リバティ2016年春夏コレクション
1875年にロンドンで創業した、プリントテキスタイル最大手のリバティ(LIBERTY)が、テッサ・バーチ最高デザイン責任者による初のコレクションを発表した。
2016年春夏コレクション「ザ・アーティスト」では、140年の歴史を持つリバティの伝統を重んじながらも、ファッション性の高いプリントの数々でブランドの新たな方向性を示した。コレクションはマティスやホックニー、モネ、ピカソ、ルソーらの絵画に見られる巧みな色使いや筆のタッチを表現した“ザ・ペインターズ・メドー”や、スケッチのような細い輪郭で描かれたボタニカルプリントの“フォルセナッティ・フォレスト”、陶芸品の繊細な模様と上品なブルーが印象的な“モダン・ティー・リーブス”など、10ラインからなる。ニューヨーク、パリ、ミラノなど、世界各国の見本市での評価も高く、有名ラグジュアリー・ブランドをはじめ、メンズや若手ブランドからの受注も決まっている。
新コレクション「ザ・アーティスト」から
12年にわたりテキスタイル業界で経験を積んだイギリス人デザイナーのバーチは、ニューヨークブランド「ダイアン フォン ファステンバーグ(DIANE VON FURSTENBERG)」のデザインチームでの7年間を経て、リバティの最高デザイン責任者に就任した。東京で行われた新作発表会では、「これまで私が関わった全てのブランドのムードボードには、必ずリバティのプリントがあった。テキスタイルデザイナーである私にとって、世界でも最も長い歴史と実績を誇るリバティに来られたのはとても幸せなこと」と語った。
「今回のコレクション『ザ・アーティスト』は、画家はもちろん、職人やイラストレーターなど、さまざまなジャンルのクリエイターの作品が着想源になっている。トレンドを追うのではなく、社名の通り“自由”なクリエイションでトレンドを生み出してきたことで知られるリバティだが、現在のファッションやアート界の動きを把握しておくことも大切。リバティの伝統を引き継ぎながらもアーティスティックで冒険的なコレクションに仕上がったと思う」とバーチ。
“フォルセナッティ・フォレスト”
彼女は、プリントが実際に商品に落とし込まれた時の見え方を常に意識しているという。「私はファッションブランド出身だから、ウエアとの親和性を考えずにはいられない。ファッション界のトレンドは、テクノロジーを駆使したプリントから、大胆な筆使いで描かれたようなパターンや抽象的な模様など、ハンドペイントらしいプリントに向いている。今回のコレクションはこのトレンドともシンクロしている」と話す。最近では、クライアントの参考用にウエアの制作も始めた。
リバティのユニークなデザインプロセスについても明かした。8人からなるデザインチームはコレクションを手掛ける際、まず各ラインの全てのプリントのひな形となる “ヒーロープリント”を制作するという。このカラーパレットやタッチを用いてさまざまなプリントをそろえていくのだ。カラーパレット作りは8人からなるデザインチームがリバティ本社の屋上で行う。リバティスタッフのさらなるインスピレーションになるよう、コレクション制作のために用いたスケッチやコラージュ集めた社内向けの展示会も開いている。
新コレクション「ザ・アーティスト」から
リバティは現在、4万3000点にも及ぶ膨大な量のアーカイブのデジタル化を進めるとともに、クリエイションにも最新のプリント技術を導入している。テッサと共に来日したロビン・ヒューム=シニアデザイナーは、「デザインは全て手描きからスタートするが、デジタル化によってプリント開発の幅が広まったし、発表できるプリントの数も増えた。現在は、全体のうち10%がデジタルプリント」と話す。
同社は、イギリス国外で最大のマーケットである日本をはじめ、上海やニューヨーク、サンパウロにも支社を持つ。日本では今シーズン、イギリスの庭園をテーマにしたボタニカルプリントのコレクションを発表した。ブラジルではスイムウエアのためのプリントをデザインするなど、各市場のニーズに応えた限定商品を手掛けている。日本では今後、年に2度の限定コレクションを発表する予定だ。定期的にアーティストとのコラボしており、今シーズンはロンドンのグラフィック・アーティスト、ジミー・シーと共に制作したプリントを発表した。