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抽象的な形がポップな色を呼ぶ NY拠点のアーティスト、ジョシュ・スパーリング

 ジョシュ・スパーリング(Josh Sperling)は、ニューヨークを拠点に活動する1984年生まれのアーティストだ。あのカウズ(KAWS)の下で働いていた過去も持つ彼は、1960~70年代のミニマルアートや家具デザインから強く影響を受けたシンプルでポップな色彩のスカルプチャー・ペインティングで知られている。8月10日まで日本初となる個展を東京・六本木の画廊、ペロタン東京(PERROTIN TOKYO)で開催中の彼に、アーティストを志したきっかけから抽象的で遊び心溢れる作品が生まれる過程まで話を聞いた。

WWD:アーティストを志したきっかけは?

ジョシュ・スパーリング:祖父と父がアーティストだから周りの人たちもアート関係の人が多く、アートが身近にあることが普通だったんだ。だからアーティストには「絶対になってやる!」って気持ちではなく気付いたら自然と目指していて、家族も応援してくれていたし環境が大きいね。大学では彫刻と陶芸を専攻して、その後、木材を使った家具職人、グラフィックデザイナー、カウズのスタジオのアシスタントなどを経て独立した。

WWD:切り出した立体的な木板にキャンバスを貼りつけて色をつけるスカルプチャー・ペインティングの作風は、家具職人の経験が大きいようですね。

スパーリング:一般的なアーティストよりも木材を扱う技術には長けていたから、木材を使用した作品を制作するようになるのは当然さ。

WWD:このような作風にたどり着いた理由は?

スパーリング:もともとは画家になりたかったんだ。ただ、画家のように長時間キャンバスを前に座って絵を描くことが苦手でね(笑)。もう少し身体的に動きがあるような制作プロセスがないかと考えて、画家のようにキャンバスに絵を描くことと自分がやりたいことの折衷案としてこの表現方法が生まれたんだ。

WWD:木材は機械で切り出してる?

スパーリング:コンピューターで図面を引いて機械で切り出し、手作業で色をつけているよ。

WWD:今回のメイン作品をはじめ、一つ一つのスカルプチャーの配置はどう決めている?

スパーリング:自分の中に思いついた形をストックする“形の図書館”があって、そこにたまったものを組み合わせることでメイン作品のようなものが生まれるんだ。配置に偶然性はなくて、これ以外ありえないというほど1mmの狂いもないよう計算して配置しているよ。

WWD:スカルプチャーが丸みを帯びている理由は?

スパーリング:有機的な感じを出すためさ。

WWD:色彩のインスピレーションは?

スパーリング:形が色を呼んでいるような感覚で、スカルプチャーの形が遊び心溢れるものだから色が自然と思いつくんだ。順番としてはスカルプチャーの形と配置の構図をフィックスさせてから色が思いつく。

WWD:今回の個展では丸みを帯びたメインスペースの作品と合わせて、サブスペースでは幾何学的な作品も展示しているが。

スパーリング:「これがあるから、あれがある」で、僕が制作に飽きないために異なるタイプの作品を作っているんだ。別室の作品は丸や四角といったメインモチーフは一緒だけど、色や組み合わせを変えることで違った印象を持つ作品に仕上げている。

WWD:ファッションブランドのデザイナーはアーティストにインスピレーションを得ることが多いが、逆にあなたが得ることは?

スパーリング:僕がインスピレーションを受けてきたのは、建築や80年代の家具。具体的にはフランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright、グッゲンハイム美術館や旧帝国ホテルなどを手掛けた米建築家)、エットーレ・ソットサス(Ettore Sottsass、建築家やデザイナーとして活躍した伊デザイン界の巨匠)、メンフィス・グループ(Memphis Group、エットーレ・ソットサスが中心となり結成されたポストモダンを代表するデザイナー集団)で、ファッションから色の合わせ方という点において影響を受けることはあるけど、デザインではないね(笑)。でもファッションブランドと立体的な何かをコラボして作ってみたいとは思っているよ。

■Summertime
日程:8月10日まで
時間:11:00~19:00
定休日:日・月・祝祭日
場所:PERROTIN TOKYO
住所:東京都港区六本木6-6-9
入場料:無料