ファッション

「ミラノサローネ2021」リポート 「フリッツ・ハンセン」や「カール・ハンセン」の名作に新色が登場

*フリッツハンセン
名作椅子にカルラ・ソッツァーニ監修のカラーが登場

 デンマーク発「フリッツ・ハンセン(FRITS HANSEN)」の新作は、アーム&ルンド(AHM&LUND)によるデザインの貝殻の形の照明やピエロ・リッソーニ(Piero Lissoni)がデザインしたソファなどだ。目玉は、「ディエチ コルソコモ(10 CORSO COMO)」のカルラ・ソッツアーニ(Carla Sozzani)によるディレクションで、アルネ・ヤコブセン(Arne Jacobsen)がデザインした“アント”チェアと“グランプリ”チェアの新たなカラーパレットが登場したことだ。彼女は、「地中海の自然の色調から選んだ。夕焼けの色や砂の色、水の色など合計16色をそろえた。暖かい色調にするために、どの色にも赤を少しだけ加えている。今の暮らしには感情に訴える色調が必要だ」と語った。

*カッシーナ
伊「ヴォーグ」と協業でウインドーディスプレー

 今回のサローネで、「カッシーナ(CASSINA)」は伊「ヴォーグ(VOGUE)」とコラボレーションしたウインドーディスプレーを発表した。主な作品は1969年にイタリア工業デザイン協会が主催する「コンパッソドーロ賞」を受賞したアフラ&トビラ・スカルパ(Arfa & Tobia Scarpa)によるソファ“ソリアーナ”の復刻版。まるで包まれるかのような座り心地のソファには有機的なスポンジ素材とペットボトルを100%リサイクルした素材を使用している。ソファと共にモデルや人物大の人形を並べたウインドーはインパクトたっぷりで通り過ぎる人々の目を引いた。スタイリングは伊「ヴォーグ」が選んだインテリア・スタイリストのラウラ・トケット(Laura Tocket)が手掛けた。

*モルテー二
コロナ禍で変わる生活に対応する提案が充実

 ミラノ郊外のロー・フィエラで開催された「スーパーサローネ」の会場で「モルテーニ(MOLTENI & CO.)は、ロン・ジラッド(Ron Gilad)による飛行機の機内を模した空間で新作を発表した。ジオ・ポンティ(Gio Ponti)の一人がけソファ“ラウンドD.154.5”のリモデルなどが登場。同じくポンティのコンソール“D.847.1”を、ミラノ市内の『サルバトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)』ブティックのウインドーに展示。『モルテーニ』は、コロナ禍によるリモートワークにより変わり始めた暮らし方に一早く対応し、EC販売を充実させた。また、キッチンは家族全員の憩いの場ということで、キッチンブランドの『ダーダ(DADA)』でも、キッチンで仕事ができるように工夫するなど、状況の変化に柔軟に対応する姿勢が受け入れられている。

*バクスター
デザインとアートの間に位置するインテリア

 『バクスター(BAXTER)』は自社で革素材を生産しており、常時20種類の革をそろえている。新作のクリストフ・デルコート(Christophe Delcourt)がデザインしたソファは、各パーツを自在に組み替えることができる。水色、オレンジ、緑、ラベンダーなどの柔らかな色彩が新鮮だ。フェデリコ・ペッリ(Federico Pelli)が手掛けたテーブルはガラス、真鍮、革と3種類の素材を混ぜて使用するなど『バクスター』ならではのデザイン。大理石のコーヒーテーブル、真ちゅうの細い棒で構成されたガラスのケース、大理石とガラスのイドテーブルなどバリエーション豊かなコレクションだ。パオロ・べステッティ(Paolo Bestetti)=バクスター最高経営責任者は、「われわれが協業するデザイナーはアートギャラリーでの活動がメーンの人も多く、『バクスター』の家具はデザインとアートの間に位置している。コモ湖の近くに革の加工工場がある。2023年には風光明媚なコモ湖に面した庭付きのホテルをオープン予定だ。われわれが考える家を体験してもらうのが目的だ」と語った。

*カール・ハンセン
ブランドのアイデンティティーに忠実な物づくりを貫く

 「カール・ハンセン(CARL HANSEN)」の新作は、ハンス・ウェグナー(Hans Wegner)の5つの名作椅子をインテリア・家具デザイナーであるイルス・クロフォード(Ilse Crawaford)が新色で彩ったシリーズやイーオス(EOOS)のジュラーソファなど、既存の家具のデザインをアレンジして広げる姿勢を保っている。“忘れない、捨てない、消費しない”という「カール・ハンセン」には、自らのアイデンテイティーに忠実であろうとする落ち着いた姿勢がうかがわれる。クヌッド・エリック・ハンセン(Knud Erik Hansen)=カール・ハンセン最高経営責任者は、「北欧は嵐も多く、光も少ないので、室内での暮らしは重要なテーマだ」とコメント。1953年創業の同ブランドの家具は木製で多くがカシの木、一部チーク材を用いている。1本伐採したら1本植える。伐採した木材は1年乾燥させるなど手間と経費のかかる素材なのだ。素材にこだわりながら、職人養成学校も開設するなど若手職人の育成にも熱心だ。

*フロス
“パンテレージ”の誕生50周年をウインドーで祝福

 「フロス(FLOS)」は、ショーウィンドーに新商品を展示するのではなく50個の照明“パレンテージ”を吊るしてこの商品の誕生50周年を祝った。“パレンテージ”をデザインしたアッキーレ・カスティリオーニ(Achile Castiglioni)とピオ・マンズ(Pio Manzu)それぞれの娘と息子によるトークショーも行われた。店内で発表された新作は、ジャスパー・モリソン(Jasper Morrison)によるごくシンプルで機能的な“オプライト”もう一点は、フォルマファンタズマ(FORMAFANTASMA)の“ワイヤーライト”。長いネオンを柔らかなワイヤーが支えるという発想の照明は、スペクタクルな雰囲気の空間を作りそうだ。

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