
台北ファッション・ウイーク2027年春夏が10月15〜18日に開催された。昨季から運営を担う台湾政府系のデザイン振興機関、台湾デザイン研究院はプレゼンテーション形式の拡充や一般消費者にも開放したトレードショー、デザイナーを交えたトークショーなど、新たな取り組みにも挑戦。さまざまな角度から台湾ファッションの「今」を発信した。(この記事は「WWDJAPAN」2026年11月2日号からの抜粋です)
デジタルや伝統に目を向ける若手
会期中は、全13ブランドが参加した。中でも、ベストショーは「クラウディア ワン(CLAUDIA WANG)」と「ジェン リー(JENN LEE)」だ。デジタルファッションに精通する「クラウディア ワン」は、2020年の設立当初から3DやAR(拡張現実)などのデジタル技術を取り入れ、バーチャルとフィジカルを横断する服作りを続けてきた。今季は王子欣(ワン・ズーシン)デザイナーがかつて過ごした英国の春がテーマだ。会場のスクリーンには、実際の会場に草花が生い茂ったような庭園が広がり、アバターの登場と同時に実際のモデルも登場した。服は、花の一部をスキャンしたり、輪郭をぼかしたりして生み出したモチーフを、赤やピンク、ブルーなどの鮮やかな色彩でプリントし、水玉やストライプなどの異なる柄とパッチワーク。さらに、揺れる花びらを表現した立体的なプリーツやアシンメトリーな構造を取り入れた。予期せぬシルエットや色柄の組み合わせが次々と飛び出し、デジタルを起点とする自由な発想が存分に発揮されていた。
ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション出身の李維錚(リー・ウェイジョン)デザイナーによる「ジェン リー」は、ロンドン仕込みの巧みな世界観作りで、ダークで官能的なコレクションを披露した。主役は、伝統的なチャイナドレスだ。チャイナドレスの襟に使われる硬い芯地を用いて胸元を鋭く尖らせ、レザーのドレスには植物染めで血管のような柄を描いた。挑発的で力強いデザインが目を引く一方で、その背景にあるのは伝統技術への深い敬意だ。75歳のチャイナドレス職人との出会いをきっかけに生まれたコレクションは、職人が一針一針に込める細やかな心遣いに触れ、「守ることと思いやること」というメッセージを込めた。前衛的で時に挑発的なシルエットと、時間をかけて丁寧に仕立てる伝統技法を共存させ、着る人が大胆に自己表現しながらも、服に守られているような安心感を得られることを目指したという。ロンドンでも発表を続けている李デザイナーだが、台北でもショーを開催する理由については「ロンドンは国際的なファッション業界との関係を築く場。一方、台北では顧客に服や職人技を直接知ってもらい、購買につなげられる」と話す。有力ブランドの継続的な参加が課題の1つとなる中、地元のファンとの関係を深め、顧客基盤の強化につなげようとする李デザイナーの姿勢は、ファッション・ウイークの活用方法を示す好例だ。
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