ビューティ

韓国コスメのECを美容専門家が解説 現地最新トレンドも聞く

日本でも人気の韓国コスメは、セレクトショップやドラッグストアなど身近な場所で購入できるようになってきた。しかし、韓国でコスメを買う時、どのようなプラットフォームが利用されているのか、韓国コスメ“界隈”のことは意外と知られていない。そこで今回、カン・ハンナ「ミラリ(MIRARI)」ファウンダー、「ウンユル (EUNYUL)」、「サミュ(SAM'U)」や「ユイラ(EUYIRA)」を展開する、ダイヤコーポレーション 開発ディレクターのトニー チョン・ジェウク氏、ケリー・ジョン「ファミュ(FEMMUE)」ファウンダーに韓国のコスメのプラットフォームや、最新トレンドについて聞いた。

――韓国で、自身が利用しているプラットフォームは?

カン・ハンナ「ミラリ」ファウンダー:「オリーブヤング(OLIVE YOUNG)」と「ダブリューコンセプト(W CONCEPT)」。「オリーブヤング(OLIVE YOUNG)」は、韓国のコスメのトレンドが一気に分かり、頻繁にお得なプロモーションを実施している。「ダブリューコンセプト(W CONCEPT)」はブランドが厳選されており、ウェブサイトが見やすいので気に入っている。

トニー(TONY)ダイヤコーポレーション 開発ディレクター:2016年に来日しているので、今のトレンドとは少し異なるかもしれない。当時は「クーパン(COUPANG)」と「ネイバーストア(NAVER SMART STORE)」を多く利用した。「クーパン」は、業者間の価格競争を通じて最低価格を維持していたので、時間がないときにオススメだ。「ネイバーストア」はさまざまなオープンモールの価格を比較してくれるため高額の製品を購入するときや、時間に余裕がある時に使っていた。

ケリー・ジョン「ファミュ」ファウンダー:私はオンラインよりオフラインで製品を試して、話を聞いてから購入するタイプだ。近所にブランドの店舗がない場合は、ブランドの公式オンラインサイトから購入する。ブランドの哲学や商品ラインナップ、製品の紹介もトータルで確認できるので、公式サイトを好む。

――例えば「1つ買ったら1つプラスでおまけがつく」サービスなど、韓国ならではのサービスは?

カン・ハンナ「ミラリ」ファウンダー:韓国では、「本日だけの特別価格」サービスが人気だ。大人気の商品が突然50%ディスカウントになる場合も多い。

トニー ダイヤコーポレーション 開発ディレクター:個人的に、韓国は出血競争によるおまけ、割引のサービスがマーケティングの主流になっていると感じる。また、製品力と口コミに加え、売上を上げるために割引を積極的に行う印象だ。

ケリー・ジョン「ファミュ」ファウンダー:韓国ならではの営業戦略としては、大幅割引、華やかなGift With Purchase、直感的でわかりやすいコピーやフレーズなどが挙げられる。ただし、「ファミュ(FEMMUE)」は、韓国での競争を念頭に置いて始めたブランドではなく、この限りではない。

――では、韓国でコスメを買う際、メジャーなプラットフォームは?

トニー ダイヤコーポレーション 開発ディレクター:ある統計資料によれば、売上1位は「クーパン(COUPANG)」&「クーパンイーツ(COUPANG EATS)」、2位が「ネイバーショッピング(NAVER SHOPPING)」、3位は、新世界(シンセゲ)グループが運営する「SSGドットコム」&「EBAY KOREA(イーベイコリア)」の順だった。3位のSSGドットコムは、日本ではなじみのない印象かもしれないが、韓国流通大手が運営するオンラインプラットフォームだ。

ケリー・ジョン「ファミュ」ファウンダー:韓国で利用頻度No.1のポータルは「ネイバーショッピング(NAVER SHOPPING)」だろう。年齢を問わず消費者の数が多い。韓国のメーカーは独自の公式サイトを運営するより、NAVER SHOPPING内でのストアを公式サイトとして使用することも定番になりつつある。会員登録や決済方法が容易で使いやすのも人気の理由だ。また、主に20~30代が使用するECプラットフォームとして、「オリーブヤング(OLIVE YOUNG)」は、オンライン・オフライン共にメジャーだ。30代、40代に人気なのは、「クーパン(COUPANG)」、「ビューティカーリィ(BEAUTY KURLY)」に代表される早朝配送が可能なチャネル。当日夜11時以前に注文すると、翌朝7時までに玄関へ配送してくれるため、「寝る前に注文」というコンセプトで愛用されている。他にも韓国市場はインフルエンサーの販売パワーが非常に強い。インフルエンサーに追従する多くのフォロワーからの相互信頼のもと、購入が行われている。40~60代ではホームショッピングチャンネルも人気で、韓国のホームショッピングパワーは強い。ターゲット層の購買力も高いため、韓国内で成功するためにはホームショッピングチャンネルで販売しなければならないという公式があるほどだ。

カン・ハンナ「ミラリ」ファウンダー:年齢層関係なく誰もが使っているのが「ファフェ(HWAHAE)」と「オリーブヤング(OLIVE YOUNG)」。そのなかで も20〜30代の感度の高い人は「シコル(CHICOR)」と「29CM」もよく利用されている印象だ。

――韓国でのメイクアップまたはスキンケアカテゴリーのトレンドは?

ケリー・ジョン「ファミュ」ファウンダー:エンデミック(一定地域で普段から継続的に発生する状態)以後、メイク製品に関心が戻りつつあるが、基礎化粧品に対する人気とボリュームは、依然として大きい。韓国女性は、平均6つ以上のスキンケア製品を使用しているほど、きめ細かなケアを好む。そのため、スキンケア製品の種類を減らそうというのが昨今のトレンドではあるが、トレンドである一方、現在も韓国女性は数多くのスキンケアを好んで使っている。

カン・ハンナ「ミラリ」ファウンダー:自然由来の成分を中心としたナチュラル商品が主流となり、脱毛を防ぐための韓方植物を配合したシャンプーとトリートメントが支持されている。多くのブランドからも商品が出ていて、男女関係なく、脱毛を含め、ヘアケアにますます興味が高まっていることを感じる。もう一つ。中身の成分だけではなく、化粧品のリサイクル容器にも注目が集まり、消費者も意識が高まっている。リサイクル容器に力を入れているブランドとして「アロマティカ(AROMATICA)」が挙げられる。持続可能なパッケージの研究や多様な資源循環活動に注力し、急成長している。

トニー ダイヤコーポレーション 開発ディレクター:10代、20代の男性をターゲットに、ジェンダーニュートラルトレンドを活用したマーケティングが活発に行われている。かつて、韓国の男性化粧品は手軽さや、マッチョなイメージをアピールする広告が主流だった。最近では、ソフトなイメージ、ライトなカラー、個性尊重のメッセージなどを活用して男性消費者を狙っている。また、日本のZ世代にあたる「MZ世代」の存在も重視している。過去には主に中年層向けのマーケティングを行っていた脱毛シャンプー「アイエムシャンプー(I AM SHMPOO)」は、MZ世代に人気のモデル「ビビ(BIBI)」を抜擢し、若年層にアプローチしている。

――韓国では既にメジャーでも、「まだ」日本では認知が広まっていない、メイクアップアイテムやスキンケアアイテム、成分などは?

カン・ハンナ「ミラリ」ファウンダー:毛穴や肌の凸凹のカバーをしながらメイクを長持ちさせる下地「プライマー」は、韓国では昔から人気のあるアイテム。最近では、シミなどを隠すコンシーラーを使わずに、ありのままの自分を出すナチュラルメイクが流行り始めている。肌のトーンや凸凹を整え、すっぴんに近いナチュラル感を出すためにプライマーだけで仕上げる人もいる。

トニー ダイヤコーポレーション 開発ディレクター:国では、マスク・パックの市場が「トナーパッド」に取って代わられているという業界資料があるほど、人気は拡大傾向だ。現在は部分パックや、クリームパックの提案も浸透してきた。対して、日本マーケットでは、トナーパッドの浸透は容易ではなさそうだ。日本では個包装のシートマスクが人気で、トナーパッドは成長半ばという印象だ。

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