LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)傘下の仏発ビューティ専門店「セフォラ(SEPHORA)」は、ニューロダイバーシティ(脳や神経の特性の違いを多様性として捉える考え方)や、感覚刺激に敏感な顧客に配慮した取り組み「クワイエット・アワー」を欧州で本格導入した。8市場32店舗での試験導入を経て展開を拡大する。店内の照明や音量などを抑え、より落ち着いた環境で買い物できる時間帯を設けるもので、同社によるとグローバルのビューティ小売りとして初の取り組みだという。
同プログラムの開発にあたり、「セフォラ」はニューロダイバージェントや感覚刺激に敏感な顧客から直接意見を収集した。インクルーシブデザインなどを手掛けるオープン・インクルージョン(OPEN INCLUSION)のクリスティン・ヘンフィル(Christine Hemphill)創業者兼マネージング・ディレクターは、「彼らの体験が『クワイエット・アワー』の開発につながり、多くの人にとって、より利用しやすく快適な環境をつくることができた」と説明。「幅広い視点に耳を傾けることで、『セフォラ』のような顧客志向のブランドが、あらゆる消費者のニーズを考慮した空間やサービス体験を設計できることを示す好例だ。これが小売りの未来だ」と述べた。
「自分のペースで買い物」、幅広いニーズに対応
デボラ・イェ(Deborah Yeh)=セフォラ グローバル最高マーケティング責任者は、「『クワイエット・アワー』では穏やかな環境を提供し、顧客が歓迎されていると感じながら、自分のペースで買い物をし、気に入った商品を見つけて購入できるようにする」とコメント。「従業員や顧客、コミュニティーにとって、より受け入れられていると感じられる環境をつくるための意義ある一歩だ。一方で、私たちにはまだ学び、取り組むべきことが多くある。今後もコミュニティーの声に耳を傾け、共に学び、成長していきたい」と続けた。
カトリーヌ・スピンドラー(Catherine Spindler)=セフォラ 欧州・中東地域プレジデントは、「照明から音量まで店内環境を丁寧に調整することで、ニューロダイバージェントのコミュニティーだけでなく、より落ち着いた環境での買い物を好む全ての顧客の具体的なニーズに応える。誰にとっても利用しやすく快適な店舗を目指す、私たちの継続的な取り組みを反映したものだ」と語った。
90%が「よりインクルーシブ」と回答
「セフォラ」によると、試験導入ではニューロダイバージェントの買い物客の大半が、「クワイエット・アワー」によって店内での体験が大きく改善したと回答した。また、全顧客の90%が、この取り組みによって「セフォラ」が誰にとってもよりインクルーシブで、歓迎されていると感じられる場所になったと答えたという。ビューティアドバイザーからも好意的な反応が寄せられた。
コンサルティング会社パーパスフル・フューチャーズ(PURPOSEFUL FUTURES)のクロエ・マタル(Chloe Matharu)=インクルージョン&インパクト戦略コンサルタントは、「世界のニューロダイバージェントのビューティファンのニーズに応えることから始まった取り組みが、実店舗の環境に困難を感じる多くの人にとって、小売り体験そのものを見直す機会へと広がった」と説明。「グローバルのビューティ小売りとして初めて『クワイエット・アワー』を導入することで、『セフォラ』は業界に新たな基準を示している。誰もが利用しやすい環境を目指すことが、小売りに大きな変化をもたらすイノベーションにつながることを示している」と述べた。