PROFILE: 西岡修平(中央)/マイルストーン ファウンダー

単なる運動としてではなく、カルチャーや自己表現としてトレイルランニングを楽しむ人が増える中で、ウエアやギア選びにおいても、自分のスタイルを出したいというニーズが高まっている。大阪の天王寺から電車で一駅の寺田町。下町の雰囲気の中に、突如モダンな建物が現れる。2014年にヘッドランプから始まったブランド「マイルストーン(MILESTONE)」の店舗兼オフィスだ。ファウンダーの西岡修平氏ら、スタッフ3人が出迎えてくれた。(この記事は「WWDJAPAN」2025年6月9日号からの抜粋です)
1階はイベントスペースで、クラフトビールやワイン販売の冷蔵庫があったり、DJブースがあったり。ランナーが手掛けるピザ屋のポップアップを行い、ランニング後に皆で楽しむといったイベントもここで行っている。“LIGHTING YOUR WAY.”と記された印象的な壁を横目に2階に上がると、そこが店舗。原点のヘッドランプのほか、トレラン向けを中心としたアウトドアアパレルが並ぶ。什器1つ1つにまで美意識が行き届いた店内は、下町にあるガレージブランドの店を想像しているとかなり面食らう。
モデル名は音楽に由来
西岡氏の実家は、店舗向かいに工場を構えるランプや釣具の老舗メーカー、冨士灯器を営む。現在は3代目として兄が社長を務め、マイルストーンは同社で運営。西岡氏は米国で写真を学び、25歳で帰国した後に家業に従事。しかし、「釣り用品を販売しているが、自分は釣りがそこまで好きではなかった(笑)。ヘッドランプ作りのノウハウや卸先ネットワークを生かして、他のアウトドア分野を開拓できないかと考えた」のが、「マイルストーン」立ち上げのきっかけだ。ただし、当時は特にアウトドアに傾倒していたわけではないという。転機となったのは、日本一過酷な山岳レースと呼ばれる“TJAR”を現在2連覇している土井陵選手との偶然の出会い。「トレラン向けに、ずば抜けた性能の日本製ヘッドランプを作ろう」と意気投合し、2年半かけて開発。20年には、土井選手と全国のトレラン専門店を行脚するイベントも実施した。でも、「当時は自分はランナーではなかったから、話していても説得力が薄かった」。自分も走らなければ見えない世界があると一念発起し、「やる以上は中途半端にはできない」と、今や100マイラー(160kmレース完走者)だ。
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