
フォトアーティスト・ARISAKがファッション&ビューティ業界の多彩なクリエイターと共鳴し、新たなビジュアル表現を追求する連載【ARISAK Labo】。Vol.11のゲストは、ラッパーOZworld(オズワルド)。昨年10月に武道館ライブを終えたばかりの撮影で生まれたビジュアルは、まさにOZworldの現在値を示すものとなった。
PROFILE: OZworld/アーティスト

“Nature Future”
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2019年に発売したファーストアルバム「OZWORLD」の撮影で出会って以来の仲だという2人。今回の撮影はこれまでの連載とは異なり、あえてストーリーを決めすぎずに臨んだ。2人の関係性から生まれる自然体な姿から、“OZworldの今”を表現した。
Inside story of OZworld × ARISAK
WWD:2人の出会いとは?
OZworld:僕からインスタでDMを送ったのが最初です。その時ファーストアルバム「OZWORLD」を制作していて、ジャケットを撮影するにあたってフォトグラファーを探していたんですが、たまたま見つけたのが僕のDJの友だちの写真で。その写真の質感や雰囲気にすごく引かれて、ARISAKにたどり着きました。
ARISAK:DMをもらってオズくんのインスタを見たとき、ファッション感度が高くて「東京の人なのかな」と思ったんですが、沖縄と知って意外でした。自分の独創的な世界観をファッションやビジュアルで表現しているなって。その時もオズくんは沖縄に住んでいたので、撮影前にブレストしようとビデオ通話で初対面を果たしました。
OZworld:写真を見ていたときから「絶対宇宙人やん!」って思っていたので、ビデオ通話でもいきなり「ARISAKさんって、宇宙人ですよね?」と聞いてしまって、一瞬空気が固まる、みたいな(笑)。作品を見て雰囲気が好きだったし、他にも義足のアーティストの写真を撮影していたのもあったりして、「自分を解放してくれるんじゃないか」って最初から信じきっていました。
ARISAK:私も「宇宙人が来たな」っていう感じで(笑)。当時の私は今ほどラッパーの世界をあまり知らなかったので、正直未知の世界だなって感じていて。オズくんのことを知って、ファッション感がありつつラップをやっているアイコン的な可能性を感じて、すごくワクワクしました。“ピースフルな人”ってイメージが元々あって、それは実際に話しても想像通りだったんですけど、宇宙人って言われるとは思いませんでしたね(笑)。
WWD:ファーストアルバム「OZWORLD」の撮影はどんな感じだった?
OZworld:自分の企画で、本格的な撮影をするということが当時の自分にとってはほとんど初めてで。そのときARISAKが集めてくれたメンバーは今も一緒に動くことが多くて、“チーム・エイリアンズ”と呼んでいます。Amazing JIROさんには直近の武道館ライブで龍のプロップを制作してもらったりして。ARISAKがおすすめする人なら絶対間違いないって思っていますね。会わなくてもお互いテレパシーで分かり合えているような感覚があります。3rdアルバム「SUN NO KUNI」でもARISAKに撮影してもらい、その時の様子がこの動画です。
WWD:ARISAKさんが連載にOZworldさんを迎えたいと思った理由は?
ARISAK:元々ずっと一緒にやりたい気持ちはあったんですが、オズくんのスケジュールも考えるとタイミング的に今だなって。昔から一緒に頑張ってきた人とまたこうして撮影できて、なんだか感慨深いです。彼の写真を撮るときは、彼が持つ自然体な部分をもっと引き出したくて。これまでもオズくんを撮影してきましたが、笑顔のときも真顔のときも、キメすぎず少し抜け感があるような、自然体なときのオズくんがすごく魅力的だなと思っていて。
だから今回の撮影でも、ものすごい緊張感や焦燥感があるというよりは、肩の力を抜いてときどき会話しながら、ナチュラルなムードで撮影したいなと思いました。普段この連載でゲストを撮るときはストーリーをたくさん考えて撮影に臨むことが多いのですが、今回に関しては、“これまでの関係とその先にある未来の“通過点”を撮れたらいいなって。
WWD:撮影中には「お互い成長したよね」と笑い合っていましたね。
OZworld:今回撮影した写真を見て、派手すぎず、シンプルすぎず、”今のOZworld”がすごく表現されていました。色々な経験を経て自分が持つことができた余裕も感じさせられました。植物のセットを作ってくれたコウちゃん(ハシグチコウイチ)や、Amazing JIROさんが作ってくれた龍の頭、スタイリストのアンヌもですが、みんなとずっと時を共にしていたからこそ表現できるものが作れたんじゃないかな。ファーストアルバムのジャケットを撮影したときはまだ中学生くらいだった自分のいとこが、今回はマネージャーとして現場にいて。時の流れを感じられて、なんだかエモかったですね。

WWD:10月の武道館ライブ「369 at 日本武道館」には、ARISAKさんも見に行ったと聞きました。
ARISAK:武道館にいるっていうことを良い意味で忘れさせてくれるようなライブでした。ファンタジーの中にいるような没入感。演出や照明、共演者の衣装も全部かっこよかったです。30人以上の琉球エイサー演者たちがパフォーマンスする中心で、Amazing JIROさんが作った巨大な龍が舞っていて。本当に圧巻でした。

OZworld:うれしいです。僕がやりたいことを演出家に伝えて、本当に良いものができました。PA機材の問題で、声が会場に届かないトラブルもあったり。そして実はリハーサルの時のコンディションはすごくよかったのですが、本番直前にストレッチをしようとしたら足が攣ってしまって(笑)。そんなキツい状態のままステージに出て3曲くらい一生懸命歌っていたんですが、結果的に見ていた友だちからは「すごいパッションを感じた」と言ってもらえました。ライブだからこそハプニングもあるし、そんな状況を楽しみながら乗り越えていきたいですね。
ARISAK:そういうのが思い出になるからいいよね。大きいことをしようとしたら絶対に何かトラブルは起きるだろうし。私はそんなことが起きていたなんて気づかず、客席で感動して泣いていました(笑)。
OZworld:それ完全にお姉ちゃんの立場でしょ(笑)。ステージから仲間の顔が見えたときに、そんな親心的なことを感じてくれてるのかなって思ったら、僕も泣きそうになってしまいました。一緒にライブを作るみんなの本気度もたくさん感じられた。武道館はアーティストとして重要な通過点でもあるから、そこを自分らしい形で乗り越えることができてうれしいです。
ARISAK:大人になったね。前だったら撮影中、照れ隠しなのか変顔をしたりしていたから(笑)。ちょっと寂しい気持ちもあるけど、お互い成長していく楽しさがありますよね。
OZworld:武道館を終えて、今は次のフェーズに飛ぶための“しゃがみ期間”。僕はアーティストだけど、その枠を超えたこともやっているし、これからもやっていきたいです。だからこそ悩みの種はたくさんあるし、悩むことすら仕事なのかもしれないなと思っていて。でももっと高みを目指すなら自分だけではできないし、仲間たちみんなで意識を変えて向かっていきたいし、自分自身のことを知る大事さも感じています。

WWD:3月からは「369 ZEPP TOUR 2026」が始まりますが、意気込みは?
OZworld:実は武道館で行ったライブも「369(弥勒)」プロジェクトの一部で、武道館では「369」の “3”、そして次回のZEPPは“6”で、この先も続いていきます。ZEPPツアーは僕の物語の真ん中であり、物語の一部。武道館に来てくれた人も来られなかった人も、ぜひ見に来ていただけるとうれしいです。
WWD:音楽以外にも色々な活動をされていますが、今後やってみたいことは?
OZworld:将来的にはOZworldという存在そのものをDAO化して、色々なOZworldがいる経済圏を作っていくこと。新たなテクノロジーを使いながら、僕の楽曲のタイトルでもある“Over Zenith”という概念をもとに、僕が考える“NINOKUNI”の世界を現実化していこうって。これまでにそんなことをやってきたアーティストはいなかったと思うけど、今後は世界的にもそういうコミュニティーができていくんじゃないかな。そんな僕独自の経済圏を沖縄に持って帰って、これまでにないことにチャレンジしていきたいです。地方にあるものとないもの、都会にあるものとないものーーそういうものを組み合わせて新時代の答えが作られていくんじゃないかなって。

PHOTOS:ARISAK
STYLING:ANNE
HAIR & MAKEUP:MIKI
FLOWER DESIGN:KOICHI HASHIGUCHI(LOYALTY FLOWERS)
LOGO DESIGN:HIROKI HISAJIMA