PROFILE: ハイム(HAIM)
長女のエスティ(Este)、次女のダニエル(Danielle)、三女のアラナ(Alana)からなる3姉妹バンドのハイム(HAIM)は、地元LAの眩しい陽光を思わせる開放的なフィーリングと、ウェストコースト・サウンドからR&Bやクラブ・ミュージックまでを軽やかに横断する音楽性で、この10年以上、世界を魅了し続けてきた。末妹アラナは同郷の盟友ポール・トーマス・アンダーソン(Paul Thomas Anderson)監督の映画「リコリス・ピザ」で主演を務め、ゴールデン・グローブ主演女優賞にノミネートされるなど、俳優としても活躍の場を広げている。
そんな彼女たちが2025年6月に発表した最新アルバム「I quit(アイ・クイット)」は、「自分を抑圧するものに別れを告げ、自由に楽しむこと」をテーマにした作品だ。制作時は3人全員がシングルというタイミングで、その解放感が作品全体を貫くムードを決定づけている。サウンド面でもバンド初のサンプリングに挑戦するなど、これまで以上に「何でもあり」の軽やかさが感じられるだろう。
そしてこの「I quit」を携え、今年の「フジロックフェスティバル」(以下、「フジロック」)では実に11年ぶりとなる来日が実現。アルバムで聴ける以上にパワフルなロック・サウンドと、3人の陽気なキャラクターが弾けるステージには、これぞハイムという魅力があふれていた。
今回お届けするインタビューは、「フジロック」の後日、都内で行なったもの。まだフェスの余韻が残る中、3人は疲れを見せることもなく、明るい笑顔でにぎやかに質問に答えてくれた。
12年ぶりの「フジロック」出演
——これは「WWD JAPAN」というメディアの取材になります。
エスティ:ワオッ、最高ね!
アラナ:私たち、「WWD」の大ファンなの!
——うれしいです。「フジロック」の出演は12年ぶり、来日自体も11年ぶりですが、「フジロック」と日本のオーディエンスはいかがでしたか?
アラナ:日本って、ロックへの熱がすごい。それってほんとに刺激になる。今回の「フジロック」でも、出演してたミュージシャンたち、みんなレベルが高すぎてヤバかった。私、普通にビビってたもん(笑)。
エスティ:みんな、すごくよかったよね。マジでびっくりした。心の中で「お願い、私たち、ちゃんとやれますように!」って思ってた(笑)。
——ハイムのサウンドはロックに留まらず、とても幅広い要素を取り入れていますが、ライブはパワフルで楽しいロック・ショーだと感じました。あなたたちとしては、ライブではどんなパフォーマンスを心掛けているのでしょうか?
アラナ:それって、自然と出てくるものだと思う。私たちはずっと、特にライブのときは、完全にロック・バンドって感じでやってきたから。子どもの頃から一緒に演奏してたけど、そのときからステージではすごくパワフルだったの。大声で叫んだり、めちゃくちゃに暴れたり、髪を振り乱したり、ステージを駆け回ったりしてたし。
でもスタジオに入ると、話はちょっと変わるんだよね。このアルバム(「I quit」)はダニエルがロスタム(・バトマングリ、Rostam Batmanglij)と一緒にプロデュースしたんだけど、スタジオではとにかく音にすごくこだわってて、それぞれの曲がちゃんとユニークに聴こえるように、自分たちをどこまでも追い込むの。今回のアルバムでは、とにかく「恐れがなかった」っていうのが大きいと思う。すごく自信を持って作れたんだよね。これが4枚目のアルバムだし、この15年くらい、ハイムとして活動してきて、すごくたくさんのことを学んできたから。
エスティ:(ハイムをはじめたのは)2006年だよ。
アラナ:ってことは15年……。
ダニエル:いや、もう20年近いってこと。
アラナ:20年!? マジで? 最悪、私、計算できないじゃん!(笑)。
——(笑)。
アラナ:でも本当に、たくさんのことを学んできたと思う。スタジオは、私たちにとっての遊び場って感じだけど、ライブになると、ほんとの自分たちが出る、そんな感覚かな。
——今回の「フジロック」では「Relationships」を演奏しているとき、後ろのスクリーンに「リレーションシップ=恋愛」で大変な目にあったエピソードが3つ、流れていましたよね。最高に楽しい演出でしたが、あれは実話だったりするんですか?
エスティ:あれは全部、実話なの。一つは私の話で——。
アラナ:もう一つは私の。
エスティ:でも、どれが誰の話かは秘密ね(笑)。
新作「I quit」に込めた想い
——なるほど(笑)。では、アルバムについて訊かせてください。「I quit」は、あらゆる束縛から自分を解き放ち、変わろうとすること、前に進もうとすることを祝福するアルバムだと受け取りました。そうした理解は、あなたたちの意図とも一致していますか?
ダニエル:まさにその通り。
アラナ:さっきも言ったけど、今回はすごく多くの学びがあったと思う。これまでのアルバムでは、どちらかというと自分たちの外側で起きていることを学んでいたように感じるけど、このアルバムは完全に内面――心の中にあるものを学ぶことだった。それに、今回は癒やしがすごく必要な時期でもあったと思う。それがちゃんと音にも表れてると思うし、このアルバムがどんな内容になるかは、自分たちで選べるようなものじゃなかった。体がもう「手放さなきゃ」って求めてたんだと思う。で、アルバムのタイトルを「I quit」にしたときに、これはネガティブな意味じゃなく、ポジティブな意味にしたかったの。私たちが伝えたかったのは、「自分を縛ってるものから離れるのは全然OK」ってこと。むしろ、そういうものは手放すべきだって。もちろん怖いことだけど、最終的には自分を信じるしかない。このままの自分でい続けるよりも、その先に何かもっといいものがあるって信じて、一歩を踏み出すことが大事なんだと思う。
——インスタグラムで「Everybody’s trying to figure me out」のプレビューを公開した際、「single girl summer」というキャプションをつけていたのが印象的でした。あのタイミングで3人ともそれぞれ自由に楽しめる時期だったことが、やはり今回のアルバムの雰囲気に影響したということですか?
ダニエル:うん、間違いなく影響してる。
アラナ:このアルバムを作ってたとき、3人ともシングルだったの。全員がシングルだったのって、私が13歳とか14歳の頃以来、初めてだったと思う。だから、今回のアルバムのマントラみたいなものは、「3人でシングルでいるのって、めっちゃ楽しい!」っていう感覚だった。すごく自由で、何にも縛られてない感じがして、よく笑ってたし、3人で遊びに出かけたりして、ただただ楽しい時間を過ごしてた。すごく陽気で、幸せで、ちょっと狂ってるくらいハッピーな時期に、このアルバムを作ってたんだよね。もちろん、話すのがしんどいようなこともあったんだけど、同時にそこには、すごく自由で、楽しくて、ハッピーな側面もちゃんとあったと思ってる。
——「自分自身を束縛から解放して、前に進もう」という今作のメッセージは、同じ状況に置かれた女性だけでなく、より普遍的なメッセージとして、あらゆる人たちに響くものだと思います。そこは意識していましたか?
ダニエル:うん、まさにそう。さっきアラナが言ったように、「自分にとってもう意味のないものは手放す」とか、「自分を縛ってるものはやめる」っていうのが、今回のテーマだった。で、それってきっと誰にでも当てはまることだと思う。だから、それが――少なくとも私たちにとっては――このアルバムを作ってるときのマントラだったっていう。
「I quit」は一つの旅みたいな構成
——今作には間違いなく解放的な側面がありますが、すべての曲がそういうモードというわけではありませんよね。むしろ、解放に至るまでの葛藤も描かれているからこそ、カタルシスが生まれているように感じます。アルバム全体の流れや構成については、どのように考えていましたか?
アラナ:うん、このアルバムは間違いなく、一つの旅みたいな構成になってると思う。最初の「Gone」は、イントロとして必要だったというか、「I quit」っていう世界に入っていくための入り口として、すごく自然な感じがして。
——徐々に盛り上がっていく曲調もそうですし、出だしの歌詞で「ちょっと聞いてくれるかな?」とリスナーに問いかけるところが、アルバム全体の入り口として機能していますよね。
アラナ:そこから「All over me」に入ると、楽しいデートの曲になる。夜に出かけて、いい感じの相手とちょっと遊ぶ、みたいな感じ。その次に「Relationships」がきて、これは「ずっと誰かと付き合ってるっていう状況」のややこしさについて。楽しいときもあるけど、大体はうまくいかないし、これからの人生をどうしていこうか、っていう迷いとかがあって。
——ええ。
アラナ:で、「The farm」では一気に孤独になる。「楽しい瞬間もあるけど、結局ひとりなんだな」って気づく時間で。鏡に映った自分のことを好きかどうか、自分に問いかけるような瞬間。すごく内省的で、癒やしの要素もあるし。けど、その先には「Spinning」みたいな、ちょっとパーティーっぽい雰囲気も出てくる。ちゃんと泣ける曲もあるし、ほんとに感情のジェットコースターみたいになってると思う。
——まさにそうですね。
アラナ:人生って、自分にとって意味のないものを手放すときに、道が分かれるじゃない? で、自分が選ぶほうの道って、暗くてグネグネしてるように感じて、すごく怖い。でも逆に、今のまま変わらずにとどまる道は、表面上はきれいなんだけど、進んだ先に待ってるのは、けっこう切ないものなんだよね。だから、どっちの旅を選ぶかなんだと思う。自分をちゃんと立て直す旅に出るか、それとも慣れた場所にとどまるか。このアルバムは、そういう揺れとか葛藤を全部含んだ、ちょっとガタガタしたジェットコースターみたいな感じになったと思う……って、めっちゃ長くなっちゃったね、ごめん(笑)。
サウンド面での新たな挑戦
——いえいえ、よく分かりました。サウンド面の話ですが、今作は音の鳴りがこれまででいちばん素晴らしいと感じました。
全員:ありがとう!
——ロウでプリミティブでありながら、しっかり作り込まれている印象です。音作りの面ではどんなことを意識していましたか?
ダニエル:サウンドの話で言うと、私たちはずっとロック・バンドっていうものにすごく興味を持ってきたけど、同時にスタジオに入って、いろいろ試したり遊んだりするのも大好きで。で、たどり着くまでに結構時間はかかるんだけど、毎回こだわってるのは、「オーガニックな楽器をどうユニークに鳴らすか」ってこと。そこはめちゃくちゃ大きいポイント。だって、ロックンロールが録音されるようになってから、もう70年くらい経ってるわけじゃない? その中で、普通のドラム・セットをどうやって他とは違う音にするか――それって私たちにとってすごく大事なことなんだよね。
——なるほど。
ダニエル:今回も、オーガニックな楽器でありながら、どう音的に面白くするかをすごく考えてた。いろんな音の要素をミックスしたりして、「これってどんな音になるんだろう?」って探る作業が続いて。それと、今回のアルバムって、実は初めてサンプリングを使っていて。ほとんどの曲は生ドラムだったけど、「Relationships」だけは、いろんなドラムのサンプルを組み合わせてプログラミングして作ったり。そんな感じで、ロック・バンドではあるけど、スタジオにいるときはルールをあんまり作らない。とにかく、自分たちにとってユニークだと思えるものを作りたいっていう、それが一番のモチベーションかな。
——今回は特にドラムのビートを軸に作られた曲が多いように感じましたが、実際はどうだったのでしょうか?
ダニエル:私たち3人とも、もともとドラマーだから。曲を作るときも、まずドラムから始めることが多いし、それが自然な流れって感じ。だから、ビートに特徴があるって感じてもらえるのは納得というか、私たちにとってスタジオで一番大事なのがドラムなの。
——これまでもロスタムと共同プロデュースした曲はありましたが、アルバム全体を彼と一緒にやるのは初めてですよね。彼との仕事で新しい発見は何かありましたか?
ダニエル:とにかく、ロスタムと一緒に音楽を作るのが大好きで。彼のプロデュースした曲がラジオで流れてるのを聴くと、毎回「これ、ロスタムっぽい音だな」って思って調べてみると、やっぱりロスタムだったりして。それくらい彼には独特のサウンドがある。今回は2人で、ちゃんとがっつり組んで、新しいレベルのサウンドを目指してたと思う。ほんとに才能あふれる人だし、一緒に音楽を作れることがめちゃくちゃ幸運だなって感じてる。
——作っていて、難しく感じた部分っていうのはありました?
アラナ:むしろ、今回が一番スムーズだったんじゃない?
ダニエル:うん、確かに。今回がいちばん楽だったかも。
アラナ:今回は、ほんとに空気が軽くて、気持ちのいい制作だったから。
——じゃあ、いちばん作ってて楽しかった曲は?
ダニエル:「Take Me Back」かな。
アラナ:うん、あの日はスタジオの空気がすごく重くて。「なんか気分変えたいよね」って話してて、そしたら高校時代のバカみたいな思い出を話し始めたんだよね。で、そのすごくしんどかった一日が、爆笑しながら思い出を語るめちゃくちゃ楽しい日に変わっていったの。笑いすぎて泣いたくらいで。最初は曲にするつもりなんて全然なかったんだけど、「この変なエピソード、曲にできるかな?」みたいなノリになって。あの一日は、アルバムを作る上で本当に大事な時間だったと思う。あの明るさが、すごく必要だったから。
——僕も「Take Me Back」は特に好きな曲の一つです。
アラナ:イエーッ!
——歌詞も最高ですよね。
アラナ:うん、あの歌詞、クレイジーだよね(笑)。
——アルバム前半は比較的トーンがそろっていますが、後半に進むにつれてどんどん広がっていきます。それも、「自分のやりたいことを自由にやる」という今作のアティテュードの表れのように感じました。
ダニエル:うん、そうね。やっぱり、いろんなフレーバーを詰め込みたかったっていうのがあって。ブルースっぽい曲もあるし、エスティとアラナがそれぞれ自分で歌ってる「Cry」と「Spinning」も、ちょっと違う雰囲気があるでしょ。そういういろんな要素を、スタジオで自由に探っていくのが、私たちはやっぱり好きだから。
——今回、3人それぞれがリード・ボーカルを取ろうというアイデアは、どのようにして生まれたのでしょうか? また、実際にやってみて、2人はどうでしたか?
エスティ:私たち、子どもの頃からそれぞれ違うパートを歌ったりしてて、そういうのは自然にやってたんだよね。でも今回に関しては、偶然だったかも。ある日、私がスタジオに泣きながら入っていったことがあって(笑)。そしたら、2人とも「今日はあなたの日だよ、もう歌っちゃいなよ」ってなって。
アラナ:あれは、すごい日だったね(笑)。
エスティ:「今日はあなたの日。全部出して!」って(笑)。アラナも似たような感じだったよね。たしか、当時ちょうど……
アラナ:そう、恋してた。でも長続きしなかったんだよね。まあ、いい恋ではあったけど(笑)。でもほんとに、リードを歌うってめちゃくちゃ大変。ダニエルがどうやってやってるのか、マジで分かんない。私は端っこにいたい派だから、リードはダニエルに任せる(笑)。でも、リードを歌うっていう経験そのものはすごく面白かったし、楽しかったよ。
U2の「Numb」をサンプリング
——では、サウンド面でも、制作以外の部分でも構いませんが、今回のアルバムに何かしらの影響を与えたアーティストや作品があれば教えてください。
アラナ:うーん、どうだろう。特にこれっていうのはないかも。
エスティ:ないね。子どもの頃からずっと、同じ音楽ばっかり聴いてるし(笑)。私たち、ラジオが大好きな家庭で育ったから、ほんとラジオを聴きながら育ったって感じ。だから、普段耳に入ってくる音を自然に吸収してて、気づいたらスタジオでそれが出てきてる、みたいなところがあるの。でも、たしかダニエルは、ビヨンセ(Beyoncé)の「Cowboy Carter」をめっちゃ聴いてたよね?
ダニエル:うん、あれは大好き。それと、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(Red Hot Chili Peppers)もすごい聴いてた。「Blood Sugar Sex Magik」とか。
エスティ:そうそう、私たち子どもの頃からずっと聴いてるし。あの人たち、完全にLAのバンドって感じだからね。で、あとはもうずっと好きで聴いてる音楽たち、って感じかな。
ダニエル:それに、ちょうど最高のツアーが終わった直後だったっていうのも大きかったと思う。ライブで曲を演奏してるうちに、またすぐにツアーに出たくてたまらなくなってたし、「じゃあ次にライブでやったら気持ちよさそうな曲ってなんだろう?」ってことをすごく意識してたと思う。だから今回のアルバムは、「早くまたツアーに出たい!」「ライブやりたい!」っていう気持ちがすごく込められてるんだよね。
——先ほどサンプリングの話が出ましたが、「Now it’s time」では、U2の「Numb」をサンプリングしていますよね。U2をサンプリングすること自体が意外でしたが、その中でも「Zooropa」の「Numb」を選んだ理由というのは?
ダニエル:私たちもロスタムも、U2の大ファンなの。実は以前にU2のほうから、私たちのファースト・アルバム「Days Are Gone」に収録されている「My Song 5」をインターポレート(既存の曲のフレーズを引用し、再演奏・再録音して使うこと)したいって連絡が来たことがあって。U2から電話がかかってきて、「スタジオに来ない? 君たちのギターを使ったから、(コーラスで)歌ってほしいんだ」って言われたの。私たちはもう、「え? どういうこと!?」って感じで(笑)。もちろん即OKした。それが「Lights of Home」って曲なんだけど。
——U2の2016年のアルバム「Songs of Experience」に収録されている曲ですね。
ダニエル:で、それからも連絡を取り合ってて。私たち、ずっとU2の大ファンだから。「魂の叫び」(U2のライブ・ドキュメンタリー映画)とか、すごく観てたし。
エスティ:「The Joshua Tree」もね。
ダニエル:「Achtung Baby」も。とにかく大ファン。で、ある日ラジオを聴いてたら「Numb」が流れてきて、「あっ、この感じ、最高!」ってなったの。その時点で「Now it's time」はすでに別のバージョンができてたんだけど、「ちょっと待って、こっちの雰囲気にしたい!」ってなって。それで、「この上に乗せちゃえばいいんじゃない?」っていう流れでやってみた。U2ともメッセージのやりとりをして、「すごくいいね!」って言ってもらえて。彼ら、すごく優しかったな。
アラナ:これで一つの輪がつながった、って感じだったよね。
——「Lucky stars」は、ドリーム・ポップとマッドチェスターが融合したような曲で、1990年代前半のUKインディーを思わせます。U2の「Zooropa」も93年の作品ですよね。今作は特に影響を受けた音楽はなかったという話がありましたが、当時のイギリスやアイルランドの音楽に関してはどうでしょうか?
アラナ:うん、UKの音楽は、ほんとにいつも聴いてるから。そもそも私たちのバンドって、UKのレコード会社と契約したんだよね。だから当時は、「このバンド、イギリス出身なんじゃない?」って思ってた人も多かったみたいだけど、実際は全然違って、めっちゃカリフォルニア出身(笑)。でも、あの頃のUKロックがやってたことって、今でもずっとインスピレーション源になってる。信じられないくらいすごいと思う。ほんと、UKからはずーっと影響を受け続けてる。だって、あんなにすごいバンドが次々出てくる国だよ? 影響されないわけがないでしょ。
——確かに。では、最後の質問です。このアルバムは、3人全員がシングルだったことで生まれたものですが、その一方で「Take me back」や「Blood on the street」のように、姉妹の絆や結束を感じさせる曲もあります。やはり今作は、この3人の姉妹だからこそ作れたという実感がありますか?
ダニエル:間違いない。100%そう。
エスティ:うん、ほんとにそう。
アラナ:自分だけで何かを決断するって、めちゃくちゃ難しいじゃない? でも、もし失敗しても絶対に支えてくれる人が2人いるって思えると、その決断ってすごく楽になるんだよね。それって、ただ楽しいってだけじゃなくて、ものすごく安心感がある。私は、自分には家族がそばにいるから、なんでもできるって思える。ほんとに恵まれてると思うし、お互いがいてくれることがすごくありがたいなって思ってる。特に今回のアルバムでは、3人とも同じようなことを同じタイミングで経験してたから、さらに絆が深まった気がするんだよね。だからこそ、これまでのアルバムとはまったく違うものになった。比べものにならないくらい違う。当時の自分たちは、まったく新しい場所にいて、まったく違うマインドで音楽を作ってた。それは、このアルバムを聴いたら、きっと感じ取ってもらえると思うな。
PHOTOS:YOKO KUSANO
ハイム 4thアルバム「I quit」
◾️ハイム 4thアルバム「I quit」
2025年6月20日リリース。デジタル配信と輸入盤各形態に加え、全曲の歌詞・対訳とオリジナル・ライナーノーツを封入した国内盤CDも販売中。
収録曲:
1:ゴーン
2:オール・オーヴァー・ミー
3:リレイションシップス
4:ダウン・トゥ・ビー・ロング
5:テイク・ミー・バック
6:ラヴ・ユー・ライト
7:ザ・ファーム
8:ラッキー・スターズ
9:ミリオン・イヤーズ
10:エヴリバディズ・トライング・トゥ・フィギュア・ミー・アウト
11:トライ・トゥ・フィール・マイ・ペイン
12:スピニング
13:クライ
14:ブラッド・オン・ザ・ストリート
15:ナウ・イッツ・タイム
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