ビジネス

米百貨店ニーマン・マーカスは赤字拡大 “デジタル・ファースト”を打ち出す

 米高級百貨店を運営するニーマン マーカス グループ(NEIMAN MARCUS GROUP以下、NMG)の2017年7月期通期決算は売上高が前期比4.9%減の47億599万ドル(約5270億円)の減収で、純損失は前期の4億611万ドル(約454億円)から5億3175万ドル(約59億円)に拡大した。

 カレン・カッツ(Karen Katz)NMG社長兼最高経営責任者(CEO)は「17年度も厳しい状況だったが、2点強調したい。1点目は“NMG ONE”という全店一括在庫管理システムの導入が完了したこと、2点目は業績の改善が見られたということだ」と振り返った。アイテム別に見ると、ウィメンズのウエアは全価格帯で好調。ハンドバッグ、ジュエリーやシューズも好調で、特にシューズの中ではスニーカーの売れ行きがよかったという。

 一方で、全米に45店舗を擁するニーマン・マーカスは、大型ハリケーン「ハービー」と「イルマ」で深刻なダメージを負ったフロリダ州とテキサス州に7店舗ずつ出店している。このため、17年8~10月期にマイナス影響が出るという。

 カッツCEOは今後について、「デジタルベースのビジネスを目指す。これによって数年以内には努力が花開き、デジタルがビジネスの大部分を担うだろう。デジタル第一主義は成功への起爆剤だ」と“デジタル・ファースト”政策を語った。

 “NMG ONE”の稼働1年目は発注やデータの読み込みに遅滞が見られたが、現在トラブルは全て解消され、成果を出しているという。また、ECのヘビーユーザーを対象とした、完全招待制の“NMVP”プログラムを9月からテスト運用している。これは、ニーマン・マーカスのリアル店舗で実施されているサービスの類似サービスで、コンシェルジュがオンラインでスタイリングを行い、同社のECサイトへ誘導せずにメールベースで商品の購入や発送などを行うサービスや、新製品をいち早く入手できる機会が提供されるという。

 今年3月、同社は身売りを検討していた。ハドソンズ・ベイ(HUDSON’S BAY Co.)が買収に関心を示しているというウワサも流れていたが、この件についてカッツCEOは「独立企業として運営していく。この件については何も動いていない」とこれを全面否定した。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

Timeless, Yet New 変わらない吉田、世界を変える【WWDBEAUTY付録:今こそ立ち上がれ、日本化粧品】

「WWDJAPAN」12月22日&29日合併号は、創業90周年を迎えた吉田カバン総力特集です。「ポーター(PORTER)」「ラゲッジレーベル(LUGGAGE LABEL)」「POTR」の3ブランドを擁し、日本を代表するカバンメーカー・吉田のモノ作りに迫ります。日本が誇る伝統技術を持つカバン職人たちと深い関係を築きながら、最先端の技術・素材を使い名だたるデザイナーズブランドとコラボレーションする相反…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。