
ネット通販やライブコマース、スマホ決済、ゲームなど、次々と世界最先端のテクノロジーやサービスが生まれている中国。その最新コマース事情を、ファッション&ビューティと小売りの視点で中国専門ジャーナリストの高口康太さんが分かりやすくお届けします。今回のテーマは「AIで激変する中国仕入れ事情」です。AI先進国の中国では、あらゆるサービスやハードウエアに生成AIが搭載される「AI革命」の真っ盛り。巨人アリババが成長の足がかりとした「中国仕入れ」ビジネスも、激変の最中です。AIエージェントが導入された最新の「中国仕入れ事情」をリポートします。(この記事は「WWDJAPAN」2026年2月16日号の転載です)
この数年は若干減少気味だが、中国はいまなお世界の多くの国・地域にとって最大の輸入元である。日本企業も大手ブランドから中小企業まで、メード・イン・チャイナ」製品を多数販売している。フリマサイトの個人事業も「中国仕入れ」が多い。その一方で日中対立や円安、そしてTikTok Shopなど中国系プラットフォームの台頭など、業界を取り巻く状況は激変。【令和最新版】の中国仕入れについて、中国輸入代行サービス大手「タオタロウ」を経営するゴールドバッハの和田太郎社長に聞いた。
PROFILE: 和田太郎/ゴールドバッハ代表取締役

――「中国仕入れ」とは?
中小事業者や個人が行う中国からの輸入、中国工場での委託生産を指す。当社の顧客は楽天市場やアマゾンに出店しているネットショップが中心だ。売り上げ月数万円の副業レベルから、月商数億円を超える事業者まで幅広い。タオタロウは輸入代行サービス。中国最大の商品市場がある浙江省義烏市に拠点を持ち、中国の卸売りモールからの仕入れ、工場との交渉、検品、日本への配送などを請け負っている。
――日中関係悪化の影響は?
1月初頭のデュアルユース(軍民両用)物品・サービスの対日輸出規制強化は影響が出ている。中国商務部は民間貿易には影響がないと言っているが、何が軍用品に当たるのかの明確なガイドラインがなく、問い合わせ先もない。「迷彩柄のシャツもダメ」「磁石付き裁縫セットはダメ。レアアース磁石でなくても、磁石という単語が商品名に入っているものもダメ」と、中国物流企業は言っている。直接、税関と交渉している彼らの言葉を信じるしかないが、笑い話のような状況だ。規制強化の通達が始まって間もないため、誰もが手探りだ。当社は素材を扱うことはほぼないので影響は少ないが、メーカーや商社には影響が出ているのではないか。旧正月休みが明けた3月には影響が表面化する可能性が高い。
――では「中国仕入れ」も減速か?
サバイバルゲーム専門ショップなど規制が直撃している事業者は大きな痛手を受けただろうが、全体で見れば落ち込みはない。コロナ禍でネットショッピング需要が急伸していた時期と比べると、成長率は落ちたが安定している。
日中関係の悪化以上に気がかりだったのは、中国の事業者が直接日本市場で販売するトレンドが広がっている点だ。アマゾンや楽天の中華セラーに加え、TikTok ShopやTemuなどの中国系プラットフォームの進出もある。同じ中国工場から仕入れているため、「中国仕入れ」事業者とは競合関係になると見ていたが、現時点では食い合いは起きていない。
――中国系プラットフォームの状況は?
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