ファッション

【2022年の海外ニュース振り返り】サステナビリティ編

 今年の国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)では「実行のCOP」がビジョンに掲げられたように、世界のサステナビリティへの取り組みは、「公約」から「行動」のフェーズに移っている。2022年は特に、開発段階だった次世代素材の商品化が進んだほか、リペアやリセールなどの循環型を前提としたビジネスモデルの始動が目立った。また、「サステナブル」という言葉の定義をめぐって、各地では法規制も進み始めた。米「WWD」の記事から、おさえておきたいサステナビリティ関連ニュースを振り返る。

1月

人権団体がIOCを批判 「IOCは北京五輪関連商品の生産について強制労働が関わっていないと保証できない」

 40カ国400団体によって構成される「ウイグル自治区の強制労働を終わらせるための連合(Coalition to End Forced Labour in the Uyghur Region)」は、国際オリンピック委員会(IOC)が北京冬季オリンピック関連商品の生産にウイグル人の強制労働が関わっていないと保証できないことに対して大きく反発している。
 同連合は、オリンピック関連商品の生産についてIOCが強制労働の有無を監査することを確約するよう8カ月にわたって求めてきたが、IOCはこの要求を退けたという。

人権団体がIOCを批判 「IOCは北京五輪関連商品の生産について強制労働が関わっていないと保証できない」

フランスで売れ残り品の廃棄を禁止する法律が施行 違反者には罰金も
 

 2022年1月1日、「廃棄禁止及びサーキュラーエコノミーに関する法律」がフランスで施行された。同法律は20年2月に議会で採択されたものだ。
 この法律によって、生鮮食品や新聞・雑誌のプラスチック包装の禁止や再利用を支援するパブリック・ファンドの創設が定められたほか、商品が与える環境への影響を明示する表示義務や食品以外の売れ残り品の廃棄を原則として禁止すること定めている。違反した場合は1万5000ユーロ(約195万円)の罰金が科される。

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NYでファッションの“サステナ法”が議案に ステラ・マッカートニーらが賛同

 ファッション業界のサステナビリティを推進する団体「アクト・オン・ファッション(Act on Fashion)」とデザイナーのステラ・マッカートニー(Stella McCartney)、ニューヨーク州のアレッサンドラ・ビアッジ(Alessandra Biaggi)上院議員とアナ・ケルズ(Anna Kelles)下院議員はこのほど、ニューヨーク州の消費者製品安全委員会に業界内のサステナビリティに関する法案「ファッション・サステナビリティ&ソーシャル・アカウンタビリティ・アクト」を提出した。昨年10月にニューヨーク州議会に初めて提出されて以来、業界から多くの支持者を集めてきた法案だ。

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2月

イタリア、6月までに毛皮の生産を禁止 「モンクレール」に続き、「ドルチェ&ガッバーナ」も

 イタリア政府は、国内での毛皮生産を禁止し、同国に残る10のミンクの毛皮農場を閉鎖させた。ヨーロッパでは、オーストリアやベルギー、クロアチア、チェコ、オランダ、ノルウェーなどに続いて毛皮を禁止した16番目の国となる。アメリカでは、ロサンゼルスやサンフランシスコでも毛皮撤廃の動きが進んでいる。

イタリア、6月までに毛皮の生産を禁止 「モンクレール」に続き、「ドルチェ&ガッバーナ」も

大気中の炭素からダイヤモンドを生成するD2C企業がBコープ認証取得

 世界で初めて大気中の二酸化炭素からラボグロウン(工場で製造した)ダイヤモンドを生成することに成功したという イーサー ダイヤモンド(AETHER DIAMONDS)はこのほど、Bコープ認証を取得した。
 2020年創業の同社は、スイス・アルプスを拠点とするスタートアップ企業と連携して大気中から炭素を抽出し、ダイヤモンドを生成する。1カラットにつき、平均的なアメリカ人の1年分以上の排出量に相当する20tの二酸化炭素を大気中から除去しているという。

大気中の炭素からダイヤモンドを生成するD2C企業がBコープ認証取得

3月

「クロエ」が社会的影響の計測ツールを開発 2023年にはオープンソース化

 コンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT)傘下の「クロエ(CHLOE)」は、社会的影響の測定ツール「ソーシャルパフォーマンス&レバレッジ(Social Performance & Leverage、以下SP&L)」の開発に取り組む。2023年を目処に最終版をオープンソース化する予定だ。労働環境に関する具体的なデータを業界全体に提供し、各ブランドの素材調達や商品デザインの意思決定時に活用してもらう狙い。

「クロエ」が社会的影響の計測ツールを開発 2023年にはオープンソース化

NY市がサステナブルファッションに関する雇用創出を支援

 ニューヨークのエリック・アダムス(Eric Adams)市長はこのほど、ニューヨーク市経済開発会社と連携して、ブルックリンにサステナブルファッションに関する新たな雇用を創出する計画を発表した。サンセットパーク(Sunset Park)内のブッシュ ターミナル(Bush Terminal)に建設中の「メード・イン・ニューヨーク キャンパス(MADE IN NEW YORK CAMPUS以下、キャンパス)」を拠点に、職業訓練や教育プログラムなどを通して、ブルックリンのファッション産業の拡大と市の経済発展を目指す。

NY市がサステナブルファッションに関する雇用創出を支援

素材のトレーサビリティを可能にする新ツール アディダスが早期導入

 企業向けのプラットフォームビジネスを手掛けるトラストレース(TRUSTRACE)はこのほど、素材レベルの追跡をリアルタイムで可能にする新ツール“サーティファイド マテリアル コンプライアンス(CERTIFIED MATERIAL COMPLIANCE)”を発表した。アディダス(ADIDAS)が早期導入した。
 同ツールは、AIやブロックチェーン、ボット技術を活用してさまざまなソースからデータを集積。複数の部品から成る製品にも対応しているほか、認証取得済みの素材の割合の特定や異なるCoC(加工流通過程の管理・追跡)モデルのサポートなど、素材コンプライアンスに関するさまざまな要件に対応する。

素材のトレーサビリティを可能にする新ツール アディダスが早期導入

4月

アディダスがアウトドアレーベルで循環型プロジェクトを実験

 
 アディダス(ADIDAS)は、オレゴン州を拠点とするスタートアップ企業ザ・リニューアル・ワークショップ(THE RENEWAL WORKSHOP、以下TRW)と協業し、アウトドア・スポーツレーベル“アディダス テレックス(ADIDAS TERREX、以下テレックス)”で循環型プロジェクトを実施した。古着のリサイクルやアップサイクルなどを専門とするTRWの知見を活用し、“テレックス”の古着を使った限定カプセルコレクションを制作した。

アディダスがアウトドアレーベルで循環型プロジェクトを実験

気候危機の対応急務 IPCCの最新報告書がサステナブルファッションに意味すること
 

 国連の気候変動に関する政府間パネル(INTERGOVERNMENTAL PANEL ON CLIMATE CHANGE、以下IPCC)はこのほど、気候危機に関する最新の報告書を発表した。ジム・スキー(Jim Skea)=IPCC第3作業部会共同議長は、「社会全体での迅速かつ大幅な温室効果ガス排出量の削減なしには、地球の平均気温の上昇を1.5度以内に抑えることは不可能である」と危機感を強めた。
 報告書では、各国が定めた2030年までの温室効果ガス削減目標では21世紀中に温暖化が1.5度を超える可能性が高いとし、再生可能エネルギーの普及や化石燃料依存からの脱却など対策の強化を呼びかけた。

気候危機の対応急務 IPCCの最新報告書がサステナブルファッションに意味すること

米公正取引委員会、大手小売り2社に罰金6億円 “エコフレンドリー”な不当表示で

 米連邦取引委員会(Federal Trade Commission以下、FTC)は、ウォルマート(WALMART)とコールズ(KOHL‘S)が環境に配慮した商品かのように見せかけた表示や広告が消費者の誤解を招くとして、コールズに対して250万ドル(約3億1500万円)、ウォルマートに対して300万ドル(約3億7800万円)の課徴金納付命令を下した。

米公正取引委員会、大手小売り2社に罰金6億円 “エコフレンドリー”な不当表示で

EUが「グリーンウォッシング」への規制を強化 「環境にやさしい」「エコ」はブラックリスト入り

 欧州委員会は、「循環型経済行動計画(Circular Economy Action Plan)」に基づきサステナブルな製品を標準化するための新たな政策パッケージを発表した。消費者が買い物をする時に、十分な情報を得た上で環境に配慮した選択ができるよう既存の指令を見直し、サステナブルな商品と見せかける「グリーンウォッシング」につながる行動規制を強化する。

EUが「グリーンウォッシング」への規制を強化 「環境にやさしい」「エコ」はブラックリスト入り

5月

アルマーニがSDGsに特化したウェブサイト立ち上げ ジョルジオの甥がサステナビリティ・マネージング・ディレクターに

 ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)は4月22日の“アースデー”に合わせ、SDGsに関連する活動を紹介する新たなウェブサイト「アルマーニ / バリューズ(Armani/Values)」を立ち上げた。また、ジョルジオの甥のアンドレア・カメラーナ(Andrea Camerana)をサステナビリティ・マネージング・ディレクターに任命した。

アルマーニがSDGsに特化したウェブサイト立ち上げ ジョルジオの甥がサステナビリティ・マネージング・ディレクターに

ケリングと「カルティエ」がジュエリー業界のサステナビリティを推進する「ウオッチ&ジュエリー イニシアティブ2030」を正式に発足

 ケリング(KERING)と「カルティエ(CARTIER)」は、ジュエリー業界のサステナビリティを推進するパートナーシップ「ウオッチ&ジュエリー イニシアティブ2030(WATCH & JEWELRY INITIATIVE 2030以下、イニシアティブ2030)」を正式に発足した。元々は「責任ある宝飾品業のための協議会(Responsible Jewellery Council 以下、RJC)」との協業を予定していたが、同協議会がロシア企業との関わりを断たないことを不服とし、ケリングと「カルティエ」の親会社であるコンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT以下、リシュモン)が脱退。今回、スイスのジュネーブで開催された「ウオッチ&ワンダー ジュネーブ(WATCHES & WONDERS GENEVA)」見本市で「イニシアティブ2030」の発足を改めて発表した。また、新たなメンバーとしてシャネル(CHANEL)のウオッチ・ジュエリー部門、モンブラン(MONTBLANC)、スワロフスキー(SWAROVSKI)、ダイアモンド貿易会社のロージー ブルー(ROSY BLUE)が加わったことを発表した。

ケリングと「カルティエ」がジュエリー業界のサステナビリティを推進する「ウオッチ&ジュエリー イニシアティブ2030」を正式に発足

LVMH、「フェンディ」が大学機関と連携しファーの代替素材を開発
 

 LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)と傘下の「フェンディ(FENDI)」はこのほど、英インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)とロンドン芸術大学のセントラル・セント・マーチンズ(Central Saint Martins)と連携し、新たなバイオ素材の開発に関する共同研究イニシアチブを発表した。

LVMH、「フェンディ」が大学機関と連携しファーの代替素材を開発

6月

LVMH主導のオーラ ブロックチェーン コンソーシアムが「持続可能な市場のためのイニシアティブ」に参加

 LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)などのラグジュアリー企業が結成したオーラ ブロックチェーン コンソーシアム(Aura Blockchain Consortium)はこのほど、英国のチャールズ皇太子(Charles, Prince of Wales)が設立した「持続可能な市場のためのイニシアチブ ファッションタスクフォース(Sustainable Markets Initiative Fashion Taskforce以下、SMI)」への参加を発表した。オーラ ブロックチェーン コンソーシアムが開発を進めるブロックチェーン技術などを共有し、業界の透明性とトレーサビリティーを推進する。

LVMH主導のオーラ ブロックチェーン コンソーシアムが「持続可能な市場のためのイニシアティブ」に参加

「ザラ」親会社、服から服のリサイクルを可能にするスタートアップに投資

 「ザラ(ZARA)」の親会社のインディテックス(INDITEX)はこのほど、服から服のリサイクルを可能にするフィンランド発のスタートアップ企業インフィニテッド ファイバー(INFINITED FIBER)とのパートナーシップを発表した。インフィニテッド ファイバーが開発した、廃棄衣料を原料とする再生繊維「インフィナ(Infinna)」の生産量のうち30%を購入するという3年間の契約を結んだ。インディテックスは、この取引は1億ユーロ(約136億円)以上の価値があると述べた。

「ザラ」親会社、服から服のリサイクルを可能にするスタートアップに投資

撥水加工に用いる化学物質PFAsがニューヨーク州で使用禁止か

 

 ニューヨーク州の上院議会はこのほど、「永遠の化学物質」と呼ばれる有機フッ素化合物ペルフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル物質(PFAs)の衣料品への使用を禁止する法案を可決した。この法案はすでに下院を通過しており、キャシー・ホウクル(Kathy Hochul)州知事の署名を経て成立すれば、2023年12月31日から施行される見通しだ。
撥水加工に用いる化学物質PFAsがニューヨーク州で使用禁止か

中国発ファストファッション「シーイン」のESG担当役員が「使い捨て批判」に反論
 

 中国発のファストファッションブランド「シーイン(SHEIN)」のESGグローバルヘッドのアダム・ウィンストン(Adam Whinston)はこのほど、米「ソーシングジャーナル(Sourcing Journal)」が主催した「サステナビリティ・サミット」に参加し、「批判が集まる当社のビジネスモデルに対する誤解を解きたい」と語った。

中国発ファストファッション「シーイン」のESG担当役員が「使い捨て批判」に反論

7月

「ステラ」、キノコの菌糸体から作ったバッグを発売

 「ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)」は、キノコ類の菌糸体(マイセリウム)から作られた人工レザーを用いたバッグ“フレイム マイロ(FRAYME MYLO)”を、7月に発売した。日本では、ステラ マッカートニー青山店をはじめとする一部店舗で限定販売した。価格は税込38万7200円。

「ステラ」、キノコの菌糸体から作ったバッグを7月に発売

グッチがエレン・マッカーサー財団とパートナーシップ締結 循環型経済と環境再生型農業を推進

 グッチ(GUCCI)はこのほど、循環型経済を推進する英エレン・マッカーサー財団(ELLEN MACARTHUR FOUNDATION)と戦略的パートナーシップを締結した。循環型の原則に沿った製品デザインと環境再生型農業への取り組みを強化する。同財団はグッチの取り組みを分析し、廃棄物・汚染の削減、製品と資源の循環、自然の再生という循環型の原則を、デザインの発想過程に取り入れるサポートをする。

グッチがエレン・マッカーサー財団とパートナーシップ締結 循環型経済と環境再生型農業を推進

カリフォルニア州でプラスチック製の梱包材削減に向けた新法案設立

 米カリフォルニア州でこのほど、プラスチック製の梱包材に関する国内で最も大胆なEPR(拡大生産者責任)法案が成立した。同法案では、金属を含む使い捨ての梱包材においてリサイクル可能または堆肥化可能なものにすることを義務付け、プラスチック使用量の大幅な削減につなげる。

カリフォルニア州でプラスチック製の梱包材削減に向けた新法案設立

8月

「パタゴニア」が初の循環型Tシャツ発売 回収した古着を再生

 「パタゴニア(PATAGONIA)」は、フィンランド発のスタートアップ企業インフィニテッド ファイバー(INFINITED FIBER)と協業し、回収した古着を再生した初の循環型Tシャツ「ティーサイクル(Tee-Cycle)」を発売した。ボタニカル柄や幾何学柄を施したメンズ4型とウィメンズ2型で、ガーデングリーンやプルームグレーなどの落ち着いた中間色をそろえる。価格は税込6600円(49ドル)。

「パタゴニア」が初の循環型Tシャツ発売 回収した古着を再生

「トミー ヒルフィガー」が循環型ビジネスを強化 レンタルや中古品販売を欧米で開始

 「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」はこのほど、レンタルサービスと古着を販売する2次流通サービスをそれぞれイギリスとアメリカで開始した。イギリスでは、同国を拠点にデザイナーズアイテムのレンタルサービスを提供するロタロ(ROTARO)と協業してレンタルを行う。中古衣料の販売に際しては、中古ファッションECの米スレッドアップ(THREDUP)とパートナーシップを結び、専用サイトを通じて古着を回収する。

「トミー ヒルフィガー」が循環型ビジネスを強化 レンタルや中古品販売を欧米で開始

「ザラ」が古着を再生したコレクション発売 スウェーデンのスタートアップ企業と連携

  「ザラ(ZARA)」は、廃棄衣料からビスコースレーヨンを再生する技術を持つスウェーデン企業リニューセル(RENEWCELL)と協業した初のカプセルコレクションを公式ECサイト上で販売した。同コレクションでは、リニューセルが開発した新素材「サーキュロース(Circulose)」を用いたカットアウトのロングドレス(税込7590円) や、透かし編みのセーター(5990円)、リブニットのセットアップ(パンツ4990円、チュニックトップス4990円)などをそろえる。すべて無染色のナチュラルカラーで企画した。

「ザラ」が古着を再生したコレクション発売 スウェーデンのスタートアップ企業と連携

「パンゲア」が廃棄繊維を染料に再生 新作コレクションを発表
 

 「パンゲア(PANGAIA)」はこのほど、廃棄繊維を染料に再生する新技術「リサイクロム(Recycrom)」を活用したコレクションを発表した。アロエグリーンやスカイブルー、コーラルピンク、バナナといったブランドのキーカラーで染めたフーディ(175ドル、約2万4000円)、トラックパンツ(140ドル、約1万9200円)、ショートパンツ(95ドル、約1万3000円)、Tシャツ(75ドル、約1万280円)をそろえ、公式ECサイトで販売した。

「パンゲア」が廃棄繊維を染料に再生 新作コレクションを発表

「H&M」にグリーンウォッシュ疑惑!?原因は世界標準の測定ツール
 

 欧米では、これまで法的な規制の対象外だった、企業の“環境に配慮しているという主張”への監視が強化されている。ノルウェー消費者庁はこのほど、世界のアパレル小売企業が参加する業界団体のサステナブルアパレル連合(SUSTAINABLE APPAREL COALITION以下、SAC)と技術パートナーのヒグ(HIGG)社が提供する素材の環境負荷測定ツールのヒグ・マテリアルズ・サステナビリティ・インデックスのデータに基づき環境配慮の主張を展開していた「H&M」と「ノローナ(NORRONA)」に対し、「誤解を招き、違法である」と通知した。業界唯一の共通ツールとして幅広く活用されている同ツールに対するこの決定は、いかに透明性を推進していくべきかという重要な問題を提起する。

「H&M」にグリーンウォッシュ疑惑!?原因は世界標準の測定ツール

「バーバリー」がSBT認証取得 2040年までにネットゼロを目指す

 バーバリー(BURBERRY)はこのほど、温室効果ガスの削減目標において科学的根拠に基づくことを証明する国際的な環境イニシアチブSBT(Science-Based Targets)の認定を取得した。気候変動による世界の平均気温上昇を1.5度未満に抑えるというパリ協定に沿って、2040年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロ(ネットゼロ)の実現を目指す。

「バーバリー」がSBT認証取得 2040年までにネットゼロを目指す

11月

モンクレールが4年連続でサステナビリティランキングの首位に

 モンクレール(MONCLER)は、信用格付けプロバイダーのS&Pグローバル(S&P GLOBAL)が実施するダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス(Dow Jones Sustainability Index以下、DJSI)のテキスタイル・アパレル・ラグジュアリーグッズ部門で、100点満点中90点の最高スコアを取得し、4年連続で「S&Pグローバル コーポレート サステナビリティ アセスメント(S&P Global Corporate Sustainability Assessment)」のトップに輝いた。

モンクレールが4年連続でサステナビリティランキングの首位に

「ザラ」が英国でリペアとリセールプログラム始動

 「ザラ(ZARA)」はサステナビリティ戦略の一環で、リペア、リセールおよびリサイクルからなる循環型プログラム「プレ オウンド(Pre-Owned)」のパイロット版を11月3日に英国で始動した。アンプエロ=サステナビリティ責任者は、「このプログラムは当社にとっても初の試みだ。英国でどのように機能するかを検証し、市場の全体を理解に役立てたい」と話す。

「ザラ」が英国でリペアとリセールプログラム始動

「ガニー」が2023年までにバージンレザーの使用を廃止 ボルトスレッズと共同で

 コペンハーゲン発の「ガニー(GANNI)」は、2023年までにバージンレザーの使用を廃止する。11月4日にポルトガル・リスボンで開催されたウェブサミット内で宣言した。キノコの菌糸体から作られたレザー代替素材「マイロ(MYLO)」を開発した米企業ボルトスレッズ(BOLT THREADS)とのパートナーシップの下、「マイロ」を使用した商品開発に力を入れる。

「ガニー」が2023年までにバージンレザーの使用を廃止 ボルトスレッズと共同で

LVMHがCOP27に参加 環境再生型農業や生物多様性の取り組みについて言及

 LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)は、エジプト・シャルムエルシェイクで開催中の国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)に出席し、生物多様性と土壌の回復にコミットすることを発表した。LVMHのエレーヌ・ヴァラド(Helene Valade)環境開発ディレクターは、「これらの新たな取り組みは、生物多様性や水資源の保全につながるはずだ。主な目的は、偏った単一品種の作物栽培から、多毛作へと移行することだ。これにより、土壌を回復させ炭素の貯蓄量を増大させることができる」と話し、生物多様性と環境再生型農業は、原材料の調達強化につながると指摘した。

LVMHがCOP27に参加 環境再生型農業や生物多様性の取り組みについて言及

H&M、インディテックス、ステラ、ケリングが共同声明 森林保全に配慮した素材調達目指す

 H&Mヘネス・アンド・マウリッツ(H&M HENNES & MAURITZ以下、H&M)とインディテックス(INDITEX)、ステラ マッカートニー(STELLA MCCARTNEY)、ケリング(KERING)はこのほど、エジプト・シャルムエルシェイクで開催された国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)で、50万トン以上の低炭素繊維を購入することを共同で発表した。

H&M、インディテックス、ステラ、ケリングが共同声明 森林保全に配慮した素材調達目指す

12月

「ゴールデン グース」がソーホー店を循環型にリニューアル 職人と連携しリペアサービスなどを提供

 「ゴールデン グース(GOLDEN GOOSE)」は、米ニューヨーク・ソーホーの店舗を循環型のコンセプトを導入した“フォワードストア”としてリニューアルオープンした。同社のサステナビリティ戦略に基づく“フォワードストア”は、今年初めにオープンしたイタリア・ミラノ店に続く世界で2店舗目となる。

「ゴールデン グース」がソーホー店を循環型にリニューアル 職人と連携しリペアサービスなどを提供

米連邦取引委員会、グリーンウォッシング防止のためのガイドライン見直しに着手

 米連邦取引委員会(Federal Trade Commission)は、企業が合法的な環境マーケティングを推進し、消費者が正しく判断できるよう補助するために制作された“グリーンガイド(Green Guides)”の改訂に着手することを決定した。1992年に初めて公開された同ガイドラインの改訂は2012年以来初となる。

米連邦取引委員会、グリーンウォッシング防止のためのガイドライン見直しに着手

「H&M」が2件のグリーンウォッシング訴訟で反論

 環境に配慮していることを打ち出すために採用している評価基準や、使用している用語が消費者に誤解を与えるとして米ミズーリ州とニューヨーク州で2件の集団訴訟を提起されている「H&M」は、両方の訴訟で反論を行った。「ソーシング ジャーナル」紙の本件に関する問い合わせに対して、「H&M」からの回答は得られなかった。

「H&M」が2件のグリーンウォッシング訴訟で反論

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