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適正仕入れと正価販売の好循環 三陽商会、6年ぶり黒字に照準

 三陽商会は2022年2月期、売上高が前年同期比9.4%増の415億円、営業損益が1億円の黒字、純損益はトントンを見込む。達成すれば“バーバリーショック”以降、6年ぶりの営業黒字となる。コロナ禍の影響長期化を受け、売上高は当初計画(440億円)から下方修正するものの、利益面での計画は据え置く。

 依然として市場環境が不透明な中、黒字化を見据える根拠として、全社での在庫コントロールとプロパー消化の推進で、粗利益率の改善が進んでいることがある。21年3〜8月期の粗利益率は前年同期と比較して8.5ポイントの改善となった。20億円の営業赤字だったものの、前年同期(57億円の赤字)と比較すれば損失幅は小さくなった。

 上期(3〜8月)末時点での商品在庫は原価ベースで86億円と、前年同時期と比較して36億円分減らした。大江伸治社長は、「それぞれのブランドや売り場の実力を把握し、それに基づいた適正な仕入れが着実にできるようになってきた」と自信を深める。上期の仕入れ計画のうち全体の20%は期中発注分とすることで、市場の変化に機微に対応し、過剰在庫も抑えられた。

 店頭、アウトレット、EC、それぞれの販売チャネルとしての役割を明確化したことも奏功した。店頭は正価販売を徹底し、新作は以前より前倒しで投入。一方、売れ行きの悪い商品はアウトレットに移す判断を早めた結果、在庫の流動性が改善した。「セール販売のプラットフォームと化していた」という公式ECも同様に正価販売に舵を切り、上期の売上高は前年同期比で11%減となったものの、粗利益率は6.8ポイント改善した。
 
 構造改革により、適正コストでの売り場運営も可能になった。21年2月期の希望退職者募集では想定を上回る180人が応募。160売り場を撤退した。今上期の販管費は昨年同時期との比較で15億円、一昨年同時期との比較では47億円削減した。

 今期末には25年2月期を最終年度とする新中期経営計画を策定する。具体的な戦略は今後詰めるが、同期末に売上高520億円、営業利益率10%を目標に掲げる。「エポカ(EPOCA)」「ブルーレーベル/ブラックレーベル・クレストブリッジ(BLUE LABEL/BLACK LABEL CRESTBRIDGE)「マッキントッシュ ロンドン(MACKINTOSH LONDON)」など基幹ブランドの直営店出店を推進し、EC販売も加速する。大江社長は「今後数年でアッパーミドル(総年収800万〜1500万円の世帯)市場での覇権的な地位を確立する。このマーケットは消費者のボリュームは縮小傾向にあるが、同時に競合も減っている。徹底的な差別化で独自価値が提供できれば、まだまだチャンスがあるはずだ」と話す。

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