日本発ジュエラー「タサキ(TASAKI)」からブランド初のフレグランスコレクション“タサキ オート パフューマリー”が登場した。香りは、「タサキ」のパールが育まれる長崎・九十九島から着想を得た“99 アイランズ”、ブランドを象徴するコレクション“バランス”、確かなクラフツマンシップを反映する“ハイジュエリー”の3種類。ボトルは、「タサキ」銀座本店のファサードや真珠養殖場を彷ふつとさせるデザインだ。調香を手掛けたのはパリ発パフューマリー「オルメ(ORMAIE)」のオーナーであるバティスト・ブイグと彼の母で調香師のマリー・リーズ・ジョナック。フレグランス発表のために来日したブイグとジョナックに話を聞いた。
旅に誘われ、その感動を香りで表現
「タサキ」との出合いについてブイグは、「田島寿一TASAKI社長とパリで会う機会があった。香水の話というよりも、ノウハウやクラフツマンシップについて語り合い、お互いに共通点があると感じた」と話す。「タサキ」はパリ・ヴァンドーム広場の「パリ リッツ」内にブティックがあり、来年にはラペ通りに旗艦店を出店予定だ。ブイグは以前から「タサキ」のクラフツマンシップについて以前から興味を持っていたという。
「田島社長が桜が咲く時期に、日本に招待してくれたんだ。長崎のパールの養殖場や神戸のアトリエ、東京銀座の旗艦店を訪れる旅は、私にとって非常にインスパイアリングだった」とブイグ。彼は、早速、文房具店でスケッチブックを購入し、旅の日記をつけ始めた。「次から次へ島がある九十九島の自然の美しさに感動した。99という数字の響にも、無限の広がりを感じた」と話す。彼は、パールの養殖場の木枠からイメージを膨らませ香水のボトルのスケッチを始めていたという。
「アーティストが表現に駆られるのと同様に、この旅で見た風景や感じたことを純粋に表現したいと思った」とブイグ。旅の最中、田島社長から具体的に「香水を作ってほしい」という言葉はなかったという。彼は、「このコラボは、ビジネス的な観点からスタートしたのではなく、直感的で感情的なもの。旅を通して表現したいことがわかったんだ」と言う。彼は、旅のストーリーを香りで表現したいと母と共に制作を始めた。「これは、自発的にできた香水。私が旅で感じたことの純粋な表現だ」。
親子で紡ぎ出す日本と自然へのオマージュ
今回のコラボレーションでは、ブリーフィングも全くなし。ブイグが九十九島の養殖場や神戸のアトリエで感じたことがストレートに香りとして表現されている。その香りの具現化を手掛けたのがジョナックだ。彼女は、「“99 アイランズ”は、九十九島の詩的な情景を元に、日本へのオマージュした清らかな香り。“バランス”は、『タサキ』のクラフツマンシップと革新的な面を、ユズやガルバナムを使用してパリジャン的に表現した。”ハイジュエリー”は、色とりどりの宝石をラズベリーやライチ、ローズといった果物や花に捉えて組み合わせた」と話す。ジョナックは、ブイグの思いを敏感に感じとり、魂を込めて香りで表現しているという。「絵画や文学、音楽などの芸術はユニバーサルで、人々の共感を呼ぶもの。香水も同じで、伝えたい、感動してもらいたいという思いが込められた芸術表現の一つだ」とジョナック。
日本への旅で、ブイグが感じていた「タサキ」と「オルメ」の共通点はより明確になったという。「ジュエリーも香水も、自然との絆が重要で、世代を超えて、パールや花といった原料を育てる人、そして、モノ作りをする人がいる」とブイグ。ジュエリーは代々受け継がれるものだが、フランスでは香水も母から娘へと引き継がれていくという。ジョルナックは、「東方の賢者がキリストに贈ったのが、黄金と乳香だ。あらゆる文化において、ジュエリーと香りは重要な意味を持つ」と話す。嗅覚に直接訴えかける香りは、人々の記憶に深く結びついている。ブイグは、「香りはタイムマシーンそのものだ。時空を超えた場所に私たちを誘ってくれる」と言う。日本への旅がきっかけで誕生した「タサキ」のフレグランスコレクションに注目だ。