阪急阪神ホールディングスとエイチ・ツー・オー・リテイリンググループ(以下、阪急阪神グループ)は、これまで各社で発行してきたクレジットカードや現金ポイントカードの集大成として、グループ共通の関西限定ポイント「Sポイント」サービスを今年4月下旬から開始する。グループ内の企業が提供するカードであれば、どのカードを利用してもSポイントが付与され、貯まったポイントは関西エリア内のグループ施設で利用できる。付与ポイント数は各カードやイベントで異なるが、1ポイント=1円として利用が可能。ただし、現金ポイントカードについては、発行する店舗間での相互利用に限られる。また、百貨店カードの特典は割引からSポイントサービスに変更する。
現在、同グループは関西エリア内で約20種類、約750万枚のポイントカードを発行。そのうちクレジットカードは約220万枚、現金ポイントカードは530万枚。約2000万人約860万世帯の関西マーケットのなかでは圧倒的なシェアを誇る。利用額、ポイント高は8600億円の買い上げに対して約70億ポイント(2014年度実績)と年々拡大している。「そのネットワークを結ぶのがSポイントカード。宝塚歌劇や甲子園球場などグループ内には施設や事業が充実しているので使いみちがバラエティに富んでいる。他社ポイントに比べると汎用性が高い」と鈴木篤エイチ・ツー・オー リテイリング社長。ポイント施策の共通化により、各施設の集客力の向上と顧客の固定化が図れ、グループ全体の大きな柱になることを期待する。ちなみに、エリア内の消費額が27兆円に対して、同グループの関与額は約4%の1兆円に迫る。これを将来的には6?7%に拡大したい考えだ。
阪急阪神ホールディングスの角和夫・社長は「関西最強のグループ、最強のカードをめざす」と意欲を燃やす。「1986年に百貨店と東宝、鉄道グループが一体となってペルソナカードを発行した。2009年にはクレジットカードを統合してスタシアカードがスタートしたが、当時は年間5億ポイントの規模。貯めた店でしかポイントは使えず、顧客の利便性、グループの総合力の点でも不十分だった。30年後の今年、まさに集大成となるSポイントが誕生する。地域限定ポイントだが、中身の濃いサービスを提供できると思う」。
今後は、関西を基盤としたグループ外企業の加盟を呼びかける他、他社ポイントとの連携も図り、4年後1000万枚の発行をめざす。ネットショップは2016年度中にSポイントを導入する予定。流通系カードでは東急グループが発行する「東急カード」が先行して統合したが、エリア中カバー率では「Sポイント」がダントツの規模になるという。