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米日用品大手キンバリー・クラークが「バンドエイド」や「ドクターシーラボ」「ニュートロジーナ」を擁するケンビューを買収

ティッシュペーパー「クリネックス(KLEENEX)」や紙おむつ「ハギーズ(HUGGIES)」などを手掛ける米日用品大手キンバリー・クラーク(KIMBERLY CLARK)は、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JOHNSON & JOHNSON)のコンシューマーヘルス事業を分社化して2023年に設立されたケンビュー(KENVUE)を487億ドル(約7兆4511億円)で買収すると11月3日に発表した。取引は規制当局の承認を経て、来年下半期の完了を見込んでいる。

ケンビューは生活者のヘルスケアに特化したグローバル企業として、衛生用品「バンドエイド(BAND-AID)」のほか、スキンケア「ドクターシーラボ(DR.CI:LABO)」やスキンヘルス「ニュートロジーナ(NEUTROGENA)」、オーラルケア「リステリン(LISTERINE)」などを展開。7月にティボー・モンゴン(Thibaut Mongon)前最高経営責任者(CEO)の退任を受けて戦略的見直しを実施し、「株主価値を最大化し、潜在力を引き出すため」として、事業ポートフォリオの再評価などを進めていた。

キンバリー・クラークのマイク・スー(Mike Hsu)会長兼CEOは、「ケンビューは消費財とヘルスケアの交差点に位置し、ヘルス分野をけん引している。科学と技術を基盤に“卓越したケア”を届けるという共通の使命の下であらゆる世代の消費者に寄り添い、グローバルなヘルス&ウェルネス企業として存在感をさらに高めていく」と述べる。

ケンビューのラリー・メルロ(Larry Merlo)会長は、「両社の統合により、より広範な成長機会を持つグローバルリーダーが誕生する。この新たな章に期待しており、株主および全てのステークホルダーにとって最良の道だと確信している」とコメント。発表後にケンビューの株価は14%上昇し、キンバリー・クラークの株価は13.9%下落した。

逆風の中で決断した7兆円超買収

投資会社ウィリアム・ブレア(WILLIAM BLAIR)のジョン・アンダーソン(Jon Andersen)=アナリストは、「今回の取引でケンビューの短い独立企業としての歴史は終わりを迎える。キンバリー・クラークはタイレノールをめぐる論争が沈静化すると見込み、10億ドル(約1530億円)規模のブランドを含む多様なポートフォリオを構築すればスケールメリットを享受できると判断したのではないか?」と分析する。

“タイレノール論争”は、7月にドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が「妊娠中にタイレノールを服用すると自閉症を引き起こす」と根拠のない発言をしたことに端を発する。その後、テキサス州司法長官ケン・パクストン(Ken Paxton)氏がケンビューとジョンソン・エンド・ジョンソンを相手取り、「アセトアミノフェン(タイレノールの有効成分)の危険性を認識しながら妊婦向けに“誤解を招く形で”販売した」として訴訟を起こしている。

これに対しケンビューは、「アセトアミノフェンの安全性に関する誤情報が拡散され、米国の女性と子どもの健康に悪影響を及ぼす可能性があることを深く懸念している」と声明を出している。

本文中の円換算レート:1ドル=153円

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