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アクシージアが中国依存から脱却 新領域投資と地域多極化で30年に売上高250億円へ

サロン専売品スキンケアブランドを手掛けるアクシージアは、主戦場である中国市場の低迷を受け、中国依存からの脱却を図る。既存のスキンケア・インナーケア事業に加え、美容家電・フレグランス・AI事業など新規領域に参入。さらに日本市場とアジアを中心とした第3市場への投資を強化し、2030年までに現在約7割を占める中国売り上げ比率を約5割まで引き下げる。

同社は2011年に創業。スキンケアブランド「エイジーセオリー(AGTHEORY)」の美容ドリンクや「アクシージア(AXZIA)」の目元用シートマスクが中国市場でヒットし、コロナ禍でも過去最高売り上げを連続で更新するなど右肩上がりで成長を遂げてきた。しかし23年以降は節約志向の高まりや高価格帯商品の需要減退、ローカルブランドの台頭、ライブ販売報酬の高騰などを背景に、中国EC市場の競争が激化。2025年7月期は日本市場が好調で前期比10.6%増の134億円だった一方、中国は同3.1%減の97億円と苦戦した。

23年から地域ポートフォリオの多様化に着手

23年から続く中国のマイナスインパクトを改善するため、地域ポートフォリオの多様化に着手。日本では化粧品輸入販売・ECショップを展開するエムアンドディを買収し、日本のEC売り上げを拡大。直営店も5店舗展開する。第3市場の基盤確立を目指しシンガポールとアメリカ、深圳に現地法人を立ち上げたり、ドバイや香港の展示会への出展や東南アジア市場でのライブ販売、百貨店でのポップアップ開催をしたりと市場開拓も積極的に行う。さらに22年3月に化粧品・医薬部外品製造工場のユイット・ラボラトリーズを100%子会社化、自社物流センターを設立しサプライチェーンの内製化を実現した。そこれにより中国売り上げ比率は23年の88%から25年には72%へ低下し、日本は15ポイント増の25%に拡大した。

今後の3カ年計画(26〜28年)では、日本への投資強化と中国市場の持続的成長を柱に据え、28年7月期に売上高170億円、営業利益率10%を達成。AI事業に参入するためにM&Aやアライアンスも積極的に実行し、30年には売上高250億円、営業利益率16%を目指す。

日本市場はフレグランスと美容家電市場に本腰

これらの実現に向け、日本市場は主軸となるスキンケア事業に加え、フレグランスと美容家電事業に本腰を入れる。フレグランスは、エムアンドディが初のオリジナルブランド「ベルバイ( BELLE BAI )」を立ち上げ、5種のパーソナル・フレグランスを10月28日から発売する。スタート時は、同社が運営するECショップ「ブラン・ラパン 」のほか、九州を中心に展開するディスカウントストアやドラッグストア約800店舗で扱い、順次全国展開のディスカウントストアやGMSに販売網を広げる。美容家電は、コーム型ヘアアイロンを展開する「メデュラックス(MEDULLUX)」を訴求。家電量販店の開拓とヘアサロン販路を開拓する計画だ。

このほか著名人の起用やSNS発信でブランド認知を強化、直営店は3年後に10店舗、5年後に15店舗へ拡大する見込み。オンライン・オフライン双方でのプレゼンスを高め、26年に売上高38億円、30年に117億円(売り上げ比率47%)を目指す。

第3市場は越境ECを足掛かりに開拓

第3市場での売り上げ基盤を確立するため、深圳子会社の越境ECノウハウを生かし、「アクシージア」「エイジーセオリー」を東南アジアや米国などに投入。将来的には現地代理店との提携やローカル製品開発も視野に入れる。26年に売上高4億円、30年には12億円を掲げる。

中国市場は産学連携で高付加価値ブランドを訴求

中国市場については、認知度が高いスキンケア製品を引き続き訴求する。越境ECでは不要のNMPA(化粧品や医療機器で中国市場へ進出する際に必要な認証)を取得することで、安全性と品質を担保し他社との差別化を図る(7月時点でスキンケア製品の83%が取得済み)。そのほか、インナーケア製品でブルーハット(中国で保健食品としての効能が認められる場合に付与されるマーク)取得を目指し、競争優位性を図る。また、従来のインフルエンサーマーケティングから、産学連携などによる独自処方を開発し、科学的根拠に基づくマーケテイングにシフト。高付加価値ブランドとしての地位確立を狙う。26年の売上高は101億円、30年に120億円を目指す。

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