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「イソップ」フレグランスが人気の理由、創業メンバーに聞く

 「イソップ(AESOP)」は、新製品が登場するたびに話題になる今勢いに乗っているブランドの一つだ。「イソップ」を導入する百貨店からは、「モードが好きなお客さまからの支持が高い。生活のワンシーンに溶け込むデザインも人気」「香りアイテムが今のお客さまのニーズにマッチしている」との声があがり、SNSでも製品を購入した客による投稿が絶えない。

 この秋には、オードパルファムコレクション“アザートピアス(Othertopias)”に“イーディシス オードパルファム”が新たに仲間入りし、注目を集めた。ブランド立ち上げから店舗運営や顧客対応に携わるスザーン・サントス(Suzanne Santos)=チーフ カスタマー オフィサーに、「イソップ」のフレグランスの魅力や人気の理由を聞いた。

WWDJAPAN(以下、WWD):日本のフレグランス市場をどのように捉えているか。

スザーン・サントス=イソップ チーフ カスタマー オフィサー(以下、サントス):日本はいまフレグランス市場が成長しており、フレグランスが好きな人にとって素晴らしい時期を迎えている。特に日本の歴史と成分は、“ヒュイル オードパルファム”や“ローズ オードパルファム”など「イソップ」のフレグランスに大きなインスピレーションを与えてくれた。

WWD:世界でフレグランス市場が盛り上がりを見せつつあるが、フレグランスの魅力とは。

サントス:フレグランスは、他のどの製品よりも人の好奇心をそそり、多次元的な魅力を備えている、と私は考えている。フレグランスが持つ最も羨望すべき特性は、香りを身にまとうことで何かを問いかけることができることだ。香りの複雑さは、私たちに何かを思い出させ、思いがけない場所や、望んでいた場所など、新たな場所へと誘う。インスピレーションを得るのが難しいと思うとき、香りは「アドバイザー」や「ミューズ」のような役割を果たしてくれる。私たちが忘れてしまった、あるいは訪れたことのない場所や才能、感情を思い出させてくれる、そんな存在である。

WWD:「イソップ」のフレグランスの特徴は。

サントス:「イソップ」にとってフレグランスは、意識するしないに関わらず、身につける人の気分を高めてくれるものであり、“嗅覚的な第2の皮膚”として捉えている。私たちは、香りの創造は、叙情的でありながら科学に根ざした作業であると考える。多面的なインスピレーションから始まり、それを表現する成分にこだわり、複雑でニュアンスのある調合に仕上げている。

WWD:新たに仲間入りした“イーディシス オードパルファム”について。

サントス:“イーディシス オードパルファム”は、泉に映る自分の姿を見て恋に落ちた男、ナルキッソス神話から着想を得た香りだ。このテーマに沿って、“イーディシス オードパルファム”は、鏡の向こう側にある想像の世界、豊かで魅惑的な森、温かみのある寛大な場所へと続く架空の世界をイメージしている。

 ナルキッソス神話と、身にまとう人が自らを見つめる中で自分自身を見失うというアイディアに沿って、“イーディシス オードパルファム”の香りは、個々の人によって全く異なる表現になる。肌の生化学的な性質により、その人だけの「変化」を生みだすのだ。

 私たちのフレグランスは、いずれも複雑で繊細なニュアンスがあり、従来の別の境界線にとらわれるものではない。示唆に富んだ香りを好む全ての人をターゲットとする。ただ、香りの特徴というところでは、ウッディ、スパイシー、アンバーが中心なので、温かく華やかな香りを好む人に気に入ってもらえるだろう。

WWD:調香師のバーナベ・フィリオン(Barnabe Fillion)が作り出す香りの魅力とは。

サントス:オードパルファムコレクション“アザートピアス(Othertopias)”は、私たちの長年のフレグランスコラボレーターであるバーナベとのパートナーシップによって生まれた。私たちとバーナベの関係は、大きな信頼と相互尊重の上に成り立つ、真のコラボレーションだ。私たちは、フレグランスのさまざまな側面における彼の専門知識と、革新と伝統を融合させる彼の才能に心から感服している。

 私たちのフレグランスの共同開発は、常に高度な過程をたどっており、“イーディシス オードパルファム”も例外ではなかった。長年にわたる共同開発を通じて、「イソップ」独自のアプローチを熟知しているバーナベは、彼の自由な発想力でこのパルファムをどのような形でどのように表現できるかを模索した。この香水のために私たちが共有した多くのインスピレーションは、全て知覚の概念と、ナルキッソス神話に出てくる泉と風景など自己と空間のつながりに基づいている。透明であるが故の無限のテクスチャー、回折や屈折の概念などもその一部だ。

 “イーディシス”は“アザートピアス”シリーズの1つとして、「ここではないどこか」つまり、私たちが普段見過ごしがちな、いわゆるリミナル・スペースからインスピレーションを得ている。「あなた」と周囲の環境との関係に疑問を投げかけ、身につける人を現実と想像の両方の世界へと誘うようにデザインされている。その香りの特徴は、独創的かつ意外性がありながら、同時に親しみやすいところだ。

WWD:音楽やデザイン面など“五感”の領域でアプローチしているが、フレグランスとアートはどう関わりあっているのか。

サントス:「イソップ」の香りのインスピレーションは多方面にわたる。現実と空想の両方の風景からインスピレーションを得たもの、人物からインスピレーションを得たもの、そして伝統的なコロン遊び心を加えたものなど、さまざま。そして何より、「イソップ」のフレグランスはジェンダーやパーソナリティを問わず、好奇心旺盛で香りの力を享受したいすべての方のために創られている。

 フレグランス(嗅覚)と他の感覚との間には、時に共通の言語が存在する。例えば聴覚は、Radiomatique Mixtapes (香りと音の出合いからインスピレーションを得た、「イソップ」の60分間のミックステープシリーズ)で、嗅覚と同様に、ヘッドノート、ミドルノート、ベースノートを体感できる方法を探ってきた。私たちの経験では、香りの力は音や視覚、味覚、触覚と組み合わされることで、さらに伝達力を高めることができる。

WWD:現在8種の香りを展開しているが、それぞれが多くの人を魅了している。

サントス:私たちのフレグランスがお客さまの心に響く理由はさまざまだ。ある人は、ニュアンスや複雑なインスピレーションを、またある人は、ドライ、ウッディー、クリーン、フレッシュといった香調を独自のバランスで調合したジェンダーにとらわれない香りに魅力を感じている。「イソップ」は常に香りの役割と重要性を理解している。

WWD:店頭では香りの体験を広げている。

サントス:「イソップ」のフレグランスは、香りとストーリーを融合させながら進化し続ける、ブランドの象徴だ。この進化は、フレグランスカテゴリーにおける「イソップ」独自の地位を確立するために、魅力的な香りの創造という伝統のもとに一部の店舗で実施されている、さまざまな香りの体験からもうかがえる。そうした試みの1つが、フレグランス専用戸棚「フレグランス アルモワール」の導入だ。一部店舗に設置しており、遊び心と発見のあるフレグランス体験を提案している。

 フレグランス アルモワールは、それぞれの直営店の素材使いに合わせてさまざまな外観を持つ。曲線を多用したシンプルな外観とは裏腹に、重い扉を開けるとアンバーボトルが並んだ神秘的な雰囲気を放つ。フレグランス アルモワ―ルが音、視覚、触覚の3つの媒介を駆使して、「イソップ」の香りに新たな生命を吹き込む様は、まさに百聞は一見に如かずと言えるだろう。

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