ファッション

日本を代表する高級時計フェアに明暗くっきり

 三越日本橋本店(以下、三越)と東武百貨店池袋店(以下、東武)がそれぞれ8月に行った高級時計の展示即売会、ワールドウオッチフェアの結果が出そろった。会期は三越が13日間、東武が6日間で、販売結果は三越が2ケタ増、東武が5%減だった。フェアの売り上げは「WWDジャパン」推定で三越が12億円強、東武は6億円を割り込んだ。

 「三越ワールドウオッチフェア」は1998年にスタートしたイベントで、昨年は10億円以上を売り上げた。今年も60以上のブランドを集め、数量限定のレアモデルなどをラインアップした。「東武ワールドウォッチフェア」は2001年に始まり、今年で18回目。国内外から約40ブランドを集め、売り上げ目標として前年比7%増の6億円を掲げていた。いずれも年に1度開催の日本最大級の時計の祭典で、ウオッチファンから厚く支持されている。

 三越の渡辺健司・時計バイヤーは「これまで来店数、決定数共に50代以上がメーンだったが、今年は30~40代の伸長が目立った」と振り返る。一因に、男性ファッション誌「オーシャンズ(OCEANS)」とのタイアップがある。当該ページを増し刷りしたSPツールも製作・配布した。昨年までは「GQ」が受注していた。

 今年のフェアの目玉だった、ヨーロッパの独立時計師によるウオッチも売れた。独立時計師とは、企業に属さず自らのアイデアと技術で時計を一から手作りする職人のことで、年間生産数は数十本足らず。希少価値が高く、価格は数百万~数千万円だ。「想像以上に反響があり、300万~500万円の商品が動いた。他店では見られない数をそろえ、時計愛好家のみならず新客にも高評価をいただいた」と渡辺バイヤー。「存在を知ってはいたが、手に取ったのは初めて」という客も多かったという。4人のデザイナーが来日し、直接接客したことも大きかった。

 ブランド別の売り上げでは「パテック フィリップ(PATEK PHILIPPE)」が2ケタ増。「『ブレゲ(BREGUET)』『A.ランゲ&ゾーネ(A. LANGE & SOHNE)』『ピアジェ(PIAGET)』もよかった」。一方で、30万~50万円台が伸び悩んだが、全体として「上ぶれした」という。

 同店は19年に時計売り場を数倍に拡張するリニューアルを控えており、今回の売り上げ増で計画に拍車がかかった。独立時計師の時計の扱いも増やすという。

 一方の東武は前年比5%減。300万円以上の高額品は、「『パテック フィリップ』はよかったが、それ以外のブランドが伸び悩んだ」と岩渕由希子リビング・宝飾・特選部 ショップ管理課 マネジャー。液体を使って時刻を表示する機械式時計ブランドの「HYT」(600万円~)や「ロマン・ジェローム(ROMAIN JEROME)」(500万円~)は動いたが、「金無垢など、ジュエリー系が振るわなかった」と話した。三越が「伸び悩んだ」とした30万~50万円台の時計は売れたが、下ぶれした。

 来場者については、「20代後半~30代が増えた。女性も多かったが、決定には至らなかった」と述べた。東武の時計売り場の売り上げの8割を占める外商客も、数字を作れなかった。

 ただし、フェア終了後の9月は前年同月比2ケタ増を記録し、ワールドウオッチフェアの不振感が際立った。今後について聞くと「11月に、宝飾売り場を取り込む形で一部拡張リニュ―アルを行うが、品ぞろえを大きく変えるつもりはない」とした。

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