ファッション

「ピーチ・ジョン」の第2期リアルサイズモデルに1200人の応募 共感集まる

 2017年頃から、「美しさの形はさまざま。ありのままの自分の体を愛して、自信を持って」というメッセージが込められた“ボディーポジティブ”という言葉が下着業界に広がり始めた。その動きは「#MeToo」運動の広がりと重なっている。ボディーポジティブを象徴するブランドの代表格としてリアーナ(Rihanna)による「サヴェージ×フェンティ(SAVAGE×FENTY)」が挙げられる。10月初旬に配信された同ブランドのショーでは、あらゆる体型と世代のモデルが登場した。

 振り返れば14年に「アメリカンイーグル アウトフィットターズ(AMERICAN EAGLE OUTFITTERS)」の姉妹ブランドで下着を主力に展開する「エアリー(AERIE)」が、広告ビジュアルに多様な体型のモデルを起用し、修正を一切加えないと宣言した。それを支持する声が広がり、今では高級ブランドからSPAブランドまでが多様な体型のモデルをビジュアルに起用している。スリムで長身のセクシーなモデルばかりをショーに登場させた「ヴィクトリアズ・シークレット(VICTORIA’ S SECRET)」さえ、昨年にプラスサイズモデルを起用している。

 一方、日本では多様なサイズのモデルを起用するのが困難だった。そもそも日本人の下着モデルが少なく、下着姿で公の場に登場させるにはハードルがかなり高い。その突破口となったのが「ピーチ・ジョン(PEACH JOHN)」が起用したリアルサイズモデルだ。19年6月にSNSを通してリアルサイズモデルを募集したところ約600人が応募し、13人を選出(20年に入り3人追加)。現在、彼女らはSNS広告をはじめとするオンライン媒体を中心に活躍している。

 東ひかるピーチ・ジョン広報宣伝課課長は、「リアルサイズモデルを募集した目的は、消費者に、より自分に近い着用イメージを持ってもらいたいから」と話す。「特にインスタグラムでのリアルサイズモデルによるビジュアルは消費者からのエンゲージメントが非常に高く、ストーリーからオンラインショップへの誘導率も高い。自分と近い体型のモデルが登場したことで、ブランドとの距離が近くなったと感じてもらっている」。リアルサイズモデル起用は実際、売り上げアップにも効果を上げている。

デビューから1年を経て、憧れる存在へと成長

 リアルサイズモデル第2回の最終オーディションが10月10~11日に東京・ピーチ・ジョン本社で開催された。今回は、第1回の2倍の約1200人が応募、年齢は20~50代までと幅広く、職業も多岐にわたる。一次審査、二次審査に合格した約100人が最終オーディションに臨み、審査には来年初旬にコラボコレクション第2弾を発売するお笑いコンビ、フォーリンラブのバービーも参加した。彼女はコラボ第1弾に続き、第2弾のビジュアルでもリアルサイズモデルと共演する予定だ。

 応募が増えた要因を東課長は「リアルサイズモデル1期生が想像以上に活躍し、受け入れられたから」と分析する。ファッション誌「ジンジャー(GINGER)」やウェブサイト「エルガール・オンライン(ELLE GIRL ONLINE)」でリアルサイズモデルの特集が組まれたこともあり、先日のオーディションでは「リアルサイズモデルの〇〇さんに憧れて募集した」「ありのままで自然体の一般人でもこんなに素敵なんだと思えた」「自分を肯定するきっかけになった」という声が多かったという。「自分を変えたい、一歩踏み出したいと思って応募した女性らがリアルサイズモデルとして自信を得て1年が経過した今、憧れの存在にまで成長した。その姿は『ピーチ・ジョン』のコンセプトである“元気・ハッピィ・セクシー”そのものだ」と東課長。

フェミニズムやルッキズムに対する高い意識

 東課長は、「今回のオーディションでは多様性に対する意識の高さを感じた」。二次審査の書類選考ではボディーポジティブに対する考えを書いてもらったが「大学の授業やSNSで得た知識から、フェミニズムやルッキズムに対する知識も豊富で、体型だけでなく、パーソナリティーや生き方もそれぞれ違っていいという考え方を持っている人が多い」と言う。リアルサイズモデルは売り上げに貢献するだけでなく、ビジュアルやSNSを通してメッセージを発信しており、消費者はそれを自分ごととして捉えているようだ。

 20年4〜9月の売り上げトップスリーの“ナイスバディブラ” “いつでもジャストブラ” “スマートブラ”の商品は機能性を打ち出しつつ、リアルサイズモデルの起用により女性のマインドの変化を反映したビジュアル表現をしている。その巧みさは1988年から発刊してきた通販カタログで女性が共感するビジュアル表現にこだわってきた「ピーチ・ジョン」の真骨頂だ。第2期生リアルサイズモデルのデビュー、そしてさらなる活躍を期待したい。

川原好恵:ビブレで販売促進、広報、店舗開発などを経て現在フリーランスのエディター・ライター。ランジェリー分野では、海外のランジェリー市場について15年以上定期的に取材を行っており、最新情報をファッション誌や専門誌などに寄稿。ビューティ&ヘルス分野ではアロマテラピーなどの自然療法やネイルファッションに関する実用書をライターとして数多く担当。日本メディカルハーブ協会認定メディカルハーブコーディネーター、日本アロマ環境協会認定アロマテラピーアドバイザー。文化服装学院ファッションマーチャンダイジング科出身

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