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“ストリートファッションとカルチャーの祭典”がベルリンで開催 EC企業ザランドが主催

 ドイツのファッションEC企業、ザランド(ZARANDO)は8月31日~9月2日、消費者向けの大型イベント「ブレッド&バター(BREAD&&BUTTER以下、B&&B)」をアリーナ・ベルリンで開催した。会場には「アディダス オリジナルス(ADIDAS ORIGINALS)」や「コンバース(CONVERSE)」「ナイキ(NIKE)」など40を超えるブランドのブースに加え、6つのステージ、18のフードスタンド、展示スペースなどを設置。100以上の限定商品のドロップ(発売)や、著名人やインフルエンサーを招いたパネルディスカッション、70組以上のDJやアーティストによるライブパフォーマンス、ファッションショー、展覧会などさまざまな企画を用意し、10代後半~30代を中心とした来場者を楽しませた。

 もともと業界関係者向けの見本市として2001年に発足した「B&&B」は、15年に出展社数の減少を理由に開催を中止。その後、ザランドが買収し、16年からはチケットを購入すれば誰でも参加できる一般消費者向けのイベントに生まれ変わった。昨年は「ヴィクター&ロルフ(VIKTOR&ROLF)」などのファッションショーやヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)を招いたパネルディスカッションなどが話題を呼んだが、今回は“ポップアップ・オブ・スタイル&カルチャー”をテーマに、ストリートファッションとカルチャーとのつながりを強化。ファッションショーも従来のランウェイを用いる形式ではなく、会場内のオープンスペースや通路を使いポップアップ形式で行った。また、今年は「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」や「コロンビア(COLUMBIA)」「ディーゼル(DIESEL)」「アネロ(ANELLO)」などが初参加。ザランドがオンラインでコスメの販売を始めたこともあり、「M・A・C」や「クリニーク(CLINIQUE)」などもラインアップに加わった。

 全体を通して、カギになっていたのは“体験”だ。多くのブランドブースでは、趣向を凝らしたカスタマイズサービスを提供しており、特にDIY(DO IT YOURSELF)をベースにしたものが盛況だった。例えば「ヴァンズ(VANS)」は、ニューヨークとロンドンに構えるさまざまなカルチャーが交差する空間“ハウス オブ ヴァンズ”のコンセプトを持ち込み、ビンテージアイテムの販売やライブステージに加え、本格的なワークショップスペースを設置。刺しゅう機やレーザーカッター、ヒートプレス機など本格的な機械から、シューレースやアイレット、ワッペンなどの素材までを用意し、購入したスニーカー“スケートハイ(SK8-HI)”をその場で自分流にアレンジできるようにした。一方、「コロンビア」は、カラフルなペイントボールをTシャツにぶつけてランダムなペイントを施すユニークなカスタマイズを実施。「ティンバーランド(TIMBERLAND)」はチャリティー活動の一環として、18-19年秋冬コレクションでコラボしたイギリス人デザイナーのクリストファー・レイバーン(Christopher Raeburn)とタッグを組み、ヒートプレス機を用いたTシャツのDIYや植物のアレンジメントなどの体験を、募金した来場者に提供した。

 さらに、ロッククライミングやロデオマシン、バンパー・カー、カラオケのレコーディング、アーケードゲーム、フォトブースなど、その場で楽しめて、SNSにも投稿したくなるような仕掛けが数多く見られた。期間中、ステージやブランドのブースでは同時多発的にパフォーマンスが行われ、特に夜にはローリン・ヒル(Lauryn Hill)、ジェイデン・スミス(Jaden Smith)、プリンセス・ノキア(Princess Nokia)、シェック・ウェス(Sheck Wes)、キティー・キャッシュ(Kitty Cash)らが登場し、会場を盛り上げた。

 消費者向けの大型ファッションイベントというと、日本の「東京ガールズコレクション」やイギリスの「ロンドン・ファッション・ウイークエンド」など女性向けのものが多いが、「B&&B」はストリート色が強いこともあり、男女半々という印象。チケットの価格がオンラインで購入すれば1日券15ユーロ(約1920円)、会場での購入だと同20ユーロ(約2560円)と比較的手ごろであることも集客につながっているように感じた。さらに、開催時間も13時から深夜までで、オープンから来て狙っていたアイテムを購入したり、カスタマイズを楽しんだりする人もいれば、夜のパーティー目当てに夕方以降に来場する若者も多く見かけた。こういったそれぞれの楽しみ方ができることも、現在の「B&&B」の特徴の一つになっている。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。