ファッション

中国発ファストファッション「シーイン」のESG担当役員が「使い捨て批判」に反論

 中国発のファストファッションブランド「シーイン(SHEIN)」のESGグローバルヘッドのアダム・ウィンストン(Adam Whinston)はこのほど、米「ソーシングジャーナル(Sourcing Journal)」が主催した「サステナビリティ・サミット」に参加し、「批判が集まる当社のビジネスモデルに対する誤解を解きたい」と語った。

 ウィンストンESGグローバルヘッドは、「シーイン」では50〜100着の小ロットで商品を生産し、顧客からのフィードバックを受けたのちに大量生産に踏み切る方法で、従来のファストファッションが抱える大量生産・大量廃棄の課題にアプローチしていると説明した。同社の実売率は98%で、ウィンストンESGグローバルヘッドは同社の方法を広く業界に普及させることで、システム上の無駄が約20%で削減できると試算する。

 また同社の安価な商品が使い捨てを促しているという批判に関しては、1万5000人の顧客を対象とした調査の結果を引用して反論した。業界全体での返品率が平均30〜40%なのに対して同社は7%で、顧客のうち製品を1度しか着用しない人々の割合は100人に1人だという。また、顧客の約30%が製品を古着屋に寄付、約16%が中古品サイトで販売するなど、環境意識の高い行動を取るユーザーが一定数いると述べた。

 ウィンストンESGグローバルヘッドは、「トレンドと手ごろな価格の服を求める客が増えると同時に、サステナブル素材やパッケージを求める声も増えている。こうした顧客の懸念に対応するべく、取り組んでいく」とコメントした。

 今後リサイクルポリエステルを使用したカプセルライン“エヴォリューション(EvoluShein)”を拡大させ、サステナブル素材への投資も進める方針だ。同社が環境負荷の高い航空輸送を主要輸送手段としていることに対しては、「商品の動きが予想しやすい冬物やデニムなど、船便を活用している商品もある」という。輸送にかかる温室効果ガスを削減するため、インディアナ州に倉庫を新設する計画についても触れた。同社は2月に初の透明性に関する報告書を発表したが、温室効果ガス削減目標は設けていない。ウィンストンESGグローバルヘッドは、これについてもまもなく公表予定だと話した。

 また6月7日にコペンハーゲンで開かれた「グローバル・ファッション・サミット(Global Fashion Summit)」では、ガーナを拠点に廃棄衣料の問題解決に取り組む環境団体オア ファンデーション(Or Foundation)とパートナーシップを締結したことが発表された。「シーイン」は同団体に今後5年間で5000万ドル(約67億円)を寄付する。一方で、企業評価額が1000億ドル(約13兆円)とも評価される同社の取り組みとしては不十分だとの批判も上がった。

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