかった!」としみじみ感じます。ストレス発散をして、いきいきした気持ちになることは美容にもつながりますしね。人間関係や美容にポジティブになったと言ってくださるお客さまも多いです。産後初めての夜のお出かけに選んでくれたママさんがいて、「久しぶりの最高の夜だった」と笑顔で帰っていく姿も印象的でした。

 モデルやヘア&メイクアップアーティスト、美眉アドバイザー、はたまたタロット占い師など、ライター業を通じて出会った素敵な仲間をゲストとしてお呼びしてイベントも行っています。飲んで歌って、だけではなくて、美容のプロたちの力を借りて女性がキレイになるお手伝いができたら、と考えています。

WWD:実際のママ業の印象は?

立花:準備や片付けは一人なので、意外と孤独なんだなというのが率直な気持ち。毎日数字と向き合うプレッシャーもあります。「(お酒を)飲めないのに、スナックをやるなんて」と言われたこともありますが、レジ締めやお会計もありますし、飲めなくてよかったかもしれません(笑)。

WWD:スナック「ツナギヤ」のアピールポイントは?

立花:コスメ情報はもちろん、新しい出会いが生まれる場所です。店内にはワンコーナーを作って、美顔器やドライヤー、脱毛器など美容機器も自由に試せます。韓国ドラマに出てくるLEDの仮面(美顔器)は、お客さま同士で写真を撮り合ったりして盛り上がりますね。また、20社近くの企業に協賛いただき、コスメやサプリのギフティングもしています。男性には肝臓ケアのサプリなど、その人に合うものをお帰りの際にお渡ししています。

WWD:十八番はある?

立花:スナックといえばカラオケだ!と、事前にカラオケ教室まで行ったのですが、実際はあまり歌わず聞いて盛り上げる側になっています。座っている暇がないので、お客さまが歌っている間はお酒を作ったり、洗い物ができるチャンスです(笑)。

WWD :スナックは今後も続ける予定?夜型の生活の中で美肌を保つ秘訣は?

立花:やはり格段に睡眠時間が減ってしまい、帰宅後はスキンケアも落とすのに必死なくらい。サプリやお茶を飲んで免疫力を下げないようにしたり、週末にサウナにいって汗をかいたり、週1トレーニングをしています。もうダメだ!という日は、クリームを塗るだけで寝たり。夜は諦めて、そのぶん朝にパックをしたりしてトントンになるようにしています。スナックは8月末までの期間限定ですが、今後はママを数名募って、コンセプトはそのままにお店を続けたいですね。

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