ロレアル(L’OREAL)はこのほど、中国ブランドおよびスタートアップへの投資拡大の一環として、杭州発のクリーンビューティブランド「蘭(LAN)」へのマイノリティ出資を発表した。今回の出資は、ロレアル中国のCVCである上海美次方投資(SHANGHAI MEICIFANG INVESTMENT) と、ロレアルグループのベンチャーキャピタルファンド、ボールド(BOLD)を通じて実施。上海美次方投資が中国のスキンケアブランドへ投資するのは今回が初となる。
2019年設立のスキンケアブランド「蘭」は、市場で最初期のクリーンビューティブランドの一つとして知られ、“高いパフォーマンスと心地良い感覚体験を同時にかなえるオイルトリートメント”を提唱し、自然でミニマルな美学を特徴としている。分子オイル抽出や植物ヒーリング」などのバイオテクノロジーをベースに、“東洋の知恵”とシンプルなスキンケア概念を融合。“タイム オーキッド(時蘭)”や“フェニックス ブライトニング(鳳凰煥亮)”などのコレクションを展開している。現地メディアによると、同ブランドはヒーロー製品のヒットにより同ブランドの20年の売上高は 2億元(約2810万ドル) に達した。米大手コンサルタント会社フロスト&サリバン(FROST & SULLIVAN)のデータによると、「蘭」は 23年から24年にかけて中国国内のフェイシャルオイル販売量で2年連続1位を記録。今年、全製品ラインにおいて100%自社開発を実現した。
ヴァンサン・ボワネ(Vincent Boinay)=ロレアル北アジアゾーン プレジデント兼ロレアル中国最高経営責任者(CEO)は、「今回の投資は、中国市場がロレアルのグローバル戦略において極めて重要な位置を占めることを改めて示すものだ。私たちは長期的な視点から中国市場への投資を継続し、より多くのローカルブランドと協力しながら、美の未来を共に形づくり、知識豊かな中国の消費者の期待に応えていく」と述べた。
「蘭」の丁小蘭(Xiaolan Ding)=創業者は、「東洋文化において蘭の花は高潔な純粋さを象徴し、内なる探求と成長の静かな力を表している。私たちのブランドはその精神からインスパイアされている。このパートナーシップを通じて、東洋の伝統と植物が持つ力を世界へ広げたい」と語った。
ロレアルは 18年にボールド(BOLD) を設立。「BOLD」は「BUSINESS OPPORTUNITIES FOR L’OREAL DEVELOPMENT」の頭文字で、同ファンドは将来有望なスタートアップへのマイノリティ投資を行っている。2月には、インドのスキンケアブランド 「デコンストラクト(DECONSTRUCT)」とヘアケアブランド「アラタ(ARATA)」に出資。中国では、上海美次方投資が22年にZ世代をターゲットにした高級フレグランスブランド「ドキュメンツ(DOCUMENTS、聞献)」、24年に同じく高級フレグランスブランド 「トゥー サマー(TO SUMMER、観夏)」の少数株式を取得。4月にはファンデーションブランド 「ファースト カバー(FIRST COVER)」を支援した。