ファッション

進化する“おなか見せ” 90年代アムラースタイルとはここが違う!

 1990年代風の装いが見直されていますが、ウエスト周りの素肌をのぞかせる“おなか見せ”にも復活の兆しがあります。“コーチェラ 2019 VIPパーティー”に姿を見せたエミリー・ラタコウスキー(Emily Ratajkowski)やヘイリー・ビーバー(Hailey Bieber)の着こなしを見ても分かります。

 おなか見せはこれまでも何度か流行しましたが、ミニスカートを合わせていた“アムラー”ファッションの時代(1995年頃)、ローライズジーンズとのコーディネートが広がった2000年代初めとは、今はボトムスのタイプが異なっています。写真からも分かるように、近年はハイウエスト(ハイライズ)のボトムスが主流です。

 主役のトップスにも変化が起きています。昔はピタピタの“チビT(シャツ)”がもてはやされました。しかし、今はそこまでタイトではないトップスも増え、むしろ、ゆるめシルエットを選んで、着痩せ効果を引き出すようなスタイリングも登場。いわゆる“腰ばき”が多かった以前と違って、露出するゾーンがおへそよりも上にシフトし、数センチ程度の露出にとどめるパターンが支持されているようです。

 “アスレジャー”スタイルの広がりを背景に、健康的なムードを大切にする意識が強まりました。素肌を見せることは、ボディーそのものを一番自然な“服”と考える感覚につながっているようです。世界の音楽フェスティバルやファッションイベントのおしゃれスナップから、新しいおなか見せコーディネートのコツをご紹介しましょう。

肌見せゾーンから視線を散らす
“ずらし”が肝心

 露出させた素肌を目立たせ過ぎないようにするには、別の部分に目線をそらすアレンジが効果的です。小物使いなどで立体感を引き出す装いは、視線を散らすことに加えて細さを引き出すメリットもあります。

 写真1枚目は、ショート丈のトップスにワークウエア系のパンツを合わせた、“アスレジャー×エンジニア”テイストのずらしコーデです。オーバーサイズ気味のアウターを肩を落として羽織って、量感を強調。さらにベルトを垂らし、ダッドスニーカーでボリュームをかさ上げしています。メリハリのおかげで、ウエストが一段とすっきり見える仕掛けです。脇に添えたミニバッグで、ボリュームの強弱を印象づけるバランス感もお見事。

 音楽フェスティバルの“コーチェラ 2019”では、バンダナやウエストバッグなど、小物類をうまく使った肌見せスタイルも目立ちました。写真2枚目は、赤のジャージー系パンツとバンダナで、白のショート丈タンクトップをサンドイッチ。胸元のバンダナとウエストポーチが程よいボリュームにつながっていて、おなか周りを華奢に演出します。このような複数の小物で動きを出す合わせ技は、両手を自由に使いたい野外イベントで参考になるでしょう。

露出スポットは上にシフト
 今はおへそより“肋骨下”がホット

 トップス以外に目を引くモチーフを加えると、露出したおなかに視線が向かいにくくなります。着るアイテム数が少なくなる夏にこそ、使いこなしたいテクニックです。

 5月に千葉で開かれたダンスミュージックのフェス“EDCジャパン 2019”では、パッと目を引くパイソン柄のパンツやバンダナ柄を主役にした大胆なコーディネートが目立っていました。ハイウエストのボトムスでおへそを隠し、もっと高い位置で素肌を露出。ボリュームサンダルで脚長効果は倍増です。ショート丈のトップスには、シースルーの長袖トップスを重ねて、肌見せのインパクトをやわらげました。

 モデルのステラ・マックスウェル(Stella Maxwell)は“コーチェラ2019”に、ハイライズのデニム姿で来場。肋骨(ろっこつ)の下あたりをチラ見せしていました。ハイウエストのボトムスでおなか見せをするといっそうレッグラインが伸びやかに映り、さりげなさやこなれ感も演出できます。プリント柄を散らしたレザーブルゾンで華やぎをプラス。視線を散らす効果もばっちりです。

大人のおなか見せはどうするのが
正解? 羽織り物で露出は控えめに

 カジュアルな装いと思われがちな、おなか見せコーデですが、近年は“きれいめ”の新アレンジが目立ちます。羽織り物を重ねたサマーレイヤードは、露出の印象を弱めてくれるので、着て行ける場面も増えそう。

 写真1枚目は、パリ・オートクチュール・コレクションの会場スナップから。挑発的な若さが売り物だった90年代のおなか見せスタイルと比べると、こちらはムードが様変わりです。ダブルブレストジャケットで露出をトーンダウンし、涼やかなストライプ柄ですっきり上品に。異なるストライプ柄のショートパンツを合わせて、無地のショートトップスは脇役のような存在に。小ぶりのチェーンバッグを斜め掛けして、リッチテイストを添えているのも上手な味付けです。

 2019-20年秋冬パリ・コレクションの「サカイ(SACAI)」のショー会場には、エレガントな“おなか出シスト”が出現。秋冬にヒットが見込まれるケープを使った、シーズンフリーの大技です。ボトムスはハイウエストのプリーツスカートをチョイスして、モード感の高いコーディネートに。大人っぽいおなか見せのお手本を示してくれました。

 おなか見せルックも時代とともにアップデートしています。昔と違い、今はトゥーマッチを避けながら、へそ上の“高めポジション”で決めるのが新たな方程式になりつつあるようです。一見難しく感じられそうですが、ロングカーディガンを羽織ったり、ハイウエストのボトムスを合わせたりといった工夫だけでも、使いこなしやすくなります。野外フェスやリゾートなど、夏のお出かけを手始めにアレンジを磨いていってもよさそうです。

ファッションジャーナリスト・ファッションディレクター 宮田理江:
多彩なメディアでコレクショントレンド情報、着こなし解説、映画×ファッションまで幅広く発信。バイヤー、プレスなど業界での豊富な経験を生かし、自らのTV通版ブランドもプロデュース。TVやセミナー・イベント出演も多い

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