ユェチ・チ=デザイナーによる「ユェチ・チ(YUEQI QI)」は「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week Tokyo)」で、2026年春夏コレクションを発表した。会場はJR山手線鶯谷駅から徒歩5分ほどのダンスホール新世紀だ。温もりあるスポットライトが照らす、昭和の残り香が漂うホールで披露されたショー。ダークロマンスとガーリーが同居するキッチュなムードの中に、ユェチ=デザイナーの手仕事へのリスペクトが潜んでいた。
ベロアのイスに腰をかけ、ショーの開始を待つゲストたち。舞台袖から、ハトメの装飾とサイドのレースアップがフェティッシュなブラウスと2種類のストライプ柄をパッチワークしたスカートのファーストルックが現れた。首に巻いたレース柄のスカーフや黒いフリルで縁取られたトートバッグ、足元のレースアップシューズなど、デコラティブな小物が少女のようなムードを添える。
コレクションは、凝ったデザインで見る者の目を飽きさせない。長丈のパンツにはフロッキー加工の黒レースでネコのモチーフを忍ばせたり、“愛”の文字を編んだり、レザーシューズにはパンチング加工でハートを描いたり。モデルが歩く一瞬の間にさまざまな仕掛けを発見する楽しみがある。「推理映画を観るように各々の感覚で解釈してほしい。常に新しい気付きがあったら」とユェチ=デザイナー。
チビT×カーゴパンツの合わせなど、カジュアルなスタイリングを連打する中、異彩を放ったのは巨大な翼を背負った天使のラストルックだった。深紅のレザーをハンドメイドで緻密に編み上げたドレスからは、ユェチ=デザイナーの手仕事への情熱が溢れていた。
ショー会場でキャッチ!「ユェチ・チ」ガールたち
今季のコレクションに勝るとも劣らず、来場者のファッションは遊び心あるディテールに富んでいた。胸元のネックレスから指先を彩るネイル、バッグに付けたキャラクター物のキーホルダーまで、彼女たちの個人的な趣味趣向がにじみ出る。ゴスやロリータ、Y2Kなど、ジャンルを問わない多彩なファッションのゲストが集ったことも特筆すべきだろう。