ニュース

ラフ・シモンズのプラダグループ加入に話題騒然 ラフとミウッチャが会見で語ったこと

 プラダ(PRADA)が発表したラフ・シモンズ(Raf Simons)の共同クリエイティブ・ディレクター就任のニュースが大きな話題を呼んでいる。

 ラフは4月2日からメゾンに参加し、9月に発表する2021年春夏ウィメンズ・コレクションがミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)と共同で手掛ける初のコレクションになる。ラフとの契約期間についてプラダは「理屈の上では永続的なものだ」と回答している。

 プラダは近年、業績の面でライバルに後れを取っていたこともあり、投資家はこの人事を好意的に見ている。ミウッチャは引退について否定したものの、同社が後継者を明確にできたことが投資家の安心材料となっているようだ。バイヤーをはじめとする業界関係者からも歓迎する声が多い。

 会見では、巨大ファッション企業におけるクリエイティブの役割が大きなテーマとなった。「公に議論されることはめったにないが、進化し続けるファッションシステムにおいて、多くのデザイナーが自分の立ち位置に疑問を抱いている」とラフは語った。ラフ自身、18年12月にPVHコープ(PVH CORP.)との対立が原因で「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」を去っている。

 プラダとラフの関係は、プラダが「ジル サンダー(JIL SANDER)」を保有していた05年にさかのぼる。ラフは当時、同ブランドのクリエイティブ・ディレクターだった。ラフによると、「カルバン・クライン」を退いてすぐにミウッチャの夫のパトリツィオ・ベルテッリ(Patrizio Bertelli)共同最高経営責任者(CEO)からコンタクトがあり、1年の時間をかけて関係を構築していったという。

 ビジネス視点で浮上する懸念や業績といった数字がクリエイションを支配しているとラフは指摘する。巨大なファッションビジネスは強いクリエイションがなくても成り立つことを認めると同時に、クリエイションはビジネスを行う上で必要だと主張する。「責任を放棄したいわけではないが、私たちがクリエイションの強化を押し出すことで、ビジネスにおいてクリエイションは必要だというメッセージを打ち出していきたい」と語った。

 ミウッチャは、クリエイティブ機能を強化する必要性を感じたと話す。「ブランドのクリエイションの側面にもっと気を配らなければいけない。これは挑戦だ。(私とラフは)お互い気が合うし、尊敬している。この関係がうまく機能するかどうかはおいおい分かるだろう」という。

 これに対してラフは、「私はコラボレーションの強さを信じている。1人より2人が同じ方向を向いて取り組むことで強さが増すし、私たちはどちらもクリエイティブなことが大好きだ。2人がいいと思ったことには突き進むし、片方がいいと思わなければ実行しない。ただそれだけのことだ」と続けた。

 ラフとミウッチャは、クリエイティビティーの発揮や決定において対等の関係だというが、会見に同席したベルテッリ共同最高経営責任者(CEO)は容易な道ではないと話す。「これはとても複雑な関係だが、美意識が高く、非自己主義な2人であれば成功するだろう」とエールを送った。

YU HIRAKAWA:幼少期を米国で過ごし、大学卒業後に日本の大手法律事務所に7年半勤務。2017年から「WWDジャパン」の編集記者としてパリ・ファッション・ウイークや国内外のCEO・デザイナーへの取材を担当。同紙におけるファッションローの分野を開拓し、法分野の執筆も行う。19年6月からはフリーランスとしてファッション関連記事の執筆と法律事務所のPRマネージャーを兼務する。「WWDジャパン」で連載「ファッションロー相談所」を担当中