ファッション

“レイバン メタ GEN 3”を体験 ファッションを起点にAIと融合するスマートグラス

アイウエアブランドの「レイバン(RAY-BAN)」とメタ(META)社が共同開発するスマートグラス“レイバン メタ(Ray-Ban Meta)”。第3世代となる新型“レイバン メタ GEN 3”は、カメラによる写真・動画撮影やAIアシスタント、翻訳などの機能を備え、音声操作によってさまざまなタスクを実行できる。今回、昼餐会を兼ねた体験会で撮影やAIによる認識、翻訳などの機能を試し、その実力と可能性を探った。

「レイバン」のデザイン資産が生む
ファッションアイテムとしての強み

スマートグラスの機能性の前に注目したいのがアイウエアとしてのデザイン性だ。他社のスマートグラスでは、比較的シンプルなウエリントン型を採用する製品も多いが、「レイバン」は自社が培ってきたアイウエアのデザイン資産を生かし、既存モデルをベースにスマートグラスを開発している。

今回着用したのは、ブランドを象徴する“ウェイファーラー”だ。セルフレームアイウエアの王道として半世紀以上愛される本モデルは、ストリートカジュアルからドレススタイルまで着る服を選ばない多くの人に愛される定番。機能主体でデザインは二の次、としないところにポリシーが見える。

“GEN 3”は“ウェイファーラー”に加え、“アビエーター”“ジーナ”の3スタイルを展開。日常的に身に着けるデバイスだからこそ、機能性だけでなく、ファッションとの親和性も重要になる。「レイバン」が持つブランドの蓄積は、他社との差別化につながる大きな強みといえる。

12MPカメラと3K動画、音声操作で
日常の記録をより手軽に

今回の体験で特に実用性を感じたのが、音声による写真・動画撮影だ。12MPの超広角カメラを搭載し、写真は最大3024×4032ピクセル、動画は3K ULTRA HDでの撮影に対応する。音声で指示する、もしくは指先でテンプルをタッチするだけで撮影でき、操作もスムーズ。カメラを構えたり、スマートフォンを取り出したりする必要がなく、思い立った瞬間に目の前の光景を記録できる。

一方、撮影時に画面で構図を確認できないため、焦点がどこに合っているのか、写真の中心がどこに来るのかは多少分かりづらい。それでも、撮影のために動作を中断せず、その場の体験を楽しみながら記録できる点は魅力だ。スポーツやアウトドアなど、両手を使うアクティビティーはもちろん、子どもの何気ない表情を日常的に撮影したい人にも向いていそうだ。

音声を拾うマイクは6基を搭載し、周囲の雑音を抑える機能も備える。カメラの開口部は第2世代“GEN 2”に比べて36%小型化されており、撮影機能を進化させながら、フレームのデザインにも配慮している。バッテリー駆動時間は最大9時間で、充電ケースを併用すれば最大50時間分の追加充電が可能だ。日常的に身に着け、必要な瞬間に撮影するという使い方を支える仕様となっている。

AIによる認識と翻訳は
今後の進化に期待

カメラで捉えたものについてAIに質問し、音声で回答を得られる機能も試した。目の前にあるものの特徴や情報を確認できるため、例えば気になる商品の概要を調べたり、初めて訪れた場所で周囲の情報を得たりといった使い方が考えられる。実際の日常生活でどのような場面に活用するのかは思案したい。具体的な利用シーンが広がることで、より身近な機能になっていくだろう。

翻訳機能については、ライブ翻訳が日本語を含む20言語に対応する。グラスのマイクで拾った外国語を翻訳し、内蔵スピーカーから音声で聞けるため、スマートフォンを手に持たずに外国語での会話をサポートできる。

実際に体験してみると、音声の出力にタイムラグが生じるため、会話をスムーズに進めるのは難しい面もあった。相手の発言を聞き取りながら翻訳音声にも注意を払う必要があり、複数の情報を同時に処理する負担も大きい。レンズ上に翻訳結果を文字で表示する「ロキッド AI(ROKID AI)」のような製品と比べると、会話の内容を視覚的に確認できるアプローチがない部分が少し気になった。実際のコミュニケーションをどれだけ円滑にできるかが、今後の課題となりそうだ。

日常を拡張するデバイスがもたらす未来

そのほか、イヤホンを装着せずに音楽や動画の音声を楽しめる点も、日常使いを考えると魅力的だった。オープンイヤー型のスピーカーを採用しているため、耳を塞がずに音声を聞きながら、周囲の音にも気を配ることができる。多くの人が利用するカナル型イヤホンにはない強みともいえる。

今回の体験を通じて感じたのは、スマートグラスが日常の行動を拡張するデバイスとして持つ可能性だ。撮影や情報収集、翻訳など、スマートフォンで行っていた操作の一部を、身に着けたアイウエアに任せられる。機能によっては今後のアップデートに期待したい部分もあるが、ファッションアイテムとしての完成度とテクノロジーを両立している点は好印象だった。日常に溶け込むデザインを入り口に、テクノロジーとの付き合い方を変えていく。“レイバン メタ GEN 3”は、そんな未来を感じさせる製品だった。

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