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コムアイの衣装を手掛ける高校生スタイリストが夢を語る

 19歳のスタイリストの清水文太は、シルバーに染めた坊主頭にブルーのワンピースというひときわ目立つ姿で取材場所に現れた。彼は今、多方面から注目を集める水曜日のカンパネラのコムアイのスタイリングを手掛ける人物。多くの人を魅了してやまないスタイリングがいかにして作られるのか、その根底にある思いについて聞いた。そして、意外な夢も語ってくれた。

WWDジャパン(以下、WWD):今は高校生?

清水:1年間、服飾系の全日制高校に通っていました。そこをやめて今は夜間の高校に通っています。その間に、「トウキョウ ダンディー(TOKYO DANDY)」のジョーさんのスタイリスト・アシスタントを1カ月程やらせてもらいました。新宿のアパレルショップ「ザ フォーアイド(THE FOUR-EYED)」でも少し働いていました。スナップを撮ってもらったりしてメディアに出ることもありましたが、当時は今の環境を全く想像できませんでしたね。人の目のある場所に出ることが増えて、ファッションが変わりました。日本では、みんな同じ格好をしていないといけないという意識が強くて、僕のようなファッションをしていると「何だ、こいつ」って思われがちです。僕のファッションは、こういうスタイルもありなんだという、世の中に対する問題提起でもあるんです。

WWD:コムアイのスタイリングをすることになったのはなぜ?

清水:コムちゃんと仕事をする前に、マイクロソフトのCMへの出演依頼があったんです。その映像監督の山田智和さんが、「スタイリングに興味ないか?」とおっしゃって、「あります」と答えたんですよ。しばらくして、急にコムちゃんからLINEで直接スタイリングの依頼を受けました。びっくりしましたね!(笑)。最初に担当したのが、3月の武道館公演での関係者挨拶のスタイリングでした。

WWD:衣装はコムアイといっしょに考える?

清水:2人で相談しながら進めます。彼女はアイデアウーマンで、意見をしっかり言います。彼女からは、「私だけではなく、全体を見てスタイリングを決めたい」と言われています。ステージと洋服がどのように反応するのか、それが世の中にどのように受け取られるのかが重要です。なかには、「ゆで卵みたいな表現がしたい」といった難題に頭を悩ませることもありますが(笑)。比喩を飲み込む力が求められます。

WWD:これまでで反響があったスタイリングは?

清水:ツアーで16公演を一緒に周ったんですけど、お客さんの反応って面白いですね。人魚みたいに見せたいと思ったスタイリングに対してその通りの反応があると、思い通りにできたことがわかる。逆に、炎みたいに見えたという人もいて、予想外な人の見方があって面白いと思いました。「ロック・イン・ジャパン ・フェスティバル 2017(ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017)」で、胸元につけたウンチのニプレスは反響がありましたね(笑)。コムちゃんが持っていたものなんですけど、これくらいのことをして観客をびっくりさせないと盛り上がらないという話になり採用しました。SNSで、「そこにしか目がいきませんでした」っていうコメントもあり、洋服でライブの印象が大きく変わるのだなと感じました。

WWD:スタイリングがうまくいかない時もある?

清水:もちろん。持ってきた洋服が全然合わないこともあります。ライブの10分前まで衣装が決まらなくて、「そのパンツいいね」というコムちゃんの一言で、僕がはいていたギンギラのパンツをその場で脱いで衣装にしたこともあります(笑)。まだブランドから貸し出してもらえないということもあって、古着を衣装に使うことが多いですが、将来何かに使えると思って買った洋服が今役に立っています。

WWD:メディアによってスタイリングに違いはある?

清水:そのメディアを見ている層を意識しますね。例えば、テレビのファッションはマス寄りですけど、コムちゃんにコンサバなファッションは似合わない。そこで、フジテレビの「FNSうたの夏まつり」では「アキコアオキ(AKIKOAOKI)」のワンピースを選んで、幅広い層に受け入れられるスタイルを作りました。テレビでは間違えすぎないバランスが大切だと思います。

WWD:コムアイの魅力はどこにある?

清水:知性ですね。彼女は、起業家の人たちから資本を募ってキューバに渡りアンケート企画を成功させたりと、いろいろな経験をしてきました。それに無名の洋服を衣装に使う先見性や応用力を持ち合わせています。彼女のファッションにも知性があります。その知性は、たとえ見る人がその意味を理解できなくとも、無意識に感じ取ることができるものです。その根底にあるのは彼女のバックグラウンドだと思います。

WWD:仕事へのこだわりは?

清水:清水文太にしかできない仕事をちゃんとやるということですね。独自性の高い仕事をしたいです。SNSには、容姿が優れているという理由だけで人気を集めている人たちがたくさんいます。でも、SNSというプラットフォームがなくなったら、その人たちが活躍し続けるのは難しくなるかもしれない。僕は環境が変わっても生き残りたい。

WWD:プライベートな時間の過ごし方は?

清水:山や海など自然のあるところで過ごします。この前は、コムちゃんが中学生の頃から通っている埼玉の畑でニンジンの種植えをしました!。もちろん洋服を買うのも好きです。いいものを着ているとそれ相応のものが自分に返ってくると思うんです。あとは、自分の中で背伸びをしてみたいという気持ちもあります。昔、本当にお金がなくて、桜新町から六本木まで5時間以上歩いたこともあって(笑)。自分で稼いだお金で、こうして欲しいものを買えているぞと、当時の自分に言ってやりたいです。

WWD:将来の目標は?

清水:子どもたちのためのNPO法人を作ることです。今働いているのは、そのためでもあります。お金や育った境遇のせいで、子どもたちがやりたいことをやれないなんておかしいですからね。それが最終目標です。スタイリストだけに収まりたくなくて、今の仕事を起点にいろいろな仕事に関わっていければいいと思っています。

【自分の仕事 5段階評価】

スタイリストの知人を見ていると1カ月間休みがない人もいます……。僕は、そんなに働けないです(笑)。