ファッション

ギャルマインドと洋服愛は終わらない 仲里依紗が語る成長と不変

PROFILE: (なか・りいさ)

(なか・りいさ)
PROFILE: 1989年、長崎県生まれ。ティーン誌のモデルを経て、2006年に映画「アイランドタイムズ」で俳優デビュー。同年、劇場版アニメ「時をかける少女」でヒロインの声を務め、高い評価を受ける。演技力に加えて、類を見ないファッションセンス、SNSで発信する飾らない素顔で支持される

俳優やインフルエンサーがブランドを立ち上げることは少なくはないが、その成功には継続した情熱と自身の世界観に真摯に向かい合う姿勢が不可欠となる。仲里依紗が手がけるブランド「アールイードット(RE.)」は立ち上げから5周年を迎えるが、一貫したクリエーションは彼女の世界観そのものといった様相を保っている。それは服づくりだけでなく、ショップ空間にも現れていた。ラフォーレ原宿にて開催中のポップアップストア内で、彼女の洋服への愛に迫った。

WWD:今回でラフォーレ原宿でのポップアップストア開催は5回目だが、以前と比べて変わったことは?

仲里依紗(以下、仲):今回は2フロアでの開催。クリスマスムードの中だけど、お祭りっぽいことがやりたくてポップなカラーリングの店内でくじ引きやフォトスポット、シール帳に貼るステッカーを散りばめたような鏡など、脚を運ぶだけで楽しめるつくりにしました。普段はオンラインで販売しているのでアイテムでしか世界観を伝えられないけど、洋服を選ぶ楽しさやブランドのエネルギーをショップの内装からも感じてほしいと思って。5回目なので、今までで一番設営がスムーズにいきましたね(笑)。

WWD:5年間で洋服づくりの手法に変化はあったか?

仲:それは、変わっていないです。まずは着心地の良さや生地選びから洋服を作るところは最初から変わっていない。どんなに可愛いデザインだと思っても体に負担が掛かっていると感じる洋服を着続けるのは限界が来ると思っているので、我慢しないで楽しんで着てもらう、ということを第一につくっています。ただ、オンラインだとデザインは伝えれても生地感や着心地までは伝えきれないので、そういった意味でもポップアップを開催できるのは嬉しいです。

WWD:小さい頃の夢はお洋服屋さんで、カリスマギャル店員に憧れた。そのマインドにも変化はない?

仲:変わるかな、と思っていたんですが、変わりませんね(笑)。正直、もう変わらないんだろうなって。いつかは誰かにデザインも任せる日が来るのかもな、とぼんやり考えていたけど一向に来ないし、それどころかデザインも生地選定もより細かくなっていっている。無理に派手なデザインにしているんじゃなくて、自然に派手になっていってるんですよね。でも時々、シンプルすぎるデザインにしちゃったんじゃないかと思う時があります。このスエットパンツとか、シンプルすぎないかな?とか。

WWD:シンプル?シンプルではないような。

仲:うん。ブランドを一緒に運営している家族にも言われるんです。「並べてみてごらん、全然シンプルじゃないよ」って。でもシンプルですよ、穿きやすい。こういう風に感じるから、マインドはもう変わらないんだなって。

WWD:妹のれいなさんを始め、「アールイードット」の運営は家族で行われているが、この5年間でコミュニケーションに変化はあったか?

仲:私の本業は女優なので、どうしても服づくりの時間が取れなくなる時や、撮影が続くと洋服自体に触れる機会から遠ざかってしまうこともあります。そういう時に、妹があれやれ、これやれってお尻を叩いてくれるんです。家族でやっていると、人数は少なくて正直大変。実際に、生産が間に合わなかったり思うようにできなくて、ドロップしてしまったアイテムも結構あります。それでも、私はこの温かい関係の中で服をつくっていきたい。その中で1からあーでもない、こーでもないと言い合って、実現できないものもあって、でも妥協はしなかった。それだけは言い切れます。こだわりを詰め込んだから、「これ売れそうだな」って服が全然ない(笑)。もっとシンプルにすればいいのにね、でもそうすると別のブランドになっちゃうから、きっとこれでいいんです。

WWD:今回、新しいことに挑戦したアイテムは?

仲:このマウンテンパーカのセットアップです。私がウインタースポーツや釣りが好きなんですけど、そういうアクティブなシーンで着られる派手さのある服がつくりたくて。今まで機能素材や特別なディテールを施したことはなかったんですけど、これは本格的な止水ジップを使用して撥水性・保温性も高く制作しました。この店内では暑くて着られないくらい。

アウトドアブランドだと、暗めなカラーリングが多くて。これなら自然の中でも映える写真が撮れると思います。もう一つ、私のファンやブランドのお客さまには子育て世代の方も多いのですが、子どもの保育園の送り迎えで寒い中自転車を走らせなきゃいけない、そんな時でも自分の好きなお洒落ができるって喜んでもらえました。私も子どもが小さい頃は送り迎えをしていたので、すごく気持ちがわかる。そんな時に寒いのを我慢するんじゃなくて、ちゃんと防寒しながら好きな着こなしができる服を手がけたかったので、とても満足しています。

WWD:今年は所属事務所を離れ独立したりと、挑戦した一年だったと思うが来年はどんなことをしたい?

仲:今年は挑戦もしたし、お別れのあった年でもありました。その分、来年は色々なことを取り込んでいきたい。多分、今ハードディスクが空いてるんです。ファンとコミュニケーションを密に取りたいと昔から思っていたので、ファンクラブも新しく立ち上げた。そこで色々な意見や話も聞いていきたい。そうやって成長していきたいですね。

PHOTOS:TOSHIYUKI TANAKA

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