ファッション

「ディオール」メンズは“異質“を大胆にミックス 批判やリスクを恐れないジョナサン・アンダーソンの挑戦は続く

初のクチュールショーまで1週間を切った1月21日、「ディオール(DIOR)」を率いるジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)はメンズでは2回目となる2026-27年秋冬コレクションを発表した。今季の大きなインスピレーションとなったのは、クチュール界のレジェンドであるポール・ポワレ(Paul Poiret)だ。コルセットを取り除いた流れるようなフォルムや異国情緒を取り入れたデザインで知られるポワレと、服に構築性をもたらした創業者クリスチャン・ディオール(Christian Dior)という“異質“な2人の想像上の出会いを起点に、イメージをふくらませた。

オープニングを飾ったのは、アンダーソンが古物商から手に入れたというポワレのドレスをノースリーブトップスに作り変えたようなアイテム。そこに合わせたスキニージーンズは、エディ・スリマン(Hedi Slimane)が手掛けていた時代を思い起こさせる。またディオールとポワレの融合を象徴するのは、前者が1956年に発表した大きなファーのカフ付きテーラードコートに、後者が愛したブロケード地をマントのように配したアウター。それだけでなく、異質な要素を大胆に組み合わせる感覚は、コレクション全体に見て取れる。

例えば、プレッピーなポロシャツやチェックシャツにラインストーンの肩章をあしらったり、カジュアルなケーブルニットやシアリングでテイルコート(燕尾服)を作ったり。招待状とともに届けられたものと同じひだ襟は、スーツスタイルやセーターを引き伸ばしたようなドレスに貴族的なアクセントを加える。さらにフライトジャケットは、立体的な花の装飾を飾ったブロケードのパファーケープと一体化。シグネチャーの“バー“ジャケットは、26年春夏ウィメンズで見られたようなクロップド丈に。アンダーソンのルーツに通じるドニゴールツイードなど英国の伝統的な生地で仕立て、セーラーパンツのボタンディテールを採用したカーゴジーンズやスキニーパンツと合わせた。

足元は、「D」を模したトーが特徴的なパイソンのキューバンヒールブーツやツイードでアップデートしたスニーカー“ローディー“。バッグには、メダリオンモチーフをあしらったメッセンジャーやバケットバッグ、ウィメンズのアイコン“レディ ディオール“を再解釈した軽量のダッフルバッグが登場した。

そんなスタイリングの意外性に加え、モデルが着用した鮮やかな黄色のウィッグがもたらすのは、エキセントリックなムード。そこには、かつて「ディオール」でドラマチックなショーを披露し続けていたジョン・ガリアーノ(John Galliano)の影響があるようだ。アンダーソンは「『ディオール』はファッションのメゾンであり、レザーグッズから始まったわけではない。そこにはファッションの歴史があり、ジョンのような天才たちがスペクタクルな瞬間を生み出してきた。そのドラマ性を、人々は『ディオール』に求めていると思う」と米「WWD」に説明する。

確かに今回のショーだけを見ると、奇抜さが目立つ。それは正統派エレガンスとは異なり、時に賛否両論を生むだろう。しかし、アンダーソンが巧みなのは、話題を生み出し、時代をリードする創造性と、商業的なセンスも併せ持っているところだ。今季も来場者の中には、ショーと同じシーズンのコレクションをいち早く着用するセレブリティーもいた。その姿を見ると、現実世界での着こなしをイメージできるアイテムも多いことがよく分かる。

「私のやり方では、『ディオール』が予測可能なシルエットにはなることはない。今は、服で楽しむことを模索しているところだ」。そう語るアンダーソンは、批判やリスクを恐れずに挑戦を続けている。次のシーズンはどんな新たな一面を見せてくれるのか、楽しみだ。

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