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「ミントデザインズ」が目指す“マイペース”なパリ進出 ショーを行わなかった理由は?

 勝井北斗、八木奈央による「ミントデザインズ(MINTDESIGNS)」の2019-20年秋冬は、“ステッチワーク(刺しゅう)”がテーマ。「ゴミ袋に刺しゅうがしてあったらきっとかわいい」という意外性のあるアイデアが出発点といい、ビニルタッチの黒い生地にクロスステッチで花柄をのせたドレスやバッグはまさにそんな感覚だ。ほかにも、キルティングやビーズ装飾など、さまざまな刺しゅうを盛り込んでいる。これまではランウエイショーやモデルプレゼンテーションを毎シーズン行ってきたが、今季は実施せず、マネキンでのインスタレーションを発表。そこに込めた意図を勝井と八木に聞いた。

WWD:“ステッチワーク(刺しゅう)”は、ファッションデザインのテクニックとしてはありふれています。ミント流のこだわりはどんなところ?

八木奈央(以下、八木):刺しゅうは手の温もりを感じて、丁寧なモノ作りを象徴するもの。ただし、ストレートに刺しゅうを出すと“ほっこり”してしまう。プロダクトっぽさの中で刺しゅうの温かみを出せるといいなと考えたのが今回の出発点です。ファッションブランドでありながらプロダクトっぽいというのは、もともとブランドの軸の一つ。服って、生身の人間が着ることの面白さはもちろんありますが、四方八方から見る面白さもあると思う。作られた世界観をそのまま切り取って楽しんでほしくて、今回はインスタレーション形式にすると共に、作品(ルック)撮影に力を入れました。

WWD:たしかに、今回のルック写真は世界観が作り込まれていて面白いです。一方で、やはりショーが見たいという声もあったのでは?

勝井北斗(以下、勝井):ブランド設立から17年、これまで34回ショーを行ってきました。昔はショーをすることが楽しい、ショーで感動させたいという気持ちがすごく強かったけど、今は少し心境が変わってきています。ブランドとして5~10年後にどうしたいのかを考えるタイミングにきていると思う。どんなデザインをどんなお店に卸して、どんな人に届けたいか。社内の若いスタッフを含めて、「ミントデザインズ」はこういうブランドです、というのを原点に返って見せないといけない。今まで突っ走ってきたから、ブランドとして足りないものが何かを探しています。

八木:ファンであっても、初期のシーズンのことは見ていないという人も多いし、17年間ブランドをやってきたとはいえ、われわれのことを全く知らない人は国内外にたくさんいる。だから、身元整理というか自分たちのやってきたことを振り返るという意味で、一旦落ち着いて作品撮りを強化しました。目指したのは、シーズン性やトレンドに関係なく、5~10年後に見ても強いと思ってもらえるような作品。大人のためのシンプルで着やすい服というのもステキだと思いますが、私たちはマスに向けてデザインするということが難しい。器用じゃないから、これからも独特なやり方を貫いていきます。

WWD:ブランド設立10周年だった11年11月には、盟友である「アンリアレイジ(ANREALAGE)」との合同ショーでアニバーサリーをお祝いしました。3年後の20周年に向けて、パリ進出など目指すことはありますか?

八木:20周年を機にパリで展示会やプレゼンテーションをするというのも、「遅っ(笑)」って感じでいいかな。それもまたマイペースな「ミントデザインズ」らしいかなと思います。

勝井:パリで自分たちがどんなことができるかをリサーチ中です。今まではショー開催を念頭にスケジュールを組んでいましたが、パリでの展示会開催に向けて、新作発表のタームを早めようかなと考えています。

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