ファッション

年2回開催 2万人が来場する広島「ザ・トランクマーケット」が“仁義なき戦い”の街を変える

 “ユニークでハイエンドな蚤の市”がテーマの「ザ・トランクマーケット(THE TRUNK MARKET)」が、11月10日と11日に広島市中区の袋町公園で開催される。今回で11回目を迎える同イベントは、広島でセレクトショップ「レフ(REF)」などを運営する中本健吾エヌ社長が船頭となり、毎年5月と11月に行われている。

 “安売りをしない、本業に徹する、何を出してもいい”というルールのもと、「ビズビム(VISVIM)」や「ネイバーフッド(NEIGHBORHOOD)」「ダブルタップス(W TAPS)」「カナダグース(CANADA GOOSE)」「ホワイトマウンテニアリング(WHITE MOUNTAINEERING)」「吉田カバン」「ポパイ(POPEYE)」などのブランドや小売り店、メディアなどが毎回50~70参加。それぞれが公園内に設置されたブースで、特別なアイテムを販売したり、ワークショップなどを開いたりする。ファッションだけでなく、フードや音楽ライブなどのコンテンツもあり、デザイナー自ら店頭に立って接客することでも話題だ。年々盛り上がりを見せ、今や2日間で約2万人が来場するイベントにまで成長した。

 広島に未進出のブランドに積極的にイベントに参加してもらい、広島の市場のポテンシャルを知ってもらった上で、リアル店舗を出店してもらうこともイベントの狙いだという。これまでに「アー・ぺー・セー(A.P.C)」「オブスキュラ コーヒー ロースターズ(OBSCURA COFFEE ROASTERS)」「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」「アトモス(ATMOS)」「ネイバーフッド」「パタゴニア(PATAGONIA)」など、8ブランドのリアル店舗誘致に成功した。イベント当日だけではなく、広島の街を盛り上げることにも一役買っている。

 仕掛け人の中本社長は25年前に広島の呉にセレクトショップを開店。当時はまだ先鋭的だったアメリカの洋服やスニーカー、雑貨などを仕入れていた。同じコンセプトの店が増えてきた頃には、広島市中心街にも進出。差別化を図るため、その後全盛を迎えることになる裏原ブランドをいち早く仕入れるようになり、全国でも名の知れたセレクトショップとなった。

 イベントを始めたきっかけを「広島も10数年前からだんだんと廃れてきて、僕が子どもの頃に刺激を受けて育ったカッコいい街とは変わってきた。空き店舗が出ると、コンビニやドラッグストア、外食チェーンができ、駐車場になる。ウェブ販売や大型商業施設への依存も影響し、街から人がいなくなった。そうすると“夜の街”になり、昼間に人が出てこず、僕らのビジネスにも影響する。広島の街に人がいなくなるなら、県外から人を呼ぼうという発想になり、県外からも人を呼べるようなリアルを大切にできるイベントを始めることにした」と説明する。一方で、「そもそも、広島は排他的な街。ファッションもブランドの直営店が極端に少ない街だった。映画『仁義なき戦い』を観てもわかるように、よそ者を徹底的に排除する傾向にある。しかし、市場を独占して金もうけすれば、競争がなくなり、いずれ衰退する。ライバルブランドが来れば、地元の店が廃れるわけではなく、どちらも盛り上がる」と話す。

 中本社長は、“トランクマーケット”という名前はトランク一つで出店できる規模感という意味だと説明する。「規模を大きくしていきたいわけではなく、長く続けることに意味がある。今では『ザ・トランクマーケット』の開催日に合わせて、イベントには参加しない周辺の路面店もポップアップイベントなどを行うようになった。それは僕が描いていた街の風景であり、街全体を盛り上げていけるように今後も努めたい」。

 10~11日に開催される今回の「ザ・トランクマーケット」には、モデルのラブリと空間プロデューサーの山本宇一がコラボした「ラブリシングス」や「ビズビム」、「ゴールドウィン(GOLD WIN)」「ホワイトマウンテニアリング」「ヤング&オルセン ザ ドライグッズストア(YOUNG & OLSEN THE DRYGOODS STORE)」「ウィーウィル(WE WILL)」「サタデーズ ニューヨークシティ(SATURDAYS NEW YORK CITY)」、福岡発の文房具店「ハイタイドストア(HIGHTIDE STORE)」、江戸土産をコンセプトにした「新吉原」など、50店舗が出店する。

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