ファッション

「バレンシアガ」のピエールパオロ・ピッチョーリが退任 就任からわずか1年半足らずで

ケリング(KERING)傘下の「バレンシアガ(BALENCIAGA)」は11月5日、ピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)=クリエイティブ・ディレクターの退任を発表した。2025年7月の就任からわずか1年4カ月での退任となる。後任は近日中に発表予定。ピッチョーリを巡ってはここ数カ月、業界内で退任のウワサが広がっていた。

ジャンフランコ・ジャンアンジェリ(Gianfranco Gianangeli)=バレンシアガ社長兼最高経営責任者(CEO)は、「ピエールパオロの貢献に深く感謝している。彼はそのビジョンを通して、メゾンにおけるクチュールの原点を再認識させるとともに、クラフツマンシップや服の構造、クリエイティビティーに対する思慮深いアプローチをもたらしてくれた。その献身、寛大さ、協働に心から感謝したい」と述べた。また、ケリングのルカ・デメオ(Luca de Meo)CEOは、ピッチョーリを「私たちが最大の敬意を表する、卓越したクチュリエでありクリエイティブな才能の持ち主」と称賛。その上で、「私たちが目指すのは、『バレンシアガ』のアバンギャルドな精神を礎に、素晴らしいヘリテージを尊重しながら、クリエイティビティーの限界を押し広げていくことだ。それによって、力強く、時代性のあるメゾンとしてさらに確立したい」と今後の方針を示した。

一方、ピッチョーリは自身のインスタグラムにクチュールに対する思いや共に歩んできたすべての人への感謝を示す長文を投稿。その中で「私たちは1つの夢を信じていた。それは、分かち合い、信じることができる美しい夢であり、そうした視点から思い描いた1つの景色だった。それでも、人生は旅であり、1つ1つの章は次の章へと道を譲るために存在している。でも、本当に終わるものなど何もない。すべては変化し続けていく。突き詰めると、私たちが真の意味で自分のものとして持っているのは、自分自身のアイデンティティーと価値観だけ。それらに忠実であり続けることこそが、これから待ち受ける道を優雅に歩んでいく唯一の方法だ」と綴った。

続くケリングの人事改革 1カ月で3人が退任

イタリア出身のピッチョーリは、「ヴァレンティノ(VALENTINO)」に約25間在籍し、現在は「フェンディ(FENDI)」を手掛けるマリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)との共同クリエイティブ・ディレクターを経て、16年から単独でクリエイティブ・ディレクターを務め、高い評価を得てきた。しかし24年3月に同ブランドを離れ、25年7月に「グッチ(GUCCI)」に移籍したデムナ(Demna)の後任として「バレンシアガ」に加入。同年10月に初のプレタポルテ・コレクションを発表した。26年7月には初のオートクチュール・コレクションを披露。創業者クリストバル・バレンシアガ(Cristobal Balenciaga)のクチュールの美学を自身の感性で再解釈してきたが、10月の27年春夏プレタポルテが最後のコレクションとなった。

ピッチョーリが「バレンシアガ」で手掛けたコレクションには美しい作品もあったものの、グループ傘下ブランドの経営陣やクリエイティブ・ディレクターの刷新を進めているデメオ新CEOの体制下では、彼がその役職にフィットしないことが明らかになったと米「WWD」は分析。そしてケリングは、ストリート感覚あふれる先鋭的なコレクションや挑発的なキャンペーンで存在感を高めたデムナ時代のような、よりエッジィーでロマンチックさを抑えた方向性への回帰を望んでいるとも伝えられている。

なお、同社の傘下ブランドではクリエイティブ・ディレクターの退任が相次いでいる。10月9日には「サンローラン(SAINT LAURENT)」を10年間率いてきたアンソニー・ヴァカレロ(Anthony Vaccarello)の退任を発表。同15日には、「マックイーン(McQUEEN)」のショーン・マクギアー(Sean McGirr)もブランドを去ることになった。いずれも後任はまだ発表されていない。

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