超多忙カリスマ・デザイナーが語るチームワーク

企業動向キャリアインタビュー

2017/7/23 (SUN) 03:00

 オランダ発インテリア「モーイ(MOOOI)」を率いるマルセル・ワンダース(Marcel Wanders)が「モーイ・トーヨーキッチンスタイル 東京(MOOOI TOYOKITCHENSTYLE TOKYO、以下モーイ東京)」のオープン1周年および、ギンザ シックス(GINZA SIX)内で自身が監修する高級エステサロンのメゾンデコルテ(MAISONDECORTE)視察のために来日した。「モーイ」の他にもプロダクト・デザインやホテルやレジデンスの内装、コーセー(KOSE)の「コスメデコルテ(COSME DECORTE)」のアートディレクターとさまざまな顔を持つマルセル。彼に自身の仕事からファッション、ライフスタイルなどについて聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):モーイ東京がオープンして1年経過したが、日本での反応は?

マルセル・ワンダース(以下、マルセル):ぐっとブランドの知名度が上がったよ。「モーイ」はアイコニックな照明を提案するブランドだと思われることもあったけど、モーイ東京では照明だけではなくインテリアも見せられるから、ブランドの世界観全体を発信できる。建築家らとの交流も広がった。日本の総代理店のトーヨーキッチンスタイル(TOYO KITCHEN STYLE)のお陰で、街中のいろんなところで「モーイ」のアイテムが見られるようになってうれしい。

WWD:今、いくつのプロジェクトが進行中か?それらは、どんなプロジェクトか?

マルセル:スペイン・マヨルカ島のホテルのイベロスター グランドホテルがオープンしたばかり。同じくホテルでは、モンドリアン ドーハが10月に開業する。モスクワやロンドン、中東ではレジデンスのデザインもしている。プロダクトは、KLMオランダ航空の機内サービス用テーブルウエアや「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のさまざまなクリエイターとのコラボ企画「オブジェ・ノマド(OBJET NOMAD)」「バカラ(BACCARAT)」などがある。

WWD:幅広いデザイン活動をしているが、その中で一番楽しいのは?

マルセル:インタビューだよ(笑)。なぜなら、コミュニケーションはクリエイションの一部だと思うから。例えば、僕がデザインしたグラスがあるとする。それは、単なる物体でしかない。そのデザインを人々の心に届けるためにあるのがコミュニケーションだし、僕の責任だ。僕のデザインに興味を持ってもらえることに感謝するし、とてもうれしい。だから、コミュニケーションを通じて、それらを伝えることはとても重要だと思う。

KLMオランダ航空の機内サービス用テーブルウエア

WWD:これだけ多くのプロジェクトを並行して行うコツは?

マルセル:マネジメントはスタッフに任せている。僕の仕事はディレクションでマネジングではない。僕の存在はカオスと言ってもいい。各プロジェクトの全ての過程に僕が携われるわけじゃない。もちろん、各プロジェクトに時間を割くけど、それぞれきちんと結果を出すためディレクションするだけだ。ある意味、僕が現場にいると何も進まない。プロジェクトの方向性が全く変わるかもしれないし、やり直しになることもあるから。(チームにとっては、)僕がいる時間よりも、いない時間の方が大切なんだ。なぜなら、僕は車(=プロジェクト)にガソリンを入れる役目で、それを運転するのはチームだから。僕が現場を去って、本当の仕事が始まるって感じだ。プロジェクトごとに優秀なチームに支えられているよ。

WWD:典型的な1日のスケジュールは?

マルセル:いろいろなプロジェクトがあるから、僕には典型的な1日っていうものはない。日々違うよ。カオスと言ってもいいほどだ。「モーイ」のスタジオで数日過ごすこともあれば、世界各地でプロジェクトがあるから出張がとても多い。いろいろな場所に行けるのは素晴らしいけど、たまに、当たり前のことができないジレンマを感じることもあるよ。例えば、自分で朝食が作れないとか、ジムになかなか行けないとか。

WWD:仕事とプライベートのバランスはどうとっているか?

マルセル:僕にとって仕事とは、不思議な概念だ。僕が日々している事は仕事だって思わないんだ。スケッチやデザイン、ディレクションして何かを創造することは、自分に与えられた素晴らしい義務だと思っている。もし、僕自身がそれらを好きじゃなかったら、絶対にしていないよ。小鳥がさえずったり、巣を作るのはごく自然な事。「さあ、仕事だ」と思わないはず。僕にとってのデザインは小鳥のさえずりや巣作りと同じ。デザインに携われて幸せだし、感謝しているよ。

WWD:自身のデザイン哲学は?

マルセル:プロジェクトによって変わるけど、僕のデザイン・タイポロジー(類型学)は主観的で、どちらかというと視覚、嗅覚、聴覚、触覚などの人の五感に訴えかけるようなものだ。環境にやさしく、人間的でエキサイティング、夢をかなえるようなデザインをしたいと思う。

WWD:尊敬するクリエイターは?

マルセル:フィリップ・スタルク(Philippe Starck)だ。彼はデザインに対する概念を変えた。そしてデザイン界全体の底上げをした驚くべき人。心底、素晴らしいと思うし、彼のような存在になりたいと思う。

WWD:自身のファッション・スタイルは?お気に入りのブランドは?

マルセル:白いシャツに黒のスーツ、黄色のスニーカーが僕のスタイル。今日のジャケットは「トム フォード(TOM FORD)」。シンプルですごく仕立てがいいから気に入っているよ。僕は背が高いからほぼ全てテーラーメードで、スーツはイタリアの「パル ジレリ(PAL ZILERI)」で仕立てることが多い。僕なりにこだわりがあって、気に入ったものは長年着るよ。僕のワードローブはちゃんと必要なものがそろっていて、ユニフォームのようなもの。毎日、何をどのように着ようとは考える必要ないって思っている。

WWD:今の消費者が求めている価値観とは何か?

マルセル:矛盾しているかもしれないけど、確実性と不確かな部分。モノ自体が持つ基本的な属性=確実性はもちろんのこと、それとは相反するサプライズ両方を与えること。どちらか一つでは成立しないと考える。

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