LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)は、シチズンの傘下でスイスを拠点にする時計メーカー、ラ・ジュー・ペレ(La Joux-Perret)の少数株式を取得した。取引の詳細な金額は明らかにされていない。
両者は同時に、「ウブロ(HUBLOT)」「タグ・ホイヤー(TAG HEUER)」「ゼニス(ZENITH)」などのLVMH傘下のウオッチブランドに、新たな生産およびイノベーションの可能性をもたらす戦略的パートナーシップも締結した。
上記の時計ブランドは近年、高品質なムーブメントの設計・製造で定評のあるラ・ジュー・ペレと協業を重ねてきた。「タグ・ホイヤー」は、同社と共同でソーラークオーツムーブメントを開発し、“アクアレーサー(Aquaracer)”や“タグ・ホイヤー フォーミュラ1(Tag Heuer Fomula 1)”コレクションに搭載する。また「ティファニー(TIFFANY & CO.)」も、ブランドを象徴するコレクションの一つ“ロープ(Rope)”で同社のムーブメントを採用している。
LVMHウオッチ部門のジャン・クリストフ・ババン(Jean Christophe Babin)最高経営責任者(CEO)は「ラ・ジュー・ペレとの関係をさらに強化できることを嬉しく思う」と語った。また「その技術的熟練度、産業の卓越性、そしてスイス時計産業の中に深く根ざした存在感は、我々の時計ブランドにとって理想的なパートナー。ソーラーエネルギーに関する卓越した専門知識を生かし、持続可能な高精度時計ムーブメントの分野において共にリードしていくことを目指す」と続けた。
ラ・ジュー・ペレの親会社であるシチズン時計グループの大治良高社長は「LVMHグループをラ‧ジュー‧ペレ社の資本にむかえ、関係性がさらに強まることを大変喜ばしく思う。この戦略的提携は、技術力の認知を確固たるものにし、⻑期的な新たな展望を開く。この強固なパートナーシップにより、ラ‧ジュー‧ペレ社は卓越したムーブメントを供給し、LVMH グループと共にスイスの時計産業の発展に寄与していく」とコメント。
今回の少数株式取得および商業提携の強化は、LVMHのウオッチ部門が優れた産業パートナーとの結びつきを強化し、スイスへの投資を補完するための長期的戦略の一環だという。同社は、世界の時計産業の中心地であるスイスに16の製造拠点を持つ。
ラ・ジュー・ペレは、スイスの都市ラ・ショー・ド・フォンに本拠を置き、約140名の従業員を擁する時計ムーブメントメーカー。自動巻き、複雑機構、ソーラークオーツムーブメントの開発において豊富な経験を持ち、開発から最終組み立てまで、すべての工程を自社内で完結する。12年にシチズングループの傘下に入った。同社は、今後も独立した企業として運営され、既存および将来的な顧客へのサービス提供を継続する。親会社のシチズングループも、これまで通り独立して事業を行う。