ビューティ

NYファッション・ウイークで見えた5つのビューティトレンド サイドパートや“寝起き風グラム”が台頭

2月11〜16日に開催された2026-27年秋冬のニューヨーク・ファッション・ウイークでは、バックステージに並んだ高級スーパー「エレホン(EREWHON)」のスムージーだけが今季の共通項ではなかった。今季はデザイナーやアーティストたちが“女性性”をインスピレーション源に、女性であることの力強さや遊び心、複雑さを表現。「プロエンザ スクーラー(PROENZA SCHOULER)」、「クリスチャン コーワン(CHRISTIAN COWAN)」「キャロリーナ ヘレラ(CAROLINA HERRERA)」などのショーでは、働く女性、超フェミニンな女性、セクシュアルでラフな女性、そして力強い女性像が描かれた。

英作家エミリー・ブロンテ(Emily Bronte)の小説「嵐が丘」を思わせる、ゴシックでロマンティックなムードもいくつか見られた。デザイナーのクリスチャン・シリアノ(Christian Siriano)は、「今、“嵐が丘”的なロマンティックで荒々しいムードに魅了されている。だからヘアも服の一部のように見せている」と語った。彼は自身のショーで、ヘアケアブランド「トレセメ(TRESEMME)」のサポートで参加しているヘアスタイリスト、レイシー・レッドウェイ(Lacy Redway)と組んでヘアスカーフを取り入れたシグネチャーヘアを作り上げた。

ポップカルチャーの引用はそれだけではない。「プロエンザ スクーラー」のランウエイでは、ジョン・F・ケネディ・ジュニア(John F. Kennedy Jr.)の妻で、 1990年代にミニマルで洗練されたスタイルの象徴だったキャロリン・ベセット・ケネディ(Carolyn Bessette Kennedy)を思わせるムードが見られた。ヘアスタイリストのホリー・スミス(Holly Smith)は、「ニューヨークはロングヘアの女性をシンプルで気取らない美しさに見せるのが上手。キャロリン・ベセット・ケネディの時代のようなムードも今なお感じられる」と語り、ショーではラグジュアリーヘアケアブランド「オリベ(ORIBE)」とツールブランド「T3」のアイテムを使って“クワイエット・ポニーテール”を仕上げた。

ここでは、ニューヨーク・ファッション・ウイークで見られた5つのビューティトレンドを紹介する。

1. サイドパート

 
長年ミレニアル世代の定番だったサイドパートが再び台頭した。

「ディオティマ(DIOTIMA)」では、「オリベ」のヘアスタイリスト、ジョーイ・ジョージ(Joey George)が、デザイナーのレイチェル・スコット(Rachel Scott)のコレクションに登場したプリントの官能性を反映したサイドパートのアップスタイルを提案した。「すぐにヘルムート・ニュートン(Helmut Newton)の写真に登場するような女性像が思い浮かんだ。ベッドから起きたばかりのようなラフなツイストは、バレンタインデーの後に恋人と過ごした余韻を感じさせるイメージ。セクシーな女性像を描く『ディオティマ』らしいスタイルだ」とジョージ=ヘアスタイリストは語った。

ケイト(KHAITE)」や「セルジオ・ハドソン(SERGIO HUDSON)」の10周年のショーでもサイドパートが登場した。シンガーソングライターのアレサ・フランクリン(Aretha Franklin)から映画「101匹わんちゃん」のクルエラ・ド・ヴィル役のグレン・クローズ(Glenn Close)まで、力強い女性たちがインスピレーション源となった。モデルたちはパワフルなスーツに身を包み、洗練されたサイドパートのローバン(低い位置でまとめたシニヨン)でランウエイを歩いた。

2. アイシャドウの復活

マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」「キム シュイ(KIM SHUI)」「キャロリーナ ヘレラ」のショーでは、“クリーンガール”メイクが姿を消した。

「マーク ジェイコブス」では、メイクアップアーティストのトーマス・デ・クルイバー(Thomas de Kluyver)が、ブランドのビューティライン復活を象徴するような大胆なアイメイクを施した。1960年代のダイアナ・ロス(Diana Ross)、ツイッギー(Twiggy)、ナンシー・クワン(Nancy Kwan)を思わせる万華鏡のように多彩なブルーのアイメイクが特徴だった。

「キム シュイ」のバックステージでは、メイクアップアーティストのロメロ・ジェニングス(Romero Jennings)が「M・A・C」のピンクや赤のアイシャドウ、“フューシャ・フューチャー”と“フランボイヤント”を使用し、ブロンズやブルーのアイカラーを際立たせた。重めのアイメイクに対して、下まぶたから広がるローズ系チークが対比を生んだ。

「プライベート ポリシー(PRIVATE POLICY)」では、「M・A・C」のメイクアップアーティスト、ティボー・マリエク(Thibaut Marieke)が、細いペンシル眉とコーラルピンクのアイカラーを組み合わせ、まぶたから目の下へ溶けるようなメイクを施した。磁器の人形のような繊細さと90年代のクラブキッズのようなグランジ感の中間にあるような美学だった。

一方、「キャロリーナ ヘレラ」では、メイクアップアーティストのジェームズ・カリアルドス(James Kaliardos)がスモーキーシャドウでブランドのエレガントな雰囲気に新しい緊張感を加えた。カリアルドス=メイクアップアーティストとクリエイティブ・ディレクターのウェス・ゴードン(Wes Gordon)は、存在感のあるアイメイクとフェミニンなイブニングウエアを組み合わせ、多様な女性像を祝福するルックに仕上げた。

3. 1990年代への回帰

今季を象徴する言葉は“グレージュ”だ。90年代を席巻したクールトーンのメイクが、「クリスチャン コーワン」や「ボーイロンドン(BOY LONDON)」などで再び登場した。

「クリスチャン コーワン」では、ダークなスモーキーアイとグレーブラウンのリップに、淡いピンクのチークを合わせた。

「ボーイロンドン」では、「M・A・C」のティボー・マリエク=メイクアップアーティストが中世的でグランジなテーマをメイクアップに反映。にじませたアイライナーに加え、グレージュのリップペンシルとブラックリップを使用した。

4. ラフで無造作なヘア

質感を強調したブリジット・バルドー(Brigitte Bardot)風ヘアも登場した。

アナ スイ(ANNA SUI)」では、コレクション同様に複数の時代をミックスしたヘアが提案された。ヘアスタイリストでプロ向けヘアケアブランド「アールプラスコー・ブルー(R+CO BLEU)」創業者のガレン(Garren)が手掛けた。「60年代のボリュームヘアをベースに、20年代のムードも重ねた」とガレン=ヘアスタイリストは語り、ブラシで髪を逆毛にしながらスタイルを作り上げた。「頭頂部にブリジット・バルドー風のトップノットを作り、下は自然な質感に。毛先には流れを持たせ、固めすぎない触れたくなるようなフェミニンな髪に仕上げた。まるでベッドから起きて、さっとまとめたようなラフな雰囲気だ」。

コリーナ ストラーダ(COLLINA STRADA)」でも“ベッドヘア”が登場した。ヘアスタイリストのムスタファ・ヤナズ(Mustafa Yanaz)は、自作の人毛ウィッグとヘアケアブランド「バンブル アンド バンブル(BUMBLE AND BUMBLE)」の製品を使い、「ビッグ・ウィッグ(ボリュームのある髪)」「ザ・スワール(渦のように動くスタイル)」「スクエア(四角いシルエット)」の3つのルックを作り上げた。「ボリュームのあるラフで妖艶な雰囲気のヘア。寒くて暗い季節なので、人々は家にこもりがち。寝て、髪をいじって、起きたら顔に髪がかかっているようなイメージだ」とヤナズ=スタイリストは語った。

5. 寝起き風メイク

「コリーナ ストラーダ」では、メイクアップアーティストのディック・ページ(Dick Page)が、髪がラフで寝起き風だったのと同様に目の下のクマを強調したメイクを提案した。

「エリア(AREA)」のショーでも、夜遊び後のようなダークなアイメイクを打ち出した。

「プロエンザ スクーラー」では、メイクアップアーティストのトーマス・デ・クルイバーが“昼は働く女性、夜はパーティーガール”というストーリーをメイクで表現。寝起きのようなアイメイクと、「バイレード(BYREDO)」の“レッド コーマ”のにじんだリップを組み合わせた。「コレクションの服には構造的なディテールや歪みの要素があるので、メイクでも同じことをしたかった」とデ・クルイバー=メイクアップアーティストは語り、非対称のアイライナーと、つけまつ毛ブランド「アーデル(ARDELL)」の束感のあるまつ毛でルックを完成させた。

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