ユニリーバ(UNILEVER)の2025年12月通期決算は、アイスクリーム事業の分離を反映した継続事業ベースの売上高が前期比3.8%減の505億ユーロ(約9兆3425億円)、営業利益が同2.4%増の90億ユーロ(約1兆6650億円)、純利益が同2.9%増の62億ユーロ(約1兆1470億円)の減収増益だった。M&Aや為替などの一時的要因を除いた基礎的売上高は同3.5%増、基礎的営業利益は同1.1%減だった。減収は、アイスクリーム事業の分離と為替のマイナス影響が響いた。
部門別の売上高では、ビューティ&ウェルビーイングが同2.3%減の128億ユーロ(約2兆3680億円)、パーソナルケアが同3.4%減の132億ユーロ(約2兆4420億円)、ホームケアが同6.4%減の116億ユーロ(約2兆1460億円)、フードが同3.2%減の129億ユーロ(約2兆3865億円)だった。基礎的売上高では、ビューティ&ウェルビーイングが同4.3%増、パーソナルケアが同4.7%増、ホームケアが同2.6%増、フードが同2.5%増だった。
投資拡大で利益率は低下
ビューティ&ウェルビーイング部門は、数量と価格のバランスの取れた成長が寄与し、全体の業績を上回った。「ニュートラフォル(NUTRAFOL)」「リキッドI.V.(LIQUID I.V.)」「ヴァセリン(VASELINE)」などのブランドがけん引した。「ヴァセリン」は2ケタ成長を達成。パーソナルケア部門の「ダヴ(DOVE)」も同様に2ケタ成長となった。一方、プレステージビューティ、コアスキンケア、ヘアケアは1ケタ台前半から中盤の伸びにとどまった。
同部門は通年でユニリーバ全体の売上高の25%を占めた。ビューティ&ウェルビーイング部門の基礎的営業利益は同3.2%減の25億ユーロ(約4625億円)で、基礎的営業利益率は19.2%に低下した。同社によると、間接費の「大幅な改善」があったものの、粗利益率のわずかな低下と、パワーブランドおよびプレミアムイノベーションへのブランドやマーケティング投資の大幅増加が相殺要因となった。
プレミアムとデジタルを軸に米印市場を強化
昨年3月に就任したフェルナンド・フェルナンデス(Fernando Fernandez)最高経営責任者(CEO)は、「2025年、ユニリーバはよりシンプルで、より鋭敏かつ迅速な企業へと進化した。販売数量の成長、高付加価値製品へのシフト、強固な粗利益率の実現というコミットメントを達成した」と述べた。「強力なイノベーション計画の実行、主要新興市場での業績改善、アイスクリーム事業の分離完了により、基礎的売上高の成長は年間を通じて改善した」とした。
さらに同氏は、「ブランドの大規模な需要創出、全チャネルにおける卓越した実行力、コスト規律を徹底し事業基盤の強化を急いでいる。今後の成長に向けて、ビューティとウェルネス領域を強化し、プレミアムとデジタルコマースを軸に米国とインドでの成長に注力する」と語った。決算発表のプレゼンテーションではさらに、AIを活用して「需要創出を加速させている」と説明。大きな成長機会への集中と、戦略の一貫した実行に注力すると述べた。「重労働はすでに終えた」とフェルナンデスCEOは述べ、社内再編と業務のスリム化に言及した。
コスト削減と組織再編を推進
同社は24〜27年にかけて約8億ユーロ(約1480億円)のコスト削減を目指し、全世界で本社機能を中心に7500人の削減を計画している。昨年は欧州で本社・管理部門の約3分の1に当たる約3200人を削減した。また、企業改革の一環として上位200人の幹部ポストの見直しも進めている。
ユニリーバの動向は、市場全体のトレンドとも一致している。従来型ビューティよりも、ターゲットを絞った治療的アプローチを提供するウェルネス製品への需要が上回っている。
ウェルネスおよび一部ビューティブランドで成長を見せる一方、26年は厳しい環境が予想される。同社は26年通期の基礎的売上高成長率を、4~6%になると見込んでいる。ただし、市場環境の減速を反映し、成長率は「下限寄り」になる見通しだとした。基礎的営業利益率は25年は約20%水準で、通期で「緩やかな改善」を見込むとしている。