ファッション

【ARISAK Labo vol.6】 マルチクリエイター・MLMAとの“本能的セッション”

フォトアーティスト・ARISAKがファッション&ビューティ業界の多彩なクリエイターと共鳴し、新たなビジュアル表現を追求する連載【ARISAK Labo】。Vol.6となる今回は、ファッションデザイナー、ラッパーなど、マルチクリエイターとして多岐にわたり活動するMLMA(Me Love Me A lot)が登場。5月、韓国にあるMLMAのスタジオで行われたのは、MLMA本人曰く「ノー・プラン、ジャスト・ヴァイブス!」な撮影セッション。クリエイティブに情熱をそそぐ2人と現地のクリエイターチームにより生まれた作品とは。

クリエイターの心が通じる“本能的セッション”

「連載1回目のLil Cherryちゃんの撮影の次の日にサプライズで登場したMLMA。Cherryちゃんが誕生日だったこともあり、一緒に寿司パーティーをしたり、カラオケをして意気投合しました。今回は私が韓国に行くタイミングで連絡を取り合い、撮影しようということに。もともと彼女が作っていたアート作品に私や韓国のクリエイターのインスピレーションが融合したような、“本能的セッション”と言えるような撮影でした」。

By ARISAK

PROFILE: MLMA(Me Love Me A lot)/マルチクリエイター

MLMA(Me Love Me A lot)/マルチクリエイター
PROFILE: 韓国、ソウル在住。自身のブランド「スクート」を手掛けるほか、モデル、ラッパー、アーティストなど活動は多岐にわたる。今年5月にEP「MLMA」をリリースした

Inside stories of
MLMA × ARISAK

WWD:お互いの第一印象は?

MLMA:静かだけど印象的で、自然と目を引くような人。初めて会った夜、Lil CherryとARISAKが一緒に撮影をしていたことを聞いて、彼女の作品をその場で少しだけ見せてもらい、それがすごく自然に心に響いたんです。彼女の作品は繊細でありながらどこか幽玄で、その世界観を感じ取ることができました。それはまるで、新しい言語なのに、すでに理解しているような不思議な感覚。一緒に何かを作ったら、きっと楽しくて、感情に溢れたものになるだろうと直感しました。

ARISAK:彼女のことは少し前から知っていて、「スクート(SKOOT)」というブランドをやっていながら絵も描けて、ペイントもできるかと思えば、立体作品も作る。さらには映像もディレクションするマルチな才能に注目していました。特に記憶にあるのはビンテージのポルシェにしたペイントや、背中に装着できる翼、「ミスチーフ(MSCHF)」の“ビッグ・レッド・ブーツ”のゴシックなリメイク、そして等身大の自分のマネキン作品ーー彼女のやること全てがクレイジーでかっこいい。視野を広げてくれるような、そんな気持ちにさせられます。

WWD:撮影の準備はどのように進んだ?

ARISAK:もともと、彼女が作ったアート作品とともに撮影をしたいと思っていました。韓国に撮影やプライベートで行き来している時に仲良くなったヘアメイクやスタイリストの仲間たちに急遽協力をお願いしたのですが、それぞれ最高の衣装やフェイスアクセを用意してくれ、すごく情熱的に協力してくれたのが本当にうれしかったです。

WWD:実際に撮影をしてみて感じたことは?

MLMA:事前に細かくイメージを作ったというよりは、“ノー・プラン、ジャスト・ヴァイブス!”という感じで撮影を行いました。急に決まったこともあり私のスタジオで撮影を行ったのですが、そこにあるアート作品を自然に融合させるようなイメージで撮影は進み、すべてがぴったりとハマっていく感じ。チーム全員の情熱に心を打たれ、コラボレーションの力を改めて感じられました。すべてはARISAKのエネルギーがあったからこそ実現したもの。心から感動しました。赤い衣装に、シュールなメイクを合わせたルックは特に印象に残っています。まるで3Dグラフィックスを現実に持ち込んだような仕上がりで、細部までとても美しいものでした。

ARISAK:彼女のスタジオは、ソウルの中心から少し離れた場所で東京の下町みたいな雰囲気のエリア。山も見えて静かで作業に集中できそうな素敵な場所です。スタジオに入ると、MLMAの作った作品が宝物のようにたくさんディスプレーされていて、リメイクしたぬいぐるみや「スクート」制作の作業ルーム、白ホリのスタジオもあり、私も「こんなスタジオが欲しい」と思いました。そして、彼女のクリエイターへの絶対的リスペクトも熱く感じられました。各クリエイター陣を信頼し、任せてくれたのがとてもうれしかったです。「新たなクリエイターとコラボして新しい自分に出会えるのが楽しいから」と言ってくれました。プロデュースしたり仲間と何か作る場面がすごく多いからこそ、私の気持ちも理解してくれているのだと思います。

WWD:撮影後はどのように過ごした?

ARISAK:彼女にご飯連れて行ってもらいました。韓国式の焼いてくれる焼肉ですごく美味しかったです。いつも韓国に行く時は、現地の友達について行くスタイルです。友人も呼んでガールズトークをしたり、穴場のバーみたいなところにも行って、ナイトアウトを楽しみました。インスタで見ていた彼女はクールな印象でしたが、話すと本当に面白くて、素敵な女性です。

「『やりすぎ』って思われるくらいがちょうどいい」
MLMAから日本のファンへメッセージ

WWD:漫画「NANA」に大きな影響を受けたと聞きました。日本文化はあなたにとってどんな存在ですか?

MLMA:あんなふうに恋をして、あんなふうにファッションを楽しみたいって思うようになった作品です。特に作品に登場する「ヴィヴィアン・ウエストウッド(VIVIENNE WESTWOOD)」のアイテムたちには、すごく影響を受けました。私の作品のインスピレーションであるロマンスや反抗心のイメージも、「NANA」から生まれたもの。昔から日本が大好きで、実は初めて“逃避行”した場所も日本。中学生の頃に親ナシで友達4人で日本に行き、完全にカオスだったけど、あの思い出は未だにに心をワクワクさせてくれます。最近ハマっているのは「今際の国のアリス」。俳優の三吉彩花さんと韓国で会ったのも忘れられない思い出です。彼女は完全に、“ガールクラッシュ”です!

WWD:5月にリリースしたEP「MLMA」について教えてください

MLMA:「MLMA」は、“カオスの中にある楽しさ”を感じられるように作りました。あまり深く考えすぎずに、楽しくて、正直で、ちょっとぶっ飛んでる感じ。それぞれの曲にそれぞれのムードがあるので、聴いてくれる人が自分の感情に素直に浸れるような作品になっているといいなと思っています。昔から支えてくれて、「変わってるけど好き」って言ってくれるファンのために作ったものです。

WWD:最後に、読者へメッセージをお願いします!

MLMA:「やりすぎ」って思われるくらいがちょうどいい。大きな声を出してもいい、優しくてもいいし、変でもいい。“自分がなりたい自分”でいてください。安全な道を選ぶには、人生は短すぎるから。そして日本のファンのみんなへ――ちゃんと見ています。愛してる!「MLMA」を聴いて、誰にも見られていないかのように踊ってくれたらうれしいです!


CREDIT

COSTUME/MINACHUNG, ACCESORIES:32DAWN,
WHITE NAIL CHIP¥45,000, RUBY NAIL CHIPS¥45,000/LUEUR BY MAYUO(XANADU TOKYO03-6459-2826)

DIRECITON & PHOTOS:ARISAK
MODEL:MLMA
STYLING:CHOI MISUN, KIM EUN JI, KIM TAE YOUNG(TEAM IIDO)
HAIR:SINWOOGIE(OVERMARS)
MAKEUP:LKEE EUNSEO(XOXOV3), LEE YEWON
SPECIAL THANKS:KOTOHA & DANNY
LOGO DESIGN:HIROKIHISAJIMA

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