ビューティ

「アットコスメ」の口コミから読み解く“リップ”ヒットの法則

 マスク生活による消費の落ち込みが大きかった代表格ともいえる、リップカテゴリー。需要の回復傾向は、口コミからも読み取れるのか?今回は、「アットコスメ」に寄せられた「リップ」に関する口コミを、原田彩子「アットコスメ」リサーチプランナーが解説。ヒットの法則を読み解いていく。なお、リップは、ティント、口紅、クリームなどジャンルを問わず、全カテゴリーを対象とした。(集計期間:2022年7月1~31日)

―――7月、「リップ」カテゴリーで、象徴的に使われているワードは?

原田彩子「アットコスメ」リサーチプランナー(以下、原田):ランキングの商品ラインナップにも現れているが、依然としてマスクに付くかどうかが商品評価に与える影響は大きい。「マスク」の出現率も約2割と前年同月からの減少は見られていない。その中で、まだ件数は多くはないものの、リップカテゴリーの口コミ内で「肌」というワードの出現率が、前年同月比約1.4倍と増加傾向にある。リップメイクをすることで「肌に透明感が出る」「肌がきれいにみえる」といった口コミが投稿されるようになった。その他、「チーク」の出現も見られており、「リップにもチークにも」使える商品や使い方を表す口コミも現れている。

22年7月「リップ」口コミTOP5

1位「ケイト(KATE)」“リップモンスター”(全11色うちWeb限定4色、1540円※編集部調べ)

原田:「マスクに付かない」、「唇が荒れない」、「マットになりすぎない」、「塗り心地がよい」などと評される口紅。発売当初より、「コロナ禍でも口紅が楽しめる」と話題となり、ミニサイズや限定色の追加発売などの展開も豊富で、一年経ってもその人気は衰えていない。「飽きたなと思ったらリプモン同士で重ねてみたりしてます」「“忍ばせイエロー”や“陽炎”などと重ねると可愛く使えます」など、手持ちのリップと組み合わせている口コミが散見される。飽きずにメイクが楽しめる、手持ちのものを無駄にしないなど、あらゆる点において生活者のニーズを満たしている商品と言えそうだ。

2位「ディオール(DIOR)」“ディオール アディクト リップ マキシマイザー”(全15色、税込4180円)

原田:発売から15年が経過するロングセラー商品。アットコスメでは10年前にベストコスメアワード殿堂入りを果たしており、長きに渡り支持を受けている商品だ。口紅、グロスとして、トリートメントとして、下地や上から重ねてなど使用用途もさまざま。「唇がふっくらし、縦じわが目立たなくなる」、「ピリピリ・スースーする使用感が唯一無二でクセになる」、「手放せない」などリピーターからの口コミが多く見られる。パッケージの可愛さや色の好みを問わないので、プレゼントとしても重宝されている。

3位「セザンヌ(CEZANNE)」“ウォータリーティントリップマット”(全7色、税込660円)

原田:「この価格でこのクオリティ、すごい」「これが600円で買えるのは、企業努力の賜物だと思います」などコストパフォーマンスの良さを評価する口コミが多く寄せられている。お得感だけではなく、普段選ばない色やトレンドの色にチャレンジしやすいことも、メリットとして捉えられている様子。「塗った瞬間みずみずしいのに、唇にピタッと密着して、不思議な感じがしました」と、商品名通りの使用感とマスクに付かないことの両立が驚きをもって語られている。

4位「ロムアンド(ROM&ND)」“ジューシーラスティングティント”(全11色、5.5g、税込1320円)

原田:「シロップのようなサラッとしたテクスチャーでみずみずしい」など、果汁のようなジューシーな色や甘酸っぱい香りに対する記述が多い。さらに「味も美味しい」という声も出現するほど、五感で楽しんでいる口コミが多い。また、みずみずしいのにマスクへ付きづらく色落ちも汚くない点が評価されている。カラー展開も豊富で、淡い色からパキッとした発色のものまで好みやパーソナルカラーに合わせ選択している様子が垣間見られる。

5位「オペラ(OPERA)」“リップティントN”(全9色、税込1650円)

原田:「@cosmeベストコスメアワード2019」 殿堂入りを果たしている商品。「体温で溶けてい く」「するするとした塗り心地」など使用感の良さを評価する口コミが多く見られる。また、「細めのリップのためキワまできれいに塗ることができる」「コンパクトなので持ち運びに便利」などパッケージの利便性に関する声も多い。季節を問わない、年齢問わず使いやすい、どんなシチュエーションでもといった意見も多く、幅広い年代や嗜好性の方から支持を得ている点も特徴のひとつ。

―――7月、「リップ」以外で好調なカテゴリーは?

原田:連日の猛暑により、気になる肌のべたつきを抑え、崩れやすいベースメイクの仕上げやお直しに適しているフェイスパウダーが好調だ。特に7月に数量限定発売され「ナーズ(NARS)」“ライトリフレクティング プリズマティックパウダー”【数量限定】(10g、税込5500円)が、牽引した。サラサラな粉で、リフ粉の愛称で親しまれる「ナーズ(NARS)」“ライトリフレクティングセッティングパウダー プレスト N”(10g、税込5500円)と共に、高い注目を集めている。マーブル模様のパウダーが、光を反射し肌を美しく見せてくれ、口紅同様マスクに付きづらい。崩れないだけではなく「肌」をきれいに見せることの意識の高まりを感じさせる。また、カテゴリーではないが、一部ブランドの値上げに伴う駆け込み需要が見られた。いわゆるデパコスブランドに関する投稿が多く、「ずっと気になっていた商品を値上がり前に思い切って購入」など新たな商品を試すキッカケとなっている様子がうかがえる。

――― 注目している「トレンドの芽」は?

原田:UVスティック、スタイリングスティック、アイシャドウステックなどスキンケア、メイク アップ問わずスティック状の商品に注目している。携帯しやすさや、手で直接皮膚に触れずに済むため衛生的という口コミも見られており、荷物を減らしたいという気持ちや、コロナにより高まる衛生意識の高まりも後押しとなっているのでは。さらに韓国の影響を受け、日中マスクで崩れたメイク直しの際にも重宝するであろう、美容液を固めた「アンプルスティック」が、今後伸びていくのではないかと予想している。

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