ファッション

「アライア」のピーター・ミュリエが「ヴェルサーチェ」のチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任

「VERSACE(ヴェルサーチェ)」は、ピーター・ミュリエ(Pieter Mulier)現「アライア(ALAIA)」クリエイティブ・ディレクターをチーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)に任命した。2025年12月にわずか1シーズンで退任が発表されたダリオ・ヴィターレ(Dario Vitale)の後任となる。ミュリエは7月1日付で就任予定。「アライア」での仕事は、3月のパリ・ファッション・ウイークで発表する26年夏秋コレクションが最後になる。

親会社プラダ グループ(PRADA GROUP)のパトリツィオ・ベルテッリ(Patrizio Bertelli)会長兼エグゼクティブ・ディレクターとミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)の息子でもあるロレンツォ・ベルテッリ(Lorenzo Bertelli)=エグゼクティブ・チェアマンは、ミュリエの就任を「とてもうれしく思う」とし、「これはかなり前から下していた決断であり、25年秋にはすでに(ブランドのクリエイティブ・ディレクションについての)議論を始めていたと記憶している。実はパンデミックの最中から、『ヴェルサーチェ』への投資の可能性を本格的に考え始めていた」と明かした。そして買収を検討する中で、ミュリエこそ「同ブランドのデザイナーという役割にふさわしい人物だと見定めた」とコメント。「彼は『ヴェルサーチェ』の持つ可能性を余すところなく表現し、ブランドの歴史およびその独自の美学と深い対話を生み出してくれると確信している。私たちは、この歩みを共に始められることを心から楽しみにしている。『ヴェルサーチェ』のアイデンティティーは明確だ。再発明する必要はなく、ピーターはブランドの本質を理解したうえで再解釈できるだろう」と期待を寄せた。

また、エマニュエル・ギンツブルガー(Emmanuel Gintzburger)=ヴェルサーチェ最高経営責任者の退任を巡る憶測については、「彼とはとても良い関係で仕事をしている」と否定。今後はグループとしての生産や流通面でのシナジーを活用する一方、ブランドとしての独立性は維持する方針だという。なおベルテッリは、プラダ グループにおけるCSR責任者およびマーケティング・ディレクターの職も引き続き兼務する。

ラフ・シモンズの右腕とて活躍してきたミュリエの経歴

ミュリエはベルギー出身。ブリュッセルのサン=リュック建築高等学院でデザインと建築を学んだ後、アントワープを拠点とする「ラフ・シモンズ(RAF SIMONS)」のデザインチームに入った。その後、「ジル・サンダー(JIL SANDER)」「ディオール(DIOR)」「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」で、ラフ・シモンズ(現在は「プラダ」の共同クリエイティブ・ディレクター)の右腕として活躍。特に「カルバン・クライン」では、メンズ・ウィメンズ双方のデザインを統括し、ブランド全体のクリエイティブを実務面から支えた。

21年に「アライア」のクリエイティブ・ディレクターに就任して以降は、彫刻的なフォルムと建築的構造を軸に、クラフト、品質、タイムレスな美を重視したブランドの方向性を確立。バッグの“ル テケル”やバレリーナシューズなどのヒットアイテムを生み、若い世代への訴求にも成功した。親会社のコンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT)は、「アライア」を“成長ドライバー”と位置付けており、ミュリエ就任後に事業規模は2倍以上に拡大したと見られている。

一方、プラダ グループは25年4月、カプリ・ホールディングス(CAPRI HOLDINGS)から約12億5000万ユーロで「ヴェルサーチェ」を買収。創業家のドナテラ・ヴェルサーチェ(Donatella Versace)は約30年にわたり務めたクリエイティブ・ディレクターを退き、現在はチーフ・ブランド・アンバサダーとして関わっている。

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