ファッション

誕生から25周年「ピープルツリー」の歩みと今後

 フェアトレードカンパニー(FAIRTRADE COMPANY)が運営するエシカル・ブランド「ピープルツリー(PEOPLE TREE)」は1991年、環境・国際協力NGO「グローバル・ヴィレッジ(GLOBAL VILLAGE)」として歩み始め今年、25周年を迎えた。それを記念し、ジェームズ・ミニー(JAMES MINNEY)社長が、今までの歩みと今後について語った。創業者であり、ジェームズのパートナーであるサフィア・ミニー(SAFIA MINNEY)は昨年末まで社長を務めていたが、現在はロンドンを拠点に世界各国でフェアトレードに関するレクチャーなどを行っている。

 今でこそ、サステイナビリティーやエシカルという言葉を頻繁に耳にするが、「ピープルツリー」が活動を始めた当時、日本はバブル時代。ジェームズ社長は「過剰包装やどんどんいろいろなものが廃棄されていた時代だったから、それが動機になったのかもしれない」と話す。彼は「グローバル・ヴィレッジ」の名付け親。「途上国では日々、環境汚染や児童労働、搾取などが起こっている。世界がもし、小さな村のようにお互いの顔が見える関係性だったら、そのようなことは起こらないと思った。そんな村のような環境であれば、皆が公正な気持ちを持った経済活動を行うはずだ。そこで、ヴィレッジ=村の気持ちをグローバルにという思いで、グローバル・ヴィレッジという名前にした」と言う。彼は幼少時代をケニアで過ごしたこともあり、子どもの頃から世界の経済状況に敏感だった。「私が育った60年代ごろから、先進国と途上国の格差が広がりはじめ、経済的な不均衡が生まれた。それらに関心が高かった両親の影響もあったが、子どもながらに、それはおかしいと思った」。とジェームズ社長。

 彼は大学卒業後、投資顧問企業に就職した。その理由は、「大企業がどのように資金を運用しているかを学び、ゆくゆくはフェアトレードの活動にその知識を生かせると思ったから」。そして、仕事でパートナーのサフィアと来日し、「グローバル・ヴィレッジ」を立ち上げフェアトレードの情報発信をし始めた。「サフィアが、『私が欲しいと思うフェアトレードの商品が世の中にないから、それを作るために起業したい』と言ったときに、当然だと後押しした。なぜなら、やらなければ世界が機能しなくなると思ったから」。彼らは、自宅を事務所代わりに活動をした時期もあったという。ジェームズはマハトマ・ガンジーの「最初は無視され、次に笑われ、そのうち叩かれる。そうして我々は勝つ」という言葉を引用し、「25年間活動してきて、いろいろな人に助けてもらった。とてもありがたいと思う」とコメント。現在、日本でフェアトレードという言葉の認知度は50%、その内容を理解している人は30%以下だ。「ほぼ、ゼロからスタートして、フェアトレードが何かを理解している人が3割近くになっただけでもうれしい」。

 「ピープルツリー」は最近、ホームページをリニューアルしたばかりだ。「毎日の暮らしに物語を」がテーマ。発展途上国にいる作り手のストーリーをわかりやすく伝えられるよう、現地を訪問するスタッフは作り手への取材もしている。ジェームズは「これからは消費者および作り手との対話を大切に、魅力ある商品を作れる体制の強化を図る」と意気込む。サフィアは、彼女に続くフェアトレードの起業家の出現を期待し、世界各地でコンサルティングや啓蒙活動に専念していくようだ。

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