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京都に倣って、アパレル企業が街を作ったら?

 12~15日に「京都国際映画祭2017」が開催された他、京都国立博物館で3日に始まった「国宝展」にも連日行列ができるなど、京都は今“芸術の秋”真っ只中です。そんな京都へ行く機会があったので、仕事の合間をぬって話題の観光スポットを巡ってみました。

 京都といえば町屋作りなどの古き良き街並みが最大の特徴ですが、市街地景観条例による建築物の高さやデザイン・色などの規制がかなり厳しく、ファッションブランドやセレクトショップも外観は完全に“京都色”に染まっています。コンビニエンスストアの看板でさえ他県と色が違うのは有名ですね。古い建物の様式や外壁をそのまま利用する店舗も数多く、16年にオープンした「ディーン&デルーカ(DEAN & DELUCA)」京都店をはじめ、14年に吉村順三設計の「ホテルフジタ京都」跡地にオープンした「ザ・リッツ・カールトン京都」も鴨川沿いの町屋をデザインに採用しています。

 そんな京都らしさを全面に打ち出して今年もっとも話題になったのは、畳でコーヒーを楽しめる「スターバックス コーヒー 京都二寧坂ヤサカ茶屋店」でしょう。世界で初めて入り口にのれんをかけたという同店は、築100年を超える2階建ての日本家屋を改装したもの。中庭や畳でコーヒーを楽しむための座敷など、ここでしか味わえないスタバ体験が待っています。「もちろん、行ってみないことには!」と意気込んだものの、バス停から坂を登ること約10分。ティータイムだったからか、平日でも満席&お店の前では記念撮影の嵐で入れず……。店の前には警備員さんも常駐する警戒っぷりで、急いで観光をしたい人にとってはタイミングが合わないと入店が難しいのかもしれません。

 この辺り、祇園は京都らしい町屋が軒を連ねるもっとも人気の観光地です。逆に言えば、もっとも景観管理が厳格な地域でもあり、通りから見ただけでは一見どこにお店があるのかがわかりづらいお店もあります。それでも、京都の良さを生かしながら、ここでしかできないブランドの世界観を表現することは、企業にとって魅力的なのでしょう。最近「エルメス(HERMES)」が季節ごとのポップアップストアをオープンしたのもこの場所で、今は「ウブロ(HUBLOT)」の直営ブティックがあります。そして、同じ通りには今年6月にオープンしたフォーエバー現代美術館があります。「八坂倶楽部」という築104年の有形文化財を数年だけ借り受けた期間限定の美術館で、常設展示として「草間彌生展」を開催しています。入り口には有名な「南瓜」もあります。この辺りはスタバから坂を下ってきて10分くらいの距離にあるので、合わせて観光をするにはちょうどいいでしょう。

 「注目スポットに行きたいけれど、混んでいるのは嫌!」という人に、おすすめのスタバがあります。16年1月に前川國男建築の「京都会館」を改装した「ロームシアター京都」にできた「京都岡崎 蔦屋書店」の併設カフェです。祇園から北に1kmほど上った平安神宮のすぐ近く、京都府立図書館や京都国立近代美術館などがひしめく芸術ゾーンにあって、中心街に比べると観光客も少し落ち着いています。敷地内には京都市公会堂東館をそのまま利用した京都市美術館別館もあって、やはり京都らしさ満載です。特に、夜のテラス席はとても居心地がいいんです。自転車のレンタルも行っているので、夜にふらっと訪れて付近を散策するのがオススメです。

 京都ではお店ごとの主張が強くない分、百貨店や雑貨店、お土産屋さんなど、どこを訪れても京都らしさを感じます。それに比べると、東京の観光地は基本的に雑然としていますよね。それが良さでもあるのですが、例えば、東京でアパレル企業が集まって街を作ったら面白いかも、と京都を歩いていて思いました。例えば、浅草に伝統的な街並みを活用したファッションストリートを作るとか、鎌倉の海沿いに“リゾート”がテーマのテナント群を作るとか。その土地本来の良さを生かして、いろんなブランドが集まって場所自体をブランディングするような京都のような統一された“街作り”があってもいいな、と空想を膨らませた旅でした。

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