
毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2025年3月3日号からの抜粋です)
大塚:メンズコレ特集第2弾は、前回(2月3日号)で示した大きな流れから一歩進んで、具体的なトレンドを整理する内容です。日常着のアップデートがメインテーマです。
藪野:既存のスタイルをいかにアレンジするか。今季もシルエットの変化や色合わせ、素材の使い方によって、今の気分や新鮮さをどう表現するかがカギになりました。
サイズ感の変化が面白い
大塚:特にサイズ感の変化は面白かったです。上はコンパクト、下はワイドといったメリハリのあるシルエットが多かったですね。
藪野:あと、「野生味」というキーワードは注目です。そこには、直感的にデザイン要素をミックスするアプローチと、ワイルドな旅に出るイメージの2つの意味合いを感じました。代表例は「プラダ(PRADA)」や「サカイ(SACAI)」。前者はウエスタンやグランジ、グラムロックなどを本能的に組み合わせ、後者はアウトドア感を都会の着こなしに取り入れながら冒険のストーリーを描きました。どちらも人工ファーやヘアカーフなど、野生味あふれる素材使いが目を引きましたね。
大塚:暖冬の日本で売れるかは疑問ですね(苦笑)。
藪野:そうですよね。全体に用いたコートは難しそう。日本では、レザージャケットが本命アイテムになりそうです。コンパクトなライダースをコートの下に合わせたスタイルは新鮮でしたし、引き続きゆったりしたブルゾンをガバッと羽織る着こなしも多く、好みに合わせて選べる豊富なバリエーションが魅力的でした。
大塚:レザーブルゾンは欲しいですね。ミラノでは、ニットをスラックスにインするスタイルがあらゆる主要メゾンで出てきて驚きました。これは日本でどこまで浸透するか気になります。春夏のTシャツのタックインが一般化したように、今後はニットのタックインも定番化するかもしれませんね。
藪野:スラックスのサイズアップは免れないですね(笑)。ただ、今季らしいシルエットを表現する方法の一つとも言えそうです。クロップド丈やベルトマークなどでウエスト位置を高めに持ってきた着こなしも多く見られました。