ビューティ
連載 ファッション業界人も知るべき今週のビューティ展望 第117回

少子化対策とZ世代の理解は喫緊の課題

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ビューティ・インサイトは、「WWDJAPAN.com」のニュースを起点に識者が業界の展望を語る。今週は、化粧品・日用品企業が狙うべきターゲット層の話。

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佐藤和佳子/三菱UFJモルガン・スタンレー証券 シニアアナリスト プロフィール

(さとう・わかこ)1992年に岡山大学大学院自然科学研究科修了、同年住友信託銀行に入社。94年から株式アナリスト業務、2006年入社のみずほ証券を経て19年5月から現職。日経ヴェリタスのアナリストランキングにおいてトイレタリー・化粧品セクターで17年から6年連続で1位を獲得

厚生労働省は6月2日、日本の1人の女性が生涯に産む子どもの推計人数を示す合計特殊出生率が、2022年は1.26(前年は1.30)と、05年と並んで過去最低だったと発表した。少子化対策が強化される一方、財源には社会保険料の上乗せや、75歳以上の医療費負担の引き上げが検討され、6月からは電気料金の値上げが実施されるなど、本質的な背景にある経済負担や将来への不安が軽減されるのかが不安なところだ。化粧品・日用品業界においては、総人口に占める割合が高いシニアにフォーカスしがちでもある。その戦略は正しいが、少子化対策は、ベビー用品を扱うピジョンなどの育児用品業界しか恩恵がないのだろうか。

総務省の22年の家計調査から「理美容品(化粧品)」消費額を年齢別に見ると、ほぼ「年功序列」であることが分かる。しかし、50代の消費額は10年の20代比58%増から22年は同20%増、40代は同50%増から同12%増まで差が縮小しており、22年の60~70代の消費額は20代よりも低い。ちなみに消費額は、00年を100とした場合、22年の20代は161、30代は151、40代は129、50代は139、60代は127で、20代の消費額の伸びが大きい。人口が増え、1人当たりのGDPが成長すれば化粧品市場は確実に大きくなる。少子化対策で若年層が増加するならば、化粧品業界にとっても高成長をもたらす好影響が期待できるということである。

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