ファッション

マリリン・モンローのファッションを映画「ブロンド」から読み解く アナ・デ・アルマス主演

 ネットフリックス(NETFLIX)は、伝説の女優マリリン・モンロー(Marilyn Monroe)の生涯を振り返った映画「ブロンド(Blonde)」を9月28日に独占配信します。主演を務めたのは、「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(No Time to Die)」のボンドガール役で注目を集めたアナ・デ・アルマス(Ana de Armas)。彼女が演じるモンローは「本人にそっくり」と公開前から話題です。モンローは人生の浮き沈みが大きく、さまざまな苦悩を抱えていたとされており、映画で見せるファッションは彼女のキャラクターや内面を映し出すかのようです。

 女性的なシルエットや官能的なムードに揺り戻しが起きている今、モンローのルックは今のスタイリングのお手本にもなりそうです。今回は「ブロンド」の装いを読み解きながら、私たちの着こなしに役立てるポイントを紹介していきます。

めりはりボディを印象づけるフィット&フレアのドレス

 モンローが、映画「七年目の浮気(The Seven Year Itc)」で、地下鉄の排気口から吹き上げる風がスカートを躍らせた名場面。裾部分の派手な揺れ動きに目が向きがちですが、実はドレスのシルエット自体にも、この動きを印象づける工夫が施されていました。ポイントはウエストのシェイプ(絞り)。くびれた腰を強調しつつ、スカートの広がりを際立たせています。腰から下はたっぷりしたフレアで、モンローのめりはりボディを引き立てました。上半身はホルターネックでコンパクトに整えて、下半身はボリューミーという“フィット&フレア”の典型。ウエストシェイプはこの秋冬のトレンドとして復活しているので、参考になるシルエットです。

ランジェリー風コーデは堂々とした所作が鍵

 モンローは、ボディラインを生かした装いの先駆け的な存在で、抜群のプロポーションを引き立てるドレスコーデをたびたび披露しています。ランジェリー風の装いは、家着と街着を融け合わせる“シーンフリー”の時代を先取りしていたかのようです。

 ポイントは恥ずかしがらない、堂々とした所作にあります。体に沿うレオタードやユニタードなどのボディスーツ系ウエアも今のトレンドに浮上していますが、やはり健康的なイメージのウエアだけに、ポジティブな振る舞いが肝心です。モンローは素肌を露出しつつも、ヘルシーなグラマラスを表現。ベアショルダーの大胆な露出と、ショートパンツ式のボディスーツを着用しています。ヘルシー感を押し出していやらしさを遠ざけるアレンジは、タイムレスな着こなしの見本と言えるでしょう。

ガーリーなキャミソールドレスで魅せる小悪魔ルック

 この映画の中では、モンローのプライベートな姿もたくさん披露されています。スクリーン映えを狙った衣装ではない、気負わないスタイリングは普段の着こなしで参考にできそう。セクシーな女優のイメージがありますが、実はガーリーなスタイリングもお手の物です。

 例えば、このシーンでまとっている淡いブルーのキャミソールドレスは、全体に散らした細かいドット柄が愛らしい。バストをギャザーで強調し、切り替えでふわっと仕上げたベビードールのようなシルエットがチャーミングな雰囲気を醸し出しています。細いストラップで華奢さを引き出しつつ、小悪魔的なコケティッシュ感も漂わせているところは、女性の二面性をアピールしているかのようです。

細身クロップドパンツでウエストと足首をスレンダー見せ

 妖艶なドレスに身を包んだ姿でおなじみのモンローですが、日ごろはカジュアルな服装で過ごしていたことが映画を通じてわかります。パンツルックのポイントは、ボディの細い部分をアピールしているところ。グラマラスなプロポーションのイメージが強いのは、このように華奢な部分を際立たせているからです。

 コンパクトなニットトップスがウエストのくびれを印象づけています。タイトなクロップドパンツは足首の細さをさりげなく強調。映画「麗しのサブリナ(Sabrina)」でオードリー・ヘプバーン(Audrey Hepburn)が有名にしたサブリナパンツは、スタイルが良く見えやすいボトムスです。モンローは、パンツルックでもスタイリングのロールモデルになっています。

白系アウターで巧みな“スポットライト効果”を発揮

 関心を集め続けたモンローだけに、彼女は行く先々で群衆に取り囲まれました。この映画はそうした姿も収めています。銀幕の中やイベントの晴れ舞台とは違って、普段着の彼女は、飾らない人柄を感じさせます。それでも存在が目立つのは、群衆に埋もれてしまわない、スターらしい色選びも理由の一つです。

 報道陣に囲まれて、もみくちゃ状態になったモンローは、襟付きの白系コート姿で登場。正面のボタンは留めずにラフに着こなしていますが、メディアの重圧に負けない、凛とした強さを帯びています。白系で統一しているのも、群衆の中でスポットライトが当たっているかのような演出が理由です。

 このように、主演のアルマスはコーディネートの振れ幅が広いモンローのファッションを見事に着こなしていることがこれらの写真から分かります。同作では事実とフィクションの境界線にとらわれず、公私で“別の顔”を持っていたモンローの素顔に迫っています。多面性を映し出すさまざまな装いは、“もう一人のモンロー”とも言えそうです。官能的なスタイルに光が当たっている、今シーズンのトレンドにも通じるアレンジがたくさんありました。映画の服装を通して、モンローのようにいろいろな自分を表現する着こなしを試してみませんか。

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