「ムシンサ(MUSINSA)」はファッションECだ。しかし、モノを売るだけでなく、シェアオフィス「ムシンサ スタジオ(MUSINSA STUDIO)」や人材育成プログラム「ムシンサ ネクスト ファッション スカラーシップ(MUSINSA NEXT FASHION SCHOLARSHIP以下、MNFS)」まで事業領域を広げており、その全貌がつかみにくい。しかし、明確な一貫性がある。「韓国のファッションブランドを長続きさせる」。全てはこの大志をかなえるため始まっている。(この記事は「WWDJAPAN」2026年6月1日号からの抜粋です)
「私たちも1人の高校生から始まった」
若いデザイナーが育つインフラを整える
一般に、韓国トレンドは動きが早いと言われる。正確には、市場の反応スピードが早い。韓国アーティストやインフルエンサーの影響力が強いため、モノがリアルタイムに消費される。ゆっくりと世界観を伝えられる日本ブランドとは対照的に、韓国ブランドは初速を求められる。
しかし、立ち上げ当初のブランドにとって、自力でトレンドに乗ることは容易ではない。韓国は日本と比べセレクトショップが少なく、ゆえに卸先が少ない。運良く見つかっても、取引条件の悪いところがほとんど。だから、行き場のない小さなブランドは、SNSでアピールするしかない。韓国ブランドはビジュアル作りが得意と言われるが、背景にはこうしたのっぴきならない事情もある。
ムシンサはこうした通説にあらがっている。今でこそファッションECのイメージが強いが、2001年の立ち上げ当初はスニーカーの写真を投稿するオンラインコミュニティーだった。それを始めたのが、当時高校生だったチョ・マンホ(Cho Man-ho)=ムシンサCEOである。25年度実績で流通取引総額(GMV)が5000億円(5兆ウォン)、売上高が1400億円(1.4兆ウォン)に届いたユニコーン企業も、元をたどればファッションが好きな1人のティーンから始まった。こうした経緯から、駆け出しのブランドを精力的にサポートする文化が根付いている。
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