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コティ、スー・ナビCEOが退任 暫定CEOに元P&Gのマーカス・ストローベル氏

コティ(COTY)は22日(現地時間)、2026年1月1日付でスー・Y・ナビ(Sue Y Navi)最高経営責任者(CEO)が退任し、暫定CEOにマルクス・ストローベル(Markus Strobel)氏が就任すると発表した。ストローベル氏は取締役会のエグゼクティブ・チェアマンにも指名され、引退するピーター・ハーフ(Peter Harf)=エグゼクティブ・チェアマンの後を引き継ぐ。ナビCEOは約5年間、ハーフ=エグゼクティブ・チェアマンは30年以上にわたる取締役の在任期間を経て退任する。

ストローベル氏は、プロクター・アンド・ギャンブル(PROCTER & GAMBLE以下、P&G)で33年間キャリアを積んだ後、コティに入社。直近は、P&Gのグローバル・スキンケア及びパーソナルケア事業のプレジデントを務めていた。在任中は、ファインフレグランス、ヘアケア、グルーミングなどの分野で要職を歴任。フレグランス部門では、「グッチ ビューティ(GUCCI BEAUTY)」「ドルチェ&ガッバーナ (DOLCE&GABBANA)」「ヴァレンティノ ビューティ(VALENTINO BEAUTY)」「ヒューゴ ボス (HUGO BOSS)」などのプレステージブランドを率いた経験を持つ。ストローベル氏は声明で「この重要な局面でコティに加わることをうれしく思う。コティが築いてきた強固な基盤を土台に成長を加速させ、プレステージ及びマスビューティにおける地位を強化し、世界中の株主、パートナー、消費者に持続的な価値を提供できる大きな可能性があると考えている」と述べた。

ナビCEOの退任条件と報酬の内訳

米証券取引委員会(以下、SEC)への提出書類によると、ストローベル暫定CEOの年俸は125万ドル(約1億9625万円)で、暫定CEOを離任した時点で100万ドル(約1億5700万ドル)に減額される。また、同社の株式報酬・長期インセンティブ計画に基づく株式付与に加え、94万ドル(約1億4758万円)のサインオンボーナス(入社一時金)を受け取る権利を得る。ナビCEOは、2023年時点で総報酬額が1億4940万ドル(約234億5580万円)に達し、米国ビューティ業界で最高額報酬を得た経営者となった。14年にラグジュアリースキンケアブランド「オルヴェーダ(ORVEDA)」を立ち上げる以前は、ロレアル(L’OREAL)に20年間勤務していた。退任に伴い、ナビCEOは基本給6カ月分に相当する約174万ドル(約2億7318万円)の一時金を受け取る権利を有する。さらに、退任に関する合意により約208万3333株の制限付き株式ユニット(RSU)の権利が確定する。退任時点で未確定だったその他全ての株式報酬は失効する。SEC提出書類によれば、ナビCEOはこれらの条件と引き換えに会社に対する請求権の放棄に同意し、機密保持義務や引き抜き禁止義務を含む既存の競業避止義務をあらためて確認した。

逆風強まるコティ

今回の経営陣交代は、コティにとって厳しい局面で行われる。同社は主力である「グッチ」のフレグランス及びビューティのライセンスを28年に失う予定だ。大手投資銀行の調査部門エバーコア ISI(EVERCORE ISI)によれば、「グッチ」はコティの売上高の約8%、利益では約11%を占めているという。このライセンス移管は、ロレアルと「グッチ」の親会社であるケリング(KERING)との戦略提携の一環として10月に発表された。

コティは同時に、9月に発表した通りマス向けカラーメイクアップ事業及びブラジル事業の戦略的見直しを進めている。対象は「カバーガール(COVERGIRL)」「リンメル(RIMMEL)」「サリーハンセン(SALLY HANSEN)」「マックス ファクター(MAX FACTOR)」を含む売上高12億ドル(約1884億円)規模のマス向けカラーメイクアップ事業と、現地ブランドで構成する売上高4億ドル(約628億円)規模のブラジル事業(現地ブランド群)だ。米金融大手シティグループ(CITIGROUP)が担当するこの見直しでは、提携、事業売却、分社化などあらゆる選択肢が検討される。

さらにコティは12月19日、ヘアケア大手ウエラ(WELLA)の残る25.8%の株式を投資会社のKKRに売却した。この取引により、コティは7億5000万ドル(約1177億5000万ドル)の現金を即時受領し、加えてKKRの優先リターン達成後、ウエラの追加売却やIPOによる収益の45%を受け取る権利を取得する。本取引による税引き後の現金収入は、コティの短期及び長期債務の返済に充てられる予定だ。

暫定CEOに課される再建の重責

投資銀行レイモンド・ジェームズ(RAYMOND JAMES)のアナリスト、オリビア・トン(Olivia Tong)は今回の人事について、「ストローベル氏の経歴は再建を主導するのに適している。コティはポートフォリオの選択と集中、イノベーション、マーケティングの強化を優先するだろう。一方で、同社がプレステージフレグランスへの依存を強める可能性が高い中、『グッチ』のライセンス喪失を含むカテゴリー及びライセンス集中リスクは引き続き懸念材料であり、新CEOにはより限定されたカテゴリーの中でのイノベーション、ブランド健全性、多角化を管理する重責がのしかかる」とコメントしている。

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