PROFILE: 左:南沙良/俳優 右:出口夏希/俳優、モデル
鬱屈した毎日を過ごす3人の女子高生が、未来が見えない田舎町とおさらばするため、“禁断の課外活動”で一攫千金を狙うエネルギッシュな青春映画「万事快調〈オール・グリーンズ〉」が1月16日に公開された。原作は第28回松本清張賞を満場一致で受賞した波木銅の同名小説で、映画「猿楽町で会いましょう」の児山隆が監督、脚本を担当した。
自宅にも学校にも居場所を見出せず、ラップだけが心の拠り所の朴秀美を演じるのは南沙良。Dos Monosの荘子itによる指導のもと、本作でラップに初挑戦している。またクラスの中心人物として明るく振る舞いながら、家庭に問題を抱える矢口美流紅を出口夏希が演じる。そのほか吉田美月喜、羽村仁成、黒崎煌代、金子大地ら注目の若手俳優が脇を固める。
純粋でなければキラキラもしていない“不適切な青春映画”に、W主演の南沙良と出口夏希はどのように挑んだのか。俳優陣の関係性や互いの演技、南が披露したラップについてなど語り合ってもらった。
「サブカルチャー愛に溢れた作品」
——まずは本作の原作や台本を読んだときの感想から伺えますか?
南沙良(以下、南):サブカルチャー愛に溢れた作品というのが原作を読んだときの印象でした。キレのある皮肉もたくさんあって、この疾走感を映像やお芝居でも出せると良いなと思いました。
出口夏希(以下、出口):矢口美流紅役は、これまで演じたことがないキャラクターだったので、とても興味深く台本を読みましたし、ぜひ演じたいと思いました。
——完成した作品を観たときの感想はいかがでしたか?
南:純粋に「みんなすごく素敵だな」って思いました。それぞれが果たしている役割のバランスが絶妙だし、特にタイトルが出て以降のテンポがとっても良くて。
出口:私もテンポ感、とても好きでした。監督もそこにすごくこだわっていたと思います。
——特に印象に残っているシーンはありますか?
南:多分2人とも一緒で、美流紅が「これが私たちの第二部なんだよ」って言ってタイトルが出る交差点のシーンですね。あそこはすごくカッコいいなと思います。
出口:みんなで走り出すところとかね。夜中まで、とにかく風を切って走ってました。
演じた役に共鳴する部分は?
——それぞれ鬱屈した感情を抱えた特徴的なキャラクターを演じられていますが、自分と似ていると感じる部分はありましたか?
南:(演じた)朴秀美が抱える行き場のない怒りややるせなさは、私も日々の生活の中で感じることがあるので、そこは共感できる部分でした。私は彼女ほど卑屈ではないですが。
出口:演じているときはあまり考えてなかったけど、似てると言えば似てるかもしれませんね。悩みを抱えているけれど、表では明るく振る舞っているところとか。それが苦ではないところも同じだし。
——ともにエネルギッシュなキャラクターでもありますよね。
南:演じる上でエネルギーは常に使っていましたね。みんなエネルギーを秘めている子たちだから、演じるためにそれをどれだけ溜められるかはそれぞれ考えていたんじゃないかなと思います。
——2人はエネルギーが溜まったときはどういう風に放出するんですか?
出口:私たちは省エネだよね。お仕事でエネルギーを使う分にはいいんですが、普段はできるだけエネルギーを使いたくない(笑)。
南:本当にそう。
——エネルギーが溜まるのはどんなときでしょうか?
南:読書が好きなので、本や脚本を読んでるときに溜まっているんじゃないかなと思いますね。
出口:私は省エネ中に貯めている気がします。植物みたいに太陽を浴びて、エネルギーを集めて「パーン!」みたいな(笑)。
3人の空気感がそのまま映った
自由でマイペースな撮影現場
——朴と美流紅と岩隈の関係がとても良いですよね。3人を演じた南さんと出口さん、そして(岩隈を演じた)吉田(美月喜)さんはみなさん年齢も近いですが、撮影裏での関係性はいかがでしたか?
出口:劇中と似たような感じでした。3人ともすごくマイペースで、話したいときは話して、寝たいときは寝て、食べたいときは食べて……とそれぞれ好きなようにまったり過ごしていましたね。一人でいてもみんなでいても変わらない空気感で、とても居心地が良かったです。
南:みんなマイペースすぎて、私も気を遣わないでいれましたね。
——では3人でいるシーンは、みなさんの普段の空気感そのままのような感じなんですね。
南:そうですね。監督も委ねてくれるタイプだったので、みんな一緒にいるシーンはかなり自由にやらせてもらいました。
出口:台本に書いてないことが多かったですね。監督が自由に演じられる環境をつくってくれたので。美流紅が喋って、朴と岩隈が聞いているというシーンが多かったんですが、カットまでが長すぎてほとんどアドリブでした。あと3人でグループ名を決めるシーンでは、岩隈のアドリブ台詞でみんな大爆笑したり。
——児山監督のディレクションはいかがでしたか?
出口:監督も穏やかだったよね。
南:でも「作品をより良く、より面白くしたい」という想いはすごく強い人だったので、私たちを自由にさせながらもこだわりはすごく感じました。あといい意味で変わった方で、話していると、なんだかずっと噛み合わないんですよ(笑)。
出口:確かに変わってて面白いんですよね(笑)、私たちも話しやすかったし、現場の雰囲気も良かったです。役柄について話すことは実はそこまでなくて、本当に私たちがやりたいと考えていることをやらせてもらっている感覚でした。
南:きっと役者自身に考えて演じてほしかったんだろうなって思います。
再共演で感じた互いの変化と俳優としての魅力
——2人はドラマ「ココア」(2019年/フジテレビ)でも共演されてはいますが、一緒にがっつりお芝居されるのは今回が初めてですよね。今回の作品を通じて互いの印象に変化はありましたか?
南:もともと明るくてキラキラしている印象だったから、それはあまり変わっていないですね。でも「ココア」から5年くらい経って共演したんですが、「こんな話しやすかったんだ!」って思いました。それは完全にこっちの問題ですが(笑)。
出口:「ココア」の頃は、私はまだ事務所に入って半年とかで初めてのお芝居現場で緊張していて、沙良ちゃんもあまり話さないイメージがあったんです。でも今回お仕事したらめっちゃ話してくれるし、大爆笑するし。だから以前とは真逆の印象ですね(笑)。
——お互いのお芝居についての印象はいかがでしょうか?
南:美流紅はカリスマ性やキラキラしたオーラのあるキャラクターですが、それは夏希ちゃんがもともと持ってるものだと思うんです。だからお芝居をしているときも輝いていたし、完成した映像を観てもなんか発光してますよね。
出口:最高の褒め言葉をいただきました。でも発光してるなんて言われたことない(笑)。
南:何してもキラキラしてて後から光が見えたんだよね。
出口:沙良ちゃんは一つひとつの動きが全部魅力的でした。姿勢が悪くても、あぐらをかいていてもずっと素敵で、私の中ではもちろん美流紅の中でもきっとすごく格好良く映っていたと思います。
——南さんは見事なラップを披露していましたよね。Dos Monosの荘子itさんがラップ監修に入られたそうですが、どのような練習を行ったのか教えてもらえますか?
南:荘子itさんがご自身でラップを録音してくださったテープを頂いたので、まずはそれを聴いて練習しました。その後実際にお会いして、ラップを聴いていただいたうえでご指導いただきました。もともと「ヒプノシスマイク」きっかけでラップは聴いてたんですが、いざ自分がやるとなると緊張しましたね。
——出口さんは南さんのラップを実際に見ていかがでしたか?
出口:びっくりしました! 私はラップを全然知らないので、台本を読んだときは「チェケラッチョ」みたいな感じで来ると思ってたんですよ。(笑)それをどんな風に見たらいいんだろとか考えたりして。
南:あはは!「チェケラッチョ」だったらヤバいね。
出口:本当にそう思ってたんだよ(笑)。そしたらあのカッコいい語り口調のラップがきたから驚いて。圧倒されたし、感動しましたし、本当に美流紅のような表情になっちゃいました。
現場に詰まった“好き”
——撮影中に印象的だったことを教えてください。
南:「イモゾー」という監督にそっくりな東海村のマスコットキャラクターがいるんですが、撮影中はイモゾーが大活躍してたのが印象に残っていますね。監督がイモゾーのグッズをみんなに配ってたから、朴秀美も小さいストラップを付けたりしていましたし。
出口:教室の机にシールが貼ってあったりもしたよね。
南:そうそう。待ち時間の間にはグッズと一緒に「イモゾーと景色」とか「イモゾーと私」みたいな写真を撮るのがちょっとしたブームになってましたね。
——2人のキャラクターは、HIPHOPファッションや映画Tなど衣装も特徴的でしたね。
南:監督がいろいろと買って、持参してくださったんですよね。あとパーカーとかは監督の私物で、「これとかどうすか?」「これが良いんですよ」と提案してくださって着てました。
出口:そうなの? 本当に監督が好きなものが詰まってるんだね。
南:それで着た服見て「粋っすね!」とか言ってたよ(笑)。
出口:あはは! 映画Tに関してはプロデューサーの小川真司さんがすごく映画好きで、たくさん映画Tを持っていたのでそれを着たりもしていました。
——最後に、2人が好きな本作のキャラクターを教えてください。
出口:武智!
南:ね。本当に好き。
出口:武智と村上の関係が私たちにバレて、手を繋ぎながら私たちに詰められているシーンがありますよね。撮影のときに笑いが堪えられなくて一番テイクを重ねたんですよ。監督にも「そんな笑わないで」って言われてました。
南:美流紅は劇中でも笑っているからいいけど、朴秀美は笑えないからキツかったんですよ。面白すぎて。顔も間もずるいんですよ。
出口:本当に面白すぎてずるい。釜山国際映画祭でもみんな大爆笑していて、一番反響がありましたね。大好きなシーンです。
南:ジャッキーもめっちゃ良かったですね。黒崎さんとは同い年で初めてご一緒させていただいたんですけど、全部が自然でとてもやりやすかったですね。ラップもすごく上手でした。
PHOTOS:TAKAHIRO OTSUJI
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「万事快調〈オール・グリーンズ〉」
◾️「万事快調〈オール・グリーンズ〉」
1月16日から全国公開中
出演:南沙良 出口夏希
吉田美月喜 羽村仁成 黒崎煌代 /
大政凜 櫻井健人 小坂竜士 池田良 Pecori 和田庵 /
テイ龍進松岡依都美 安藤裕子 / 金子大地
監督・脚本:児山隆
原作:波木銅「万事快調〈オール・グリーンズ〉」
主題歌:NIKO NIKO TAN TAN「Stranger」
音楽:荘子it(Dos Monos)
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
制作:ブリッジヘッド・C&Iエンタテインメント
製作:「万事快調」製作委員会
©2026「万事快調」製作委員会
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